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グリーンスクール - 夢で逢えたら  作者: 辻澤 あきら
5/9

夢で逢えたら-5


 数日経っても掲示は訂正されなかった。

 賀津美は思いあまって、山近先生に言いに行った。しかし、山近先生は、そう、としか言わなかった。

「あたしは、ちゃんと、担当の島抜先生に言っておいたんだけど」

「島抜?」

「そう、今回の成績の掲示は、島抜先生が担当だったのよ。忙しいのかもね」

「でも、あの掲示って、一週間くらいでしょ。だったら、すぐ取り外されるんじゃないんですか?」

「あぁ、そうね」

「そうねって、だったら、早く訂正しないと。折角、二〇位以内に入れたのに」

「そうね。もう一回言っておくわ」

そう言うと山近先生は書類に目を通し始めた。まだ文句言い足りなかった賀津美は、食い下がろうとしたが、晴が出ようと腕を引いたので我慢した。

 「なんなのよ、あの先生」

「忙しいんだよ、山近先生も」

「でも、もうちょっと真剣になって欲しいわ。折角、二〇番よ。憧れの掲示板。でしょ?」

「ん…、でも」

「島抜って、美術の島抜先生よね」

「うん、…たぶん」

「あたし、文句言ってきてやろうかな」

「やめとけば。本当に忙しいのよ」

「でもね、萌ちゃん。あそこに名前が載るって、どんなことかわかるでしょ?」

「ぅん。でも、きっと、訂正してくれるわよ」

晴は俯きながら賀津美の後ろをついてきていた。

「晴君、あたしが直談判してきてあげようか?」

「ん。いいよ。きっと、訂正してくれるよ」

「じゃなかったら、あたしがあそこに訂正の紙を貼ってやる」

賀津美がそう豪語していると、バケツを持ったおさむに出くわした。

「あら、おさむ君。どうしたの?」

「んー。ミミズ」

みんなが覗き込むと、バケツの中にはミミズがたくさんいた。

「もう獲ってきたの?」

「ん」

「早いね」

「早くしてやらないと、死んじゃうよ、モグラ」

そうあっけらかんと言うおさむを見て殺気だっていた賀津美が微笑んだことで、一群の雰囲気が明るくなった。

「さぁ、クラブに戻ろう」

賀津美は晴の背中を叩いた。

「ま、元気出して。絶対、名前載るから」

晴は賀津美の顔を見て頷いた。



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