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人探しの戦闘機工  作者: 月読雨月
二章 日本海戦
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2話 電車

 電車




道沿いに歩き、町に着いた私たちは休むこともなく、電車に乗り込んだ。


「着いたのが朝って、私たち、お昼にこの世界に着いたわよね。なのに、夜って、前の世界で行った最寄りの町でももっと近かったわ! めっちゃ疲れた!」


今は。電車の個室で、シートにだらりと座り、一息ついている所。木々、積もった雪、民家が流れていくわ。雪が止んでいたの輪幸運だったわね。


「ふぁあ~ぁ」


思わず欠伸が出てしまう。安心したからかしら。少し寝ても、ってそういえば、さっきから皐月の声が……。


「すぅすぅ」


って、皐月寝ていたのね。じゃあ私も、このまま寝てしまおうかしら。暖房の効いた車内は、とてもすぐに私たちは夢の中に誘われた。




「……式、悪いが、そこの金属をその画面の形にしてくれないか?」


あ、夢ね。懐かしいわね、この光景。そうそう、あの機械に、データを送って、少し良くなるように、改良を加えて、この後たしか、


「出来たわ、睦。これでどう?」


そうそう、この後、隣にいた久礼くれにひょいと取られて、


「違う、式。形が違う。私のやったほうが精密に作れる。睦様、私が作ります」


「何よ! これ付けたほうが、後々楽できると思ったのよ! いらないなら後で簡単に取る事もできるようにしているのに、何言うのよ!」


久礼とはよく喧嘩したなぁ。今なら久礼の言ったことも、理解できる。けど私は、このほうが良いと思っていたのだからしょうがないわね。


「……式は、人の下で収まる人間ではないのかもな。ありがとう二人とも。両方使わせてもらおう」


その言葉に私たちは喜んだが、私は久礼へ、久礼は私へのライバル心を募らせることになったのよね。


「睦の役に立ててうれしいわ」


「睦様の役に立つことが、私の喜びです」


私はしっかりと睦の目を見て、笑顔で答える。対して久礼は背筋を伸ばして、手を地面に突き刺せれる程、ピシッと伸ばしつつ腿に付け、ニコリともせず答えていた。


「ところで、睦。何を作っているの?」


「……器工」


あれ? この時期の睦は、機工作ってたんだっけ? いや、違う物を作ってたはずじゃ?


「……機工はいりませんか~」


その言葉に違和感を感じて目を覚ました。

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