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人探しの戦闘機工  作者: 月読雨月
三章 紀光防衛戦
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7話 鉄の腕

 鉄の腕

 



「誰!」


「誰でもいいだろ、マグネットハンド!」


その掛け声とともに、壊されたマンマルちゃんの破片が、敵の右手に集まっていく。そして、それは大きな手のようになった。その腕を振り上げ飛び降り、


「自殺かな?」


「どっちにしろ、あの質量だ! 衝撃が来る、逃げるよ!」


「う、うん!」


できるだけその場から離れる為に、後ろを向いて、走る。少し走ると、大きい音と主に、

後ろからすごい衝撃が来た。思わず前に倒れこみ、

 

「凄い衝撃ね。皐文大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ。僕は素早いからね」


かなり遠い、ビルの上から戻ってくる皐文。そんな所まで行けるなんて、どんだけ早く走れるのよ。さっきの男が落ちたところを見ると、その男が立ち上がり、右手がかなり膨らんで見える。おそらく、機械が大量にくっついているんだと思う。その手を開き、こちらに向かい、何かに光を照射しようと、


「って、あれ避けなきゃ!」


アレは多分、キャトルつもりだ! ギリギリ回避して、苦無を投げつける。右手で止められたが、苦無は引き寄せられることなく、手元に戻る。


「なぜ、俺のマグネットハンドに吸い付かない? まあいいか、そんな苦無一つでどうすることもできないだろう。今のうちに投降するなら申し出ろ。こちらにもその準備はある」


「あの能力は鉄製の武器を取り上げられる能力だね。でも、あれ魔力を磁力の代わりして使っているものだね。なら、僕たちには効かない」


「まって、私、苦無を射出した時、少し吸われたんだけど」


「見た感じ手が義手なんだよね? 多分そのせいだよ。苦無で、それを阻害しているからね。苦無を射出したら、吸い込まれるよ」


「なるほどね」


私は空気を吸い込み、


「私たちは投降なんてしない! 逆にあなたがそれを考えることね」


と大声で答える。それと同時に、敵の大きな機械腕が振り下ろされる。


「本当に聞く気あったのかな? まあいいや! とりあえずその面倒くさい手をどうにかするよ」


忍び刀を取り出して、爪のようになっている、マンマルちゃんの足だったものを切り落とす。しかし、


「それがどうした! それぐらい、すぐ回収できる!」


すぐに、吸い付いた。そしてまた爪のようになる。


「これじゃあ、いたちごっこじゃない!」


「そうだね。さてとどうしたものかな?」


「策はないの? じゃあ、私が戦車を出して」


「それは不味いね。あの手、機械そのものの力も使えるみたいだね、だから、あの手に、戦車の力もくっつくよ」


「あ、そっか。でもどうすれば……」


共に、敵の腕を回避し逃げながら何とか会話する。何か考えないと。何か何か!


「ぱっぱと本人を忍術で倒せないの?」


「僕の忍術はそんなに便利ではないよ。けど、まあ電気と水属性の忍術は使えるよ」


「じゃあ水をかけて、あの機械を破壊するのは?」


「あれは電気で動いてないし、難しいかな」


「じゃあ、あえて電気流して、稼働させるのは?」


「あれは、動力源は魔力だよね。だったら、稼働させれないよ」


「じゃあどうすれば!」


「う~ん、あっ。一つ面白い作戦があるよ。僕が突っ込んで、そちらに光を照らしたら、機工を起動させて、戦車を出庫するんだ。そして、敵を撃つシンプルイズベストだね」


「いや、それじゃあ、私の戦車が吸収されるって、あなたがさっき言ったじゃない」


「だから僕がギリギリまで接近するんだよ」


「どういう事? まあそれでいけるっていうなら、私はのるわ」


「じゃあ、行くよ!」


皐文は鉄の腕に突っ込み、指一本一本切り伏せる。


「魔力吸収開始!」


さっき迄だと、すぐに回復した鉄の指が、切り落とされたままになる。


「マグネットハンド、マグネットハンド! くそっなんで吸着出来ない!」


「このまま行くよ!」


そして、こちらに光が当たった。おそらく通信端末の機能によるものだろう。


「機工起動! 出庫開始! 皐文! 耳をふさいで!」


戦車を展開、乗り込んだ。そして、驚く青年男性に砲撃を叩き込んだ。


「え?」


爆発が起きない。どういう事?


「やっぱり来たね。ゴト!」


「ここで、この子をやられるのは困る。それにこちらの目的は達成したしな」


砲弾を片手で、叩き飛ばしたのはゴトだった。どうやって? で、その隣に、なぜか、紫波がいる。


「紫波、捕まったのかしら? 今助けるわ」


「……いやいいし。悪いけど、あっしは、ゴトに着くし」


「どういう事?」


「……あっしは、意識の統合は反対だって話だし」


「?」


「……じゃあ行くよ」


それだけ言うと、紫波と男は消え、ゴトはどこかに飛んで行った。

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