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人探しの戦闘機工  作者: 月読雨月
四章 賢者の吸石
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8話 リーダーについて

8話 リーダーについて




「成程、そんな話をしてたわけね。というか、いつの間にか朝ね。みんなよく寝たものね」


数分前、目が覚めて、少しぼーっとしていると、皐月が、


「みんな聞いて!」


と言い、話し出した夜中の話。それは、眠気を覚まさせるには至らなかったけど、でも驚いたわ。あの人が見捨ててでもなんて言葉を吐くなんて。


「まあ、気に留めとくだけにしときましょう。と言うか、真井は大丈夫?」


「え、あ、う、うん。だ、大丈夫、じゃない、かも。それって私、死ぬ可能性が高いって言われているようなもんだもんね」


「あ、そ、そう聞こえるね」


「そうだよね。でも、僕たちが付いているから安心してよ」


「あ、ありがとう。でも、今日は最後の晩餐の気分でいっぱい食べるわ」


「あの~、皆さん。宴の準備ができましたよ。さっきの倉庫まで案内しますね。それにしても、朝になるなんて思いませんでした」


とドアを開けて、少女が現れた。


「ありがとう。じゃあ行こうかしら」


「うん」


「ええ」


「わ、わかった」


4人で少女について行き、さっきの倉庫に着くと、


「かなりの量の料理ね! それにとても美味しそう!」


「確かにこれはすごいね。気分が上がるよ」


「た、沢山食べていいの?」


「こうなったら美味しそうなものから食べていくわ!」


真井は、ドスドスという音が似合いそうな足取りで料理を取るためのお皿を貰いに行ったみたい。


「じゃあ、僕も行ってくるよ」


「あ、あたしも」


「まって、私も行く……」


追いかけようとすると、肩をつかまれた。誰?


「少し料理を取ったら、私と一緒に食べませんか?」


「はい」


何故か、ウエアに捕まったの。なんで?




「来たわよー」


「ありがとうございます」


美味しそうな、カレー、ラーメン、焼きそば、うどん、炒飯を取って、ウエアの隣に座った。


「で、何の話がしたいのかしら? 私に話せることなんて何もないわよ」


「えー、あ、いえ、リーダー同士話したいなと思いまして」


リーダー? それも私が?


「え、私リーダーなんかじゃないわよ。あの二人のほうが強いし、いろんな事を知っている。まあ私は足手まといとまではいかないけど、二人よりは使い物にはならないわよ」


「そうなのですか? ですが、人をまとめる力を持っているように見えます。それに、リーダーはそんなもので決めるものではなりません」


「じゃあ、何がリーダーを決めるのかしら」


「コミュニケーション能力と大きな視界を持てる事ですかね」


「うわ、現実的。でもそうね。それで会っていると思うわ。けど、私はそれを持っていない」


「そうなのですか? 視野は広いと思いますし、あの3人よりは話しやすいと私は思いますが」


「そんなことないわよ。だって、私は」


他人との会話が苦手だから。そうなのだ、私は苦手だ。でもさ、話して、折り合いをつけないと生きていけない。それが人間なのよ。そう言おうと思ったけど、その前に、


「自己評価をすることから始めなさい。あなたはあなたが思っているより、凄い人間です。弱いところ、強いところを再確認したほうがいいでしょう。でもまあ、あなたはリーダーの素質を持った人間ですよ。思いっきりもいいですし」


「そう……かしら?」


「そうですよ。だから、自信を持ちなさい」


「自信ならあるわよ。睦の一番弟子だっていう自信が」


「ふふっ、ならその自信をもっと広げるべきです。後、炭水化物取りすぎでは?」


「え、そう……かしら?」


「全部炭水化物入っているでしょう!」


「え、カレーと、うどんは飲み物で、ラーメンは汁物、焼きそばをおかずに、炒飯を米として食べようかと」


「かなり狂っていますね! まず米や麺の入った飲み物って何ですか! 次にラーメンは、主食です。まあ炒飯との親和性は認めますが、焼きそばをおかずってどういう事ですか!」


「そんなこと言ったら、あなたが食べている物だって、サラダばっかりじゃない?」


「私は、生き物の命を食べるのが嫌なのです。なので、葉物や根菜で、取ってもまた生えてくるものを主に食べているのです。が、私はこれがエゴだとも思っています。自分が生き物食べない事で、生き物が殺されるのが止まるわけでもないですし、ましてや、他人に強要するべきことではないってことも解っています」


「なんかすごいわね。私はお肉食べないとかできないわ」


「そうなのですか? ですが慣れればできますよ」


「慣れる……か。成程ね。私もリーダーに慣れてみるわ」


「それがいいでしょう。ですが、無理やりに慣れるのではなく、自分らしさを出しつつ慣れていくのがいいですよ」


「ありがとうね。じゃあ、私はいつも通りで行くわ」


「それでいいと思います。そういえば、お皿が空ですが、何か取りに行かれますか?」


「そうね、他の子とも話したいし、少しカレーを食べつつ行ってくるわ」


「やっぱりカレーは食べモノですね」


あ、バレた。こうなったら、逃げるしかないわね。

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