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人探しの戦闘機工  作者: 月読雨月
六章 火の機械世界
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12話 振り出しに戻る

 振り出しに戻る




「皆大丈夫かい?」


 皐月の声に、皆が大丈夫と返す。


「うう、なんとか。大丈夫よ」


 私も何とか返事する。すると、マーキュリーが周りを見渡しつつ、


「本当に、他の皆を文の基地に置いて来て良かったわ! こんなことになるなんて思いもしなかったもの」


 塩水飲んじゃった、まあ命があるだけよかったわ。それはそうと、マーキュリーの言う通りね。ほかの人なら死んでたかも。


「す、すまない。誰か我を布団に連れて行ってくれないか?」


「あら、高と、いやサターンが疲労困憊ね。儂が連れていくわ」


「あ、ありがとうございます。ヴィーナス様。さっきのワームホールで力を使い過ぎて、へろヘろなんです」


「あ、それなら、私、ウィンディーネウォーターが案内します。あっちの部屋に、ベッド室がありますので」


「あ、あたしも、行く。寝たい」


「僕も少し疲れたよ」


「あたしも~」


 と、雛、奈波、光も行ってしまった。残された私こと式と皐月、マーキュリー、文、飯野とムーン、残った魔法少女たちは、そのまま作戦会議を開始することにした。


「まず、なんで作戦がばれたのか調べないといけないわ」


「ああ、それは簡単だ、簡単すぎたんだ」


「え、どういう事かしら? 解りきっていたって事?」


「ある意味そうだね。作戦が簡単すぎて、その上で、効果的だから使ったんだけどね。それを逆手に取られたんだよ。相手は対ゲリラ戦慣れしているのか、または未来演算機にアクセスできるかなんだけど、それは……ってそうか、もしかすると、と言う事は、そっか、ならあり得るのか」


 なんか文が一人で納得しているし、どういう事?


「ムーン、未来演算機に君もアクセスできる、と言うかサンと念話できるよね」


「サンでござるか? 可能でござるがそれがいかがしたか?」


「いや、恐らくなんだけど、私たちが未来演算機って呼んでいる者ってサンだと思うんだ。前に神奈が一緒に旅していた時も、未来演算してたって話なんだよ」


「成程、それで、マーズもこちらの作戦を呼んだという事にござるか?」


「……と思う。まあ、神奈にアクセスできない私では、ここまでの演算しかできないんだけどね」


「で、今からどうするのさ、このまま逃げるなんて許されないわよ」


 たしかに、マーキュリーの言う通り、このまま逃げたら、魔法少女たちが途方に暮れるだろうし、このまま負けっぱなしと言うのも嫌だ、それに放っておいたら何をするか分からない連中だと思う。だから、


「作戦はあるのかしら?」


 聞いてみた。どんな無茶な作戦だろうと乗る覚悟はある。


「その前に、儂の話を聞いてほしい」


ん? この声は、ヴィーナス? 


「どうしたのかしら? 今必要な情報なの?」


「ええ、敵の正体についてよ。儂の頃から変わっていると思っていたから、言わなかったんだけど、変わっていない。そう判断して、伝えるわ。敵は、信長よ」


「え?」


皆に沈黙が流れる。どういう事?


「詳しく言うと、マーズの称号を得ているのは、信長公、彼女とみていいわ」


「ちょ、一か月前にあった、マーズは、お爺さんっぽかったわよ。そんな彼女と言われる姿ではなかったわ」


「え、じゃあ、違うのかしら? でも、戦法と言うか、戦術が信長公っぽかったんだけどね。まあ確かに、信長公はツインテールの赤髪、歌舞いた服装で、お人形のような人だったから、違う人かもしれないわね」


「たしか、アミを操ったりできていたから、操ることに長けた人なのかもしれないわ」


「アミって、たしか鬼の要素を持ち合わせていたわね? じゃあ、特徴も一致するわ。彼女の生前能力は、魔の者の操る力だったから。姿を変えたとか?」


 まあ、あり得るかな? 見た目なんて、エステ屋さんに行けば変えられる世の中だし。


「本当にそうなら、勝てる気がしないんだけど」


「そんなことないわよ。信長公は負け戦多いし。それに結末を知っているなら、弱点も見えてる。火攻め……、あっそうか、いま彼女は、マーズ、つまり、火星だったわね。ミスったわ」


「えええー」


「なら、計算外だろうって行動をするのはどうかしら?」


「どういう行動なら計算外かな? と言うか、計算外の行動でうまく相手の作戦を破れるのかい?」


「多分、いける。と思うわ。で、その作戦っていうのは、もう一度、正面から、攻めるだけなんだけどね」


 ? ? ? 何言ってんだろう。この人は。


「いや、そんな事したら、また待ち伏せされるだけなんじゃ?」


「その可能性もあるけど、逆に考えると相手は油断しているはずなんだよ。けど警戒はするよ。皐月、ソナーに敵潜水艦って映ったのかな?」


「30秒前にソナーの範囲内にいきなり現れていたよ。多分異世界からの転移で、現れたんだと思う。だから、潜水艦からの攻撃で合っているよ」


「なら、同じ手を使わせない方法が私にはあるわ」


 お? マーキュリーが自信満々ね。


「ならその作戦で行こう。で、皐月は対潜行動を任せるよ」


「了解だよ」


「それじゃあ、もう一回行くよ!」


「おー!」


 って何かやれそうな雰囲気出しているけど、行ける気がしないんだけど……。


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