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絶界の神殿

紹介

ロック


世界鳥と呼ばれる、伝説の超魔獣。

グリフォンを啄む程の大きさで、世界トップクラス。

覆われた羽毛は如何なる攻撃も弾き返す。

たとえ、ロトスのバリスタをもってしても、貫通力不足は否めないだろう。

超魔獣と分類されるような存在は、魔界の奥に潜んでいるとされ、蒼の山脈付近にいること自体が謎である。

 グリフォンのおかげで、旅の移動速度は格段に上がった。

風を切り、雲を見下ろし、山々を越える。

寒さもあったが、三人寄り添っているのと、グリフォンの暖かさで苦にならなかった。


世界がこんなにも美しいとは。


 西の彼方に富士を思わせる様な山影が見える。

休憩を挟み、食糧を調達しながら進んだ。


「多分、この山脈を超えると絶界だ」


「フィン警戒していくぞ」


名無しは不便だからと、グリフォンに名前を付けた。

未だに名前を呼ぶと喜ぶ。

素直な性格のようだ。


 絶界の大地に降り立った。

景色が変わった。

と言うか、植物群から種類が異なる。


「ここの水は大丈夫か?」


「あぁ、しかし、この先もそうとは限らないな」


「そうか、ならここからは歩いて行こう」


 フィンが役目を無くし寂しそうな顔をする。

荷物を持たせると喜んだ。


 プライにロックの魔粒子から作った弓を作らせた。

そう、いつの間にか矢だけではなく、より複雑なものを作れる様になっていた。


「この腕輪可愛いです。似合ってますか?」


「あぁ。ただ、どんどん揃いのものが増えていくな

今度街に行ったら、好きなもの身につけてくれ」


「良いじゃないか。仲間っぽくて」


パーティの証として、プライに揃いの腕輪を作らせたが、なかなかの出来だ。

フィンも非常に喜んでいるし。


 度々魔物が出現するが、難なく進めた。

新たな戦力のフィンもそうだが、何より、ルミナが連携の要として参戦する様になったのが大きい。


「ルミナ上出来よ。里での修行が活かせてるわ」


 知らないところで、ルミナは修行していたらしい。


あの時の決意はこれか。

心配はあるが、ルミナの決意を尊重しよう。



 ここ絶界に来て数日。

分かったことは、ここはほぼ魔界の様なものだと言うこと。

多分、人間界とは山脈で隔たれ、山の切れ目が魔界側なのだろう。

ただ、領域としては人間界に食い込んでいるからか、そこまで強力な魔物はいなさそうだ。



 しばらくすると、遺跡に辿り付いた。

なんとなくだが、神殿の気配を感じた。

遺跡に反応してか、プライが光だし、光の線が行き先を示した。


「なんだ?この先か?」


 祭壇があった。

やはりここは星泉だった様だ。


こんなところにもあるのか。


 ひとしきり調べ終えると、プライに変化が起こった。

プライが三層に増えている。


今度はどんなことができるようになったのか?

今のところ反応はないな。

伝承の英雄は違う順路で世界を回ったとして、他にどこに行けばいいのか。


 周辺探索を終えた。


「流石にこれ以上はないんじゃない?」


「そうだな。そろそろここも引き上げるか。

これからはまた本来の目的通り、東に進むつもりだ」



 注意深く、周囲を気にしながらフィンで空を飛ぶ。


「あそこ見てください、煙がっ!!」


「なんだ?この匂い」


 絶界を隔てている山から、硫黄の臭いが立ち込める。


フィンもそれほど警戒する様子はない。


「あそこに降りよう」


予想通りなら、あそこにはあれがある。


二人は不思議そうな顔をする。


「やはり、あった。

ここは温泉地帯だ」


 一面に広がる温泉地帯。

入るのに丁度良い程度の穴が無数に空いている。

覗き込むも、奥底まで見えない程深い。


「ここなら丁度良い。足湯程度にはなりそうだ」


「はぁ、あったかいです」


「フィンもあんなにはしゃいでる」


「湯に入れたら良かったが、流石にこれだけ見晴らしがいいとな」


「あのリクトさん……

ここで少しお時間いただけますか?

出来たらお風呂に入りたくて」


配慮が足りなかった。

女性なら、入っておきたいか。


「なら、2人でゆっくり入ってくれ。オレはもう少しこの辺りを見回ってくる」


「なんだ、皆で入れば良いだろう」


セルフィーはこーゆー時、男勝りと言うか豪快と言うか。

ルミナが慌てて止めなければ、断るタイミングを逃したかも知れない。


フィンに見張りを頼み散策する。


何だこの硫黄だろうか、この赤いのは。


匂いや見た目は、現世の硫黄と変わりないが、この辺りのは緋に輝いていた。


 散策を行っていると、プライが緋く染まって行く。


「なんだ?いきなり。ここのガスでも吸収したのか?それとも錆びたりするのか?」


金属の次は気体を吸い込んでいるようだった。

全く不思議な存在だ。


 染まりきるまで待っていると、二人の悲鳴が聞こえて来た。


立ち戻ると、巨大なモグラ型がいた。


「大丈夫か!」


悲鳴と共にルミナがしゃがみ込む。


セルフィーはっ⁈

っと……

簡単な布一枚で即座に臨戦態勢だ。


いや、大事なことだが、勇猛すぎないか?


「ここはオレが引き受ける。フィン、二人を安全なところへ」


 [ニトロアングラです。この矢を推奨します]


「おう!!」


ん?どこからだ?

聴いたことのない声だったが。



「こんなもんか?案外あっけなかったな。」


ロック弓か、プライの成長か。

核の大きさの割には一瞬だった。


「ん?プライの成長?

一大事だったから気にしていなかったが、プライはどうなった?」


プライが喋っている。


 プライ曰く、吸収したマテリアル緋が革命をもたらしたのだとか。

基本的に星泉のある祭壇の近くには、それぞれ適したマテリアルがあるらしい。


なら、ロトス周辺にもあるのか?


多少の情報は聴けたが、まだ本調子ではないらしく、今は呼びかけに応えない。


今はそれよりも二人の安全を確かめないと。


我に帰り皆と合流する。


「すいません。わたしがわがまま言ったから」


「そんなことはない。それより、気持ちよく入れたか?」


はい。

とさっぱりした笑顔で答える。


それなら良かった。


「リクト。プライが変化しているな。また、力を手に入れたのか?」


「みたいだ」


「緋と蒼に輝いて綺麗ですね。

ロトスで重なった二段目が色なしですが、次は何色でしょうか。」


プライはこの絶界に来て、一層と一色の変化……

いや、進化したのだった。

ご覧いただきありがとうございました。

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