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瑠璃色のドールイーター  作者: 左右ヨシハル
2/9

02.鼠


一人の少女がここモルグ街を歩いていた。

髪は真っ白で肌も髪色と同じで真っ白だった。

目は色素が薄いが緑色だとわかる。


黒のタートルネックに着てすそが少し長いズボンを折って履いていた。


この犯罪者の街で少女が一人と言うことは普通なら誘拐され売り飛ばされるか酔っ払いに強姦されてしまうが何故かその少女はそうはならなかった。


その答えは彼女の顔にあった。

おでこから目にかけて大木のように色が変色したからだ。


その真っ白な素肌に合わないその色はこの少女に触れてはいけない雰囲気を作り出す要因になっていた。


酔っ払いや誘拐犯が彼女の前を通ってもその顔を見るだけで皆、目を背けたり顔をしかめて何処かに行ってしまう。


少女は道端で寝ているホームレスに話しかけた。


「どこですか?」


寝ていたホームレスは突然、声をかけられて苛立ちを隠さなかった。


「うるせえよ!!あっち行け!」


すると少女は今度は口を閉じそのホームレスを見続けた。

ホームレスがイライラしながら振り向きその少女の顔を見て息を飲んだ。


「ひっ…お嬢ちゃんそれどうしたの?」


ホームレスはアルコール中毒で震える手先で少女の顔を指した。


いちゃうの」


「え?」


「分からないと搔いちゃうの」


少女は瞬きをせずに答え左手で自分のおでこを掻き始める。

手はどんどん下にいきまぶたや目元まで掻き始めた。


「だからそれやめな!何してんのだよ本当に」


まだ少女は掻き続ける。

血が出始める。


「わ、わかった!どこに行きたいの?」


ホームレスは早くこの場から消えてくれと思いながら彼女に問いかける。


「………たくさん人がいて私の人形を探してくれる人がいる所」


少女は掻くのをやめて目に血が入らないように左目をつぶった。


「そ、それじゃあ酒場【ナイト】に行きな。そこだったら探してくれるはずだから!」


「分かった」


すると下水道から一匹の鼠が現れた。

ピーピーと鳴きながらホームレスの所に走って行く。


「うわ汚ねえ鼠だ」


少女は鼠を捕まえる。

ホームレスは身体をそって少女から少しでも離れようとする。


「……鼠さん」


そう言うと少女は鼠の尻尾を引きちぎった。


ピーッ!という鼠が叫び声を出す。

ホームレスは立ち上がって逃げようとする。


「あ、あんたイカれてるよ」


そう言ったホームレスに少女は鼠の尻尾を差し出す。


「ミミズさん」


ホームレスは受け取らずに早歩きで逃げ出した。

少女は両手に掴んだ鼠と尻尾を離すと何もなかったかのように歩き出した。



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