エピローグ
人々の願いを叶えるエネルギー、「魔力」が存在するこの世界。戦闘能力皆無、体力は一般人以下、魔力を持つことができない無能な男。しかし、ダジャレを含めた言葉を口にするとその内容が具現化・現実化するという異能を有していた。
そんな無能な異能持ちの男が、世界を脅かしていた魔王を倒して世界を救ったお話。
「ヒューイ!任せたぞ...!!」
「ヒューイちゃん頑張って!」
「ヒューくん...」
「兄さん!!」
「ヒューイ...あとは頼んだ....」
後ろから仲間たちの声が聞こえる。彼らが死力を尽くしたことがその声からわかる。僕は振り返ることはせず、それに応えるように手を挙げた。そしてハードボイルな笑みを浮かべながら、眼前に立っている魔王に向かって言った。
「魔王よ、お前はやりすぎた。
ここで殺してし“まおう”か。」
僕がそう口にした瞬間、魔王は驚きの声を上げる間もなく息絶えた。
この世界で屈指の実力者である僕の仲間たちが挑んでも敵わなかった相手を瞬時に倒してみせた。その様子を見て仲間の1人が言う。
「相変わらずお前が何をやったのか分からなかったぜ...」
それに対して他の仲間たちも頷く。
僕も頷く。
何せ僕にも分からない。
僕の力は一体なんなんだろう...