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人探しの戦闘機工  作者: 月読雨月
二章 日本海戦
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12話 コンボ

 コンボ



「……準備できたし?」


僕は再度器工の表示を確認する。よし、


「大丈夫だよ。造船、命名完了だよ。今すぐにでも行けるよ」


戦火の中、地獄のような光景の中、機工から駆逐艦皐月、文月を出撃させる。操作方法は自動に設定、攻撃目標は上空の敵。それが出たのと同時に、紫波の配下たちは船に下りて来る。


「し、紫波様、さ、作戦通り、おお、下りてきました。け、けど、あ、あの2隻の船で、なな何が出来るのですか?」


「……ご苦労様、雛。空を飛んでいたら、おんしら巻き添え食らうし。だから下がらせたし。あの駆逐艦は二隻そろうと」


機銃が動き出し、敵を狙い、撃ち始める。命中確率は1割になるが、船からの狙いにしては上出来だと思う。そしてそれ以上に、敵が混乱している。


 「……今だ! 総員かかれ!」


その声と共に、皆が空に上がる。怯えて逃げ出した敵もいれば、錯乱しているようで、武器をその場で振り回している。ただの対空射撃、さっきまででも、この間も行っていた攻撃だ。そのはずなのに、敵は怯えている。


「どうなっているんだい? これ」


「……簡単だし。君の造った船には、逸話が有るんだし。その逸話を再現するために、魔力を込めた機銃が載っているはずだし」


「どんな逸話だい?」


「……二隻で、百機以上の撃退、その内、11機を撃墜したという話だ。だから、上空の者たちはこの船に怯え、この船に、1割落とされる」


「そんな因果を付与したんだね。ってことは、それを仕掛けたのって、希和なのかい?」


「……うん、そうだし。まあ、あっしが知っている理由としては、希和のレポートに書いていたからだし」


「やっぱり、君も紀光の名の者なんだね。にしても、これなら何とか守れそうかな?」


そう僕は、いや、僕たちは安心した。敵に関心を向けないまま慢心した。


「紫波様! 水上より、攻撃を受けています! ご指示を!」


「……なに? だけど、そんな船何処にも」


「いえ、歩兵です。何故か海を歩いています!」


「ど、どういう事!」


柵から身を乗り出して、下を見る。20人ぐらいの部隊が、海を歩いている。こんなに波もあるのに、どうやって? それに、真ん中で、十字架を持ち、祈っているのは何故?


「……皆、あの祈っている少年を狙うし。あいつが海を渡るためのキーマンだし」


「了解!」


 銃を持っている人たちや弓を持っている人たちが、祈っている少年を狙い撃つ。しかし、弾や矢は、その少年を避けるように、軌道が変わる。


「何で当たらないんだい!」


あり得ない。あり経ないほど、曲がって、弾や矢が逸れていく。


「直接攻撃を仕掛けたいけど、下が海だからどうしようもないよ」


「……申し訳ないし。あっしの読み間違いだし。しかも、船に乗り込まれてしまっているしね。これはあっしの負けだね。じゃあ非常用の転移陣の部屋に行くし」


「う、うん。けどどうしてこの程度で負けなのさ」


「……ああ、あっちは、こちらの拠点に侵入したんだし、そこからなら、やりようはいくらでもあるって事だし。例えば」


船底で爆発音がした。


「……これも一つの手だし。つまり、海中の生物と潜水艦、海上の船、空中の動くものには目を向けていたが、船ではない者には目を向けていななかった、あっしの負けだし。さあ、とりあえず、式を連れて来てくれ。あ、そうだ、機工と八角形の方の器工、いやあえてアレは、武工と呼ぶかな。あれらは、二つとも装備しても問題ない。みたいだし」


「へ? あ、うん分かった。行ってくるよ」


式は大丈夫だよね? そう信じながら、治療室に向かった。

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