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人探しの戦闘機工  作者: 月読雨月
二章 日本海戦
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17話 荒治療

 荒治療



皐月と雛の戦いは、半数が見ていた。いや、半数しか見ていないというのが正しいかも。残り二割は先の戦いで大怪我を負い、回復ポッドへ、三割は倒れている紫波に声をかけたり、仲間の怪我を手当てしながらも、どこか上の空で、希望を失っている。そういえば、さっきまで紫波は居なかったのにどうして、ここにいるのだろう。そう考えてみると、そういえば、後から雛が来ていた、つまりその時に魔法陣は起動した。という事は、雛が連れてきたんじゃないかな? と結論付ける。文が、紫波を心配する人たちをかきわけて、紫波に触れる。そして、傷跡を見つけると、


「……成程ね。紫波はこの傷のせいで、電力が回らずに再起動できないんだね。けど、ここ漏電していないのが気になるね」


そう言うと、何かドラム缶みたいな大きさの機械に紫波を入れる。


「……成程、ここの部分、電気が通らなくなっているね、これは厳しいな。これを解除するとなると、ここの施設じゃ、1週間はかかる。そうなると紫波のデータ復元、意識回復は絶望的だね」


ああ、紫波もあいつにやられた訳ね。なら、私は紫波に近づき、苦無を突き立てた。


「あんた何してんのよ!」


その声と共に周りの人々は私を紫波の元から引きはがす。まあいいわよ。目的は果たしたから。まあ殴られるのも甘んじて受けるわ。


「……君は、紫波に恨みでも、って紫波が漏電している? それも、さっきの刀傷の部分から? もしかするとだけど、その苦無のおかげ? という事は皐文からもらったものかな。ってそんなこと話している場合じゃない! これなら修復できる! ありがとうね、式」


「やっぱり、そうだったのね。どういたしまして」


となると、紫波を攻撃したのは、私の腕を切った男なのね。魔法陣から現れないわよね。周りの皆は、私を殴る手を止めて、紫波の治療を拝みながら見ているようね。

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