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プライの性能

紹介


ラルド達からもらったもの。

ナイフ

簡単なキャンプ道具

飲食の図鑑

門弟の証 特殊な石が嵌め込まれたアクセサリー

 木を薙ぎ倒し出現したのは大蛇だった。

そして、これは間違いなく魔物だ。

水面をうねり近づいてくる。

火の熱によって来ている。


「多分こちらにも気が付いているだろうな」


どうする。

考えているヒマはなさそうだ。


弓を手に取り、走り出す。


 魔物には核があり、大きくなるにつれ強く手強いとの話。


多分あそこだ。


 鼻先に見える核に狙いを定める。


まずい。

不規則に動く的がこうも当てられないとは。


 戦場を岸にして戦わなければ、矢の回収ができない。

どうにか身体には当てられるようになって来ているが、決定打には遠い。

相手の闘争はますばかりだった。


大蛇は顔を狙っているのを理解し始めている。


「まずい。水中に潜ってしまう」


 水質と核の発光で目視出来ているが、こうなると手が出ない。

相手は深く沈み込みこちらの動きを探っている様だ。


 核が強く発光する。魔力を使った攻撃態勢に入っている。


「いやな予感しかない」


一か八か。

あの時魚を射た感覚を信じて射つしかない。


集中集中。


 森がざわめく、狩りのための射ではない。

生き抜くための一射。


 放たれる気配に身構える大蛇。

相手は猛者だ。

物怖じの様子はない。


真剣勝負。

やるかやられるか。

こんな感覚は現世では感じたことがない。


視界が真っ暗になり狭まっていく。


 放たれた矢は空を進むかの様に水中を突き進んだ。


 大蛇から、激しい水流が放たれたが、核を貫かれ制御を失い空に舞う。


 雨の様な飛沫が降り注ぐ中、断末魔がこだまする。

岸辺に身体を起こし、未だ闘争が消えない大蛇。


「まだやるのか」


 もう一度ゆっくりと射に入る。

甘さ弱さがこの魔物を苦しめていることは分かっていた。


自然体であれば良い。

緊張のあまり呼吸を忘れ放った矢が的をはずすのは明白じゃないか。


 覚悟したであろう大蛇の目は静かだった。

とどめの一射が放たれた。


「綺麗だ」


 光となって消えゆく様は、幻想そのものだった。


 大蛇との死闘を終え、生きている実感が身体から溢れて来るのがわかった。



 やっと湖畔の外周を回れた。

一時間程歩くと、人家が現れた。


随分と立派な家だな。

屋敷とも言えるか。

無人になって久しいようだ。

今日はここで休ませてもらおうか。


 調度品などは持ち出されていたが、運びきれない大きな家具は残っていた。

写真や手記によると、当時はここら一帯では重金属が採掘されていたらしい。


 魔力伝導が良く加工にも最適で硬貨としても使用されていた様だ。

ただ、採掘量が減り自然と廃れていったと。


 蒼金と称された、湖の青さはこの金属の影響とか。


今日も疲れた。

早く寝よう。

家がこんなにも安心感があるなんて。



少し戻って試してみるか。

急ぐこともない。


採掘跡のあった河辺に戻って来た。


「やっぱりこの跡はそうだったんだ。それなら」


 屋敷から持ってきた盆をとりだし、砂金採掘の要領で採掘を始めた。


比重が違うなら、深く掘ってこれでふるいにかければ。


「ほら、あった!」


ほんの少しだけそれらしき物が採れた。


まぁ、こんなもんか。


「さて今日の取れ高は……粉粒数個」


やっぱりこんなんじゃダメか。

金目になる物を持たずに街には行けないし。



はっ、寝てしまったか。


起きると蒼金らしき物がない。

いくら吹けば飛ぶ様な粉粒だからって、なくならないだろう。


誰か、何かがいるのか?


探し漁るも、いるのは自分1人と、プライくらい。


「まさかお前か?な訳ないか」


そう思いつつ、こいつの発光が妙に蒼くなっているのが気になる。


昨日は掘り方が甘かったのかもしれない。

もう一度探しに行ってみよう。

わずかでもあることが分かっただけ成功なんだ。


「やっぱり、悩むより行動した方がいい」


 今日は甲斐あってか小石ほどの金塊を見つけることができた。


これはうまい。

今度は厳重に保管しよう。


 今度は砕けて小さくなっていた。

プライは一層蒼く光を放っている。




 一週間程経っただろうか。

プライは蒼い光沢を手に入れていた。

光源から、蒼い金属プレートに成り果てた。


「本当お前なんなんだよ。紛れた砂利とか分別してくれたみたいだけど。その分、倍はかかったんだからな」


 不純物が取り除かれた蒼金が小ビンいっぱいになった。


ありがとう。

少しの間だけど、ここでの暮らしは穏やかだった。


 神殿を出てから2週間程。

再度西の都を目指し歩き出した。


 最近はもっぱらラルド譲りのナイフばかりを使ってる。

食べ物を把握してきて、手の届く範囲での調達が楽になったからだ。


 もちろん今でも弓での狩は行うが、いつ魔物と出会うかわからない以上矢の消耗は避けたい。


のこりの矢は三本か。

随分なくなった。


 壊れた物、なくなったもの。

この世界では弓は使われないとの話だから、補充は望めないかもしれない。


「矢を調達出来ないものか」


そんな独り言を聴いていたやつがいた。


「なんだ?急に」


プライが起動音を出し明滅し始めた。

映写?プリンタに近いか。

みるみるうちに矢が出現していく。


「こんなこと出来たのか?すごい、すごいぞ」


多分、鹿型の矢と蛇型の矢だろう。

どうやら、魔物の一部を使い精製した様だ。


「プライ。お前やっぱりあの光集めてたろ」


なんとなく気になってはいた。

魔物の光が、いつも自分に向かって来ていたことに。


ラルドといた頃は、そんなことなかったもんな。

なんにしてもこれはすごい能力だ。

未だに自分に魔法的な力が芽生えた感覚はないが、それを代行してくれるものを手に入れたのだ。


 旅は加速していった。

今まで出し惜しみしていた弓を使えるのだから。

ただ、一つ問題があるとすれば、魔物一体から作れる矢は一本のようだ。

そして、矢は放つと消えてしまう。

しかし、威力は破格。

鹿の矢さえ信じられない程の威力を誇っている。

蛇の矢を使ったらどうなるのか。



 数日で随分進み、村、街を抜けた。

道中の資金繰りは蒼金を換金でき解決した。


さすがに、あの規模の街では換金限度があったが、小瓶半分程度で数十万程の値打ちになるとは思わなかったな。


「まぁ、そのせいで面倒も引き寄せちまったが」


 現世では金な苦労したけど、この世界なら長者になれるんじゃないか。

高笑いが止まらないな。


 意気揚々に進行する。

街道に乗り、船での海路を進んだ頃のこと。

森で魔物に襲われていた女性を助けた。

ご覧いただきありがとうございました。

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