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偽愛  作者: 美冬 玲
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偽愛

これは40代のシングルマザーの女の恋愛物語。

純愛の中に、客観的に男を見る人間についての考察や生きるための悪もある。

愛と仕事と子育ての中で、真実の愛を探し追求していく女の物語。


「チューしよう。」

男は言った。

なぜ、このようなシチュエーションになったのか・・。

会社の飲み会の後に、二次会に行くことになり、誰が参加するのかと思ったら男だけが残っていた。

この男とは、仕事以外で話をすることはほとんどなかった。

男は明らかに、酒に酔っている。

甘えるタイプなんだな。と思いながら笑いながら受け流した。


男は私の一つ年下で、身長が低く自称160センチらしいがヒールを履く私とほとんど同じ身長で、小太り。

肥満と筋肉を兼ね備えた体型の男。

声は、低く雑音を含んでいる。


この男を出会ったのは、5年前。

入社してきて、ふと気がつくと私の席から30メートルくらい離れたところにいた。

ある日、私は目を疑った。

太った体にピチピチのTシャツを着て、お腹がはち切れんばかりで、大きく出たお腹を隠しせず太い声で堂々と仕事をしていた。

この男は人目を気にしないのか。

なんて堂々とした人なんだろう。

私は、その姿を見るたびに不思議な気持ちとどんな心を持った人なんだろうと少し興味を持った。


私に仕事を頼む時は、猫撫で声でお願いをしてくる。

私は出来ることは相手が誰でも、自分の仕事に支障がなければ引き受けるので、この時も簡単に引き受けた。

彼の仕事の依頼は比較的、雑で整理されていなく中途半端な内容だった。

適当な人なんだな。と思った。


それは、私にとってそれほど大変なことでもなかったので、特に問題ではなかった。


男は想像以上でもなく、想像以下でもなかった。

仕事でそれほど絡むこともなく、仕事の様子は見えていたがあまり気に留めていなかった。


「チューしよう」から、何かと一緒に飲むことが多くなった。

私はお酒が好きで男もお酒を求めていた。

彼は結婚しているようで、奥さんの相談をされるまでの仲になっていた。

地下鉄がなくなって、朝まで話していた時は、奥さんになんて言い訳をしようと困っていた。

困るなら帰れば良いのにと思いながら、家庭の悩みを聞いていた。

変な人間だなと思っていた。

正直何をしたいのかわからなかった。

男なりに悩んでいたのかも知れない。


飲む回数が増えるにつれて、ホテルに泊まるようになった。

ホテルに泊まるのは、地下鉄を待つため。

セックスをするわけでもなく、私は睡眠薬を飲んで彼にも飲ませて寝た。

後日知ったことだけど、男は飲んだふりをして飲んでいなかった。

またお互いをよく知らなかったので、私から渡された薬が怖かったと言っていた。


私は、変なことをされないように眠らせることが目的だったので目的は達成していた。

不倫でもなく、友達でもなく不思議な関係がしばらく続いた。


そして男は離婚をした。

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