⑤
副題:可哀そうな被害者製造物語
「まあまあ、そんな硬いことを言わず。こうして逢瀬を楽しめるのも、後僅か3日しかないのですから」
ため息なんて付きながら、無遠慮に部屋へ入って来る。
―― あああああ!!!
そんな、淘汰の心の叫びが豪に届くわけもなく。
―― ブチッ!!!
淘汰にだけだろう。豪快な音が聞こえた気がした。
「いい加減になさい」
「何ですか?愛しの姫君?」
豪は志杏椶の纏う空気が一変した事にすら気付かず、豪は“愛しの姫君”の肩に手軽に手を置く。
否、置きかけた、まさにその時。
「鬱陶しいのよっ!あなたっ!!」
―― バリン!!
志杏椶の渾身の一撃が豪を見舞うのが先か。
それとも窓が割れて外に豪が放り出されるのが先か……
「頭の脳みそまで、筋肉な男なんて大っ嫌い!淘汰っ!!」
「はいっ!!」
いきなり名を呼ばれた淘汰が、ビシッという効果音が聞こえてきそうなほど勢い良く立ち上がる。
「ああいう、脳みそまで筋肉な馬鹿な男なんかになっちゃダメよ!?」
「はいっ!!」
「しい様すてきッ!!」
目を輝かせて夢見る乙女な衣織を見て、淘汰は更に泣きたくなったのだった。
実は陣中見舞いに来ていた、桔梗とキリエ、レヴィそしてアオラがこのとき扉の向こうで一部始終を見ていたことが判明するのは、もう少しだけ先のこと。
こうして、志杏椶の武勇伝は、着実に増えていった。
その後、竜族の青年 豪がどうなったか……
それは、本人のみが知る事である。
【終】
初めましての方
お久しぶりですの方
こんにちは、梨藍です♪
今回は、カラーの違う2作品をアップですwww
【原罪 Overture】のサイドストーリーという事で“ Overture”を読んで頂ければ、一層楽しんで頂けるんじゃないかと思います(^。^;)
それから【セルリアに願いを】というシリーズに出て来る衣織ちゃん(しい様大好きッ子)も出て来ますwww
志杏椶の男前っぷりが描けて大満足です♪相変わらずの、衣織ちゃんのしい様フィーバーっぷりも書けて楽しかったです☆
彼らを待ち受ける過酷な“未来”は始まったばかりです。
これからも一緒に見守ってもらえたら、これ幸いです。
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