エルフのセルフィー
紹介
ギール ロトス筆頭貴族ガスト家
男性 20代前半
容姿 金髪で長髪。しなやかで流麗な立ち振る舞い
性格 貴族主義。選民思想。唯一叔母には弱い。
スキル レイピア使い。万能に秀で、マスタの素質もあると噂される。
ロトスから離れ、初めの村で荷馬車を降りた。
ロトスから北に位置する村で、林業が中心らしい。
「ここからでも、ロトスは見えるんだな」
とにかくだ。
無事脱出できたことは良かった。
追っ手などもない。
あのまま街にいたら問題だったろうが、居なくなればそこまで危険視もされないのだろう。
少し落ち着いたところで、ルミナとしっかり話さなくては。
「リクトさん。私を旅に連れて行ってくださいませんか」
どうしてそうなる?
「戦闘の役には立てませんし、大した魔力もありません。父の残した手記に王都のことが書いてありました。父のことがしりたいのです。リクトさんも王都に行かれるとのことで、ご同行させていただきたいのです」
帰郷したら、自分のルーツを知りたくなったって感じか。
簡単にいいと言ってやるわけにはいかない。
「王都に行くだけなら、同行せずとも。ましてや、リスクを犯してまで脱出せずともよかったろう」
ルミナは自信なさそうに、不貞腐れるように言う。
「昨日お話ししたことお忘れですか?」
はて?
「リクトさんに助けられたのです。リクトさんのおそばでお役に立ちたいのです」
すごまれるとそれ以上は詰めれなかった。
まぁ、危険は去ったことだし、これからは慎重に行けば危険も少ないだろう。
東に向かうなら、魔物も出ないはずだ。
一応のまとまりを見せた話し合いの結末は、猛獣の出現で終わった。
村人の慌てふためく声。
森から熊や猪が出現したのだ。
何かに逃げ惑うように荒れ狂う獣達。
「森で何があった?」
「わからねー。こんなことは初めてだ。まだ森には残っている奴らが」
「ルミナはここにいるんだ」
森に入る。
今のところ変哲はないが、妙に殺気立っている感じがする。
中心部に入ると木々が薙ぎ倒された場所に出た。
「誰だ。ん?これはエルフか?」
渦中のエルフが手負いで現れたのだ。
騎士団から逃げたのか。
森の動物にやられたのか。
性別が分からないほど端正な顔立ちをしていた。
ひとまず村に連れ帰ることにした。
村人は恐れていた。
「こんなやつロトスに引き渡すべきだ」
手負いのうちにとの話だったが、なんとか説得して手当てすることに。
「ルミナお願いできるか?」
ルミナは怖がりながらも、手当てに応じた。
「やっと目が覚めたか。オレ達は旅のものだ。危害を加えるつもりはない。何があったか話してくれないか?」
警戒心がないわけじゃないが、手当て跡を見て話始めてくれた。
「ロトスの状況は耳に入っていた。しかし、あり得ない濡れ衣だ。あそこには兄夫婦が暮らしているんだ」
身内の危機を聞きロトスに来たらしい。
しかし、街に近づくにつれ迫害が増してきて、森を進行していた。
「森の民だ、なんら不便はなので。が、この森はおかしい」
このエルフはなにか異変を感じていたようだ。
「今は一刻も早く街に入りたい」
「焦る気持ちも分かるが、今はやめとけ」
「いや、もしかしたらとんでもないことになるかもしれないんだ」
「そのとんでもないこととは?」
「魔獣の復活。不吉な感覚がある」
たしか、図書館で読んだ。
100年前にこの地を襲った魔物を凌ぐ魔、魔獣。
エルフの伝承にも出てくる災害。
「たしかなのか?」
「分からない。懸念程度だが」
と煮え切らない答え。
ただ、否定できないほどの不安があることは確かだ。
どうする?
脱出した手前、ルミナを危険に晒すことは出来ない。
「リクトさん。行きましょう。助けてくれた方々を見捨てるわけにはいきません」
そうだな。
何を躊躇ったんだ。
女将さんやパーズを見捨てるなんて出来ない。
多分このことをいち早く知るためにあの街を出たんだ。
村人に話を通そうとするも信じてはくれなかった。
森に残され助け出した農夫だけが協力してくれた。
「旦那、この荷台に乗ってくれ。資材搬入と共にあんたらを街に入れる」
エルフとルミナと共に、道中段取りを立てながら進んだ。
「遅くなったが、私の名前はセルフィー。北西の蒼の山脈にあるエルフの里のものだ」
「リクト」
「ルミナです」
「リクト、それは神の鏡じゃないか?」
セルフィーがプライを指す。
「神の鏡?」
「言い伝えにある神器だ。なぜお前が?」
詳しい話は省き、巨像からのドロップ品とだけ説明する。
「私が知っているのは、属性付与の効果だが、これはものを作れるのか?」
伝承では、物質に属性付与を行うものだと言う。
「そうか、神に選ばれた存在なんだな。あなたを頼って良かったのかもしれない」
必要以上の期待がのしかかっているようだ。
セルフィーはおもむろに、話だす。
「エルフが弓を使うと言うのは誤りだ。魔法に長けたエルフ族は、魔法槍を得意としている。それが弓を放つ様に映るのだろう」
エルフでさえ、弓は使わないと言うではないか。
どこまでも不遇。
ならば、どこから疑惑が持ち上がったのか。
「エルフは魔力は高いが、力は弱い。魔力枷の出現から、奴隷として連れ去られようになっている」
セルフィーの話は人間の淺ましさを示すものだった。
中にはちゃんと人の世で暮らすものもいるが、解決には至っていない。
「兄夫婦は長らくロトスで暮らしているが、その影で貴族が横暴を行っていることも把握している。エルフの保護と交渉が上手くいかなくなっている」
目の敵にされたと言うかことか。
闇を見た気がする。
街に潜入した。
物々しい警備が敷かれている。
どうやら、あの森で起こったことが問題視されているらしい。
街中央の広場にエルフが集められていた。
「この叛逆者共」
その中には、セルフィーの兄夫婦もいた。
「くっ、ただでは済まさん」
「待て」
怒り狂うセルフィーを抑え、成り行きを伺う。
「ギール殿。全てのエルフを捕らえて参りました。いかがしましょう」
王国指折りの都市と言っても、エルフの人口は数100程度。
そのほとんどが街の人間で、叛逆の色は見られない。
「こやつらが手引きした可能性が高い。火炙りにし、賊を炙り出せ」
状況悪化し加速する一方だった。
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