72/72
光 回復 癒し2
「ヒール」
そういってお姉ちゃんが懐中電灯を短く光らせた。
私がころんで擦りむいた膝小僧が一瞬照らされ、消える。
泣くのを忘れてお姉ちゃんの動きを見守る私。
「人間にはチユリョクがあるから大丈夫よ」
私の手をひいて公園の水道に連れていった。そこで膝小僧についた砂を洗い流す。
「秘密だけどね?このお水は癒しの湧き水なの」
唇に人差し指をあてて言ったお姉ちゃん。
「あとは回復を待つだけね」
傷口をテープで覆いながらやりきったと両腕をあげ伸びをした。
魔法を使ってくれたお姉ちゃん。
もう転んだって泣かないけれど、
あのとき光った懐中電灯の光が恋しくなる。




