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ルミナとの再会

紹介


パーズ ロトスのバリスタ技師

男性 5.60代

容姿 無精髭。筋骨隆々だが、身長は低い

性格 絵に描いたよう職人。酒を好む

多くを語らないが、武器全般に精通しているらしい。

 知識を得るために図書館へ行ってみることにした。

この世界での情報源は書物か人伝の知識くらいらしい。


 目に付いたのは偉人伝だった。

古今東西のさまざまな人物が載っている。


世界には、武技を極めし者。

マスタの称号持ちがいる。


"ケイン卿--レイナード・ディア・ヴィンチ"


「ん?これは」


モンド達の師匠と同じ名前だ。


曰く、

魔法を極め真理を読み解く賢者


ものすごく天才性を感じる名前だ。


他は、

"ソード卿--シック・サー・クワトロ"

"アックス卿--ハイト・ソー・カルム"

"ランス卿--クー・ボルグ・エアベル"

"レイピア卿--フェイ・ソング・ガスト"


……

ガスト?

あいつか?


初代ライフル卿には

"シード・ガ・アイランド"

400年前に銃を広め革新を行った者

とある。


なかなか有意義な書物だったな。


 こうして、図書館に通い詰める日々が始まった。



 一週間程過ぎた。

勉強や仕事の知識を付けるのは苦手だったが、ここの書物は物語を読むようで苦にならなかった。


「ルミナの父親は相当な学者だったんだな」


探しても載ってはいなかったが、個人であの量の書物を保有するとは。

ルミナの品格も親譲りか。

ふと、ルミナのことを思い出す。


「くっはー、通い詰めで体が鈍っちまった。そろそろパーズのところへ顔出すか」


 以前よりも良い酒を調達し工房に向かった。



「パーズその後どうだ?」


「おぉ、お前か。試したいことがある。お前、と言うかそのマテリアルサークル待ちだ」


 弓具には、現世とこの世界の物理法則を揃える魔力が付与されていたらしい。

オレ自身もこの世界に来て身体能力の向上があったことを思えば、なんらかの力が働いていても不思議はない。

のかな?

これを流用すれば、マテリアルサークルで精製したものを定着させることができるのだと言う。


「矢には使えねぇが、弓には使用出来んだろ。素材出してくれないか?」


そーゆーことか。なるほどなるほど。

よくわからんが、魔物由来の霊体的なものを実体として定着させるってことでいいのかな?


「図面は引いておいた。あとは素材次第だ」


プライに精製させてみる。

精製された素材をパーズが加工し、組み上げる。

型としては問題ないようだ。


「射てみろ」


工房裏手の雑木林に向け試射を行う。

元々持っていた自前の矢では、もうスパインが合わない。

一応飛びはするが、力が空回りしてなんとか飛ぶ程度だった。


「なら、こっちならどうだ」


一番威力の弱い魔物矢を精製した。


ズドォン!!


魔物矢は的を大きく貫通し、かつてないほどの威力を発揮した。


「お前、威力考えろよ。ここが街外れじゃなきゃ、大惨事だぞ」


「すまん……」


いやいや。

想定外の出来事だ。

フルに集中しても、こんなことにはならなかった。


「とりあえず壊れないな。成功だ」


 ともあれ弓がグレードアップした。

リムの交換だけでこの変わりよう。

他の部分も変えたらどうなるんだ?

新しい弓を手に入れ興奮がおさまらない。


そして、一射でわかる。

このなじむ感じ。

やはり、パーズに頼んで良かった。

技師としての技術は本物だ。


「これからいろんな素材を揃えたらまた依頼出来るか?」


「あぁ、報酬さえ払えばやってやる」


 良い技師と知り合えた。

差し入れの酒を飲みながら、2人で成功を喜んだ。


「そうだ、これは報酬だ」


「あぁ、たしかに」


「なぁ、これは何に使うんだ?」


「バリスタだ」


実は、バリスタの調整は不十分だったらしい。

蒼金の産出が減り、市場に出回らなくなり完全な整備が出来なかったと言うのだ。


 通貨として使用しているものには強力な魔法がかけられていて、素材として使用出来なかった。

たしかに、国の威信をかけて製造した通貨が簡単に融解できたりしたら市場の混乱を招きかねない。


「こんなもんで足りるのか?」


「ああ、充分だ。蒼金は粘性にも優れているからな、メッキとしても性質変わらずに使用出来る」


金箔みたいなものか。

すごい技術があるんだな。


ますますパーズの腕に信頼を寄せる。


「そういや、お前を探してるって女が来たぞ」


探してる?騎士団か何かか?


「いや、そんな感じじゃなかった。深くフードをかぶって、名前も名乗っていなかったからなんともだが」


そうか。誰だろうか。

厄介ごとじゃなければいいが。



 宿に戻る途中ガストと目ぶかにフードをかぶった女性とがトラブっていた。


「おやめください。ギール様」


「貴様、勝手に逃げ出した分際で口答えとは」


揉み合う中でフードが外れた。


あれはルミナ?


意識しないうちに仲裁に入っていた。


「リクトさん」


「貴様は酒場の。随分と親しげじゃないか。私の所有物だ邪魔だ消えろ」


なんとなくだが、状況は飲み込めたつもりだ。


こいつが元凶か。

引き下がれないな。

あの涙を見た以上。


「ちっ、しれものが。ガスト家に楯突く輩がいようとは」


ギールは、騒ぎが大きくなったのを嫌ってか引き下がっていった。


「大丈夫か?」


「やっと会えました」


涙ぐむルミナ。

胸に飛び込んで来たが、静かに肩を支えた。

周囲の不安がる視線が刺さってくる。



宿に連れて行った。


「お客さん、合い挽きはお断りだ。追加料金になるよ」


 その言葉に妙に腹が立った。

ルミナを金で買ったと思われた気がしたのだ。

さらに2人分の金額を叩き付け部屋に戻った。


「どうしてこの街に?家はどうした」


家を引き払い、オレを追ってきたと言う。

必死さと安堵の表情を浮かべる。


そんな顔されちゃ問い詰めれないな。


5日前ほどから探し詰だったらしい。

疲れて眠ってしまった。

大事そうに破魔矢を抱えながら。



夜になり、部屋の戸が激しく叩かれる。


「とんだもん持込みやがって。さっさと出てってくれ」


ギールの女を匿っている男がいる。

と宿屋界隈で噂になっていた。


どうやらギールの手が回り、部下達が内々にオレ達を探し回っている様だ。


 ルミナと共に、真夜中の街に放り出された。

ご覧いただきありがとうございました。

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