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人探しの戦闘機工  作者: 月読雨月
三章 紀光防衛戦
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2話 戦いに向かう気持ち

戦いに向かう気持ち




研究所に着くと、私たちは文に丸い機械の話をし、


「……成程、敵襲だね。此処でも聞こえていたよ。じゃあ、皆対空、陸戦の準備」


「うん」


「分かったよ」


「わ、分かったよ」


こうして、この外の町は戦場となることが決まった。


「……総員戦闘準備、説明を聞いて、準備ができ次第、ショートカットから出撃だよ」


「はい!」


皆が声を合わせて答える。みんなやる気は満々。皆来るであろう敵に恨みがあるからだね。みんなを育てた紫波を瀕死にしたことを忘れはしない。だから、皆一致団結している。


「……飛行部隊は地上戦を、おっとまずは住民の安全確保だね。地上に収容ポットを出すよ。そこに避難を頼んで」


「御意」


「……次に、対空装備持ちの子たちは、港と丘に展開。空の敵を落として」


「うい」


「……地上戦特化の子らは地上戦で、指揮を執ってもらうよ。ただ、紫波の拠点が海にあったからね、地上戦闘特化の子は少ないんだよね。だから、雛にも指揮を執ってもらうよ」


「はい」


「じゃあ全軍出撃。ゴトを倒すよ」


「おおー!」


「ねえ、文。聞いていい?」


「……何かな」


「さっきから、御意とか、おおー! とかスピーカーからなんで流しているの?」


「……やる気出るでしょ?」


「いや、返事ぐらい皆するし、そんな小細工しなくても」


「……和むでしょ」


「和ませたいの!? まあいいや。じゃあ出撃の準備に入るわ」


でも助かったわ、私かなり緊張していた。戦争だもん、はっきり言ってかなり怖いと思う。出たくない。行きたくない。はっきり言って今私を占めている感情はそれだ。怖くて、恐ろしくて……。でも、皆の期待に応えるために、そして、皆を守るために、そんな重圧がある。でもさっきのちょっとしたおふざけで、少し落ち着いた。


「……式、君に一言。やれなくてもいい。だって、ここで負けても私が捕虜になるだけだからね。君たちも捕虜にはなるだろうけど、ゴトの味方になる言えば、すぐに自由になれるだろうね。だから、勝つなんて無理だと思うなら、私を差し出してもいいよ。又は逃げてもいいしね。カッコは悪いと言われるかもしれない、逃げたやつだと蔑まれるかもしれない。でもいいんだよ」


「でもさ、でも私は、さ、そうはしたくないの。だって、大切なものをもう失いたくないのよ。カッコ悪い、蔑まれる? そんなのどうでもいいの。そんな他人の評価より、自分の命のほうが大切だもの。でも、これだけは譲れない。譲りたくないんだ。私を育ててくれた、睦と同じ名前を持つ、あなたたちや、旅の途中で仲間になってくれた、皐月を守りたいって気持ちに嘘はつきたくないんだ」


「……そっか。ならば、指揮をお願いするね」


「解ったわ。文も、紫波も私が、私たちが守るわ」


「……頼んだよ」


「ええ、行ってくるわ」

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