夢で逢えたら-6
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翌朝も掲示は変わっていなかった。
放課後になっても掲示は変わらなかった。
理科室の中は、緊張が張り詰めていた。賀津美は今にも飛び出して行きそうなくらい苛立っていた。しかし、晴はそんな賀津美をなだめながら止めた。それが賀津美には不満だった。
「どうして、文句言っちゃあいけないのよ」
「でも、……きっと、先生も忙しいんだよ」
「そんなこと言ってたら、もう名前載らないよ。もう、来週になったら、取り外されちゃうんだから」
「…ん。いいよ、それでも」
「あっきれたぁ。あんた、それでも男の子?はっきり言わなきゃならないときは、はっきり言うの」
「でも……、そんなことで賀津美ちゃんがでしゃばらなくてもいいよ」
「でしゃばり?あたしが、でしゃばってるって言うの?あたしはね、あんたのためを思って、言ってるのよ」
「でも…」
「じゃあ、訊くわ。『小山田晴君は、今回成績が良かったです。なんと、二〇番に入りました。名前が掲示されることになりました』嬉しくないんですか?」
「……ん」
「嬉しいのか、嬉しくないのか、はっきりしなさい!」
「…嬉しいけど」
「けど、は、なんなのよ。そんなのいらないわ。『嬉しい』それでいいじゃない」
「…ぅん」
「じゃあ、もひとつ訊くわ。『なんと、名前が掲示板に載ってません』残念で仕方ありません?」
「……」
「どっち!残念なの、残念じゃないの?」
「……残念」
「でしょ?だったら、言いに行かなきゃ、ただのバカよ」
「…いいよ、ただのバカで」
「なによ、意気地なし!もう、あんたなんか、知らない!」