新、信、真
真夜中の住宅街。
シンと静まった世界を歩く。
ポツリポツリと電気の点る家が点在する。
あぁ、この箱一つ一つの中に人がいる。
僕のこの手の中にある箱と何が違うだろう。
「コラ!歩きスマホはダメよ」
記憶の中の君が僕を覗きこんで注意する。
……だけども。
「2人で話して歩いてたって周囲は見えなくなるじゃないか。
スマホだけがなぜそんなにも否定されるのか」
「屁理屈こねないの。ほら、危ないよ。」
電柱にぶつかりそうな僕の手を引いてくれる。
「ネットとリアルが逆転するこんな夜に君は何を思っていますか」
君のメールアドレスにあてて文章を打ち込む。
「満月が照らすこんな夜にこそ君と話したいなぁ」
少々感傷的だがまぁ送らないし。
ゴツン。けっこうな勢いで電信柱にぶつかった。
暫く頭を押さえて痛みに耐える。
どのくらいそうしてたのか。
ピロリンと着信を知らせる音がなる。
「ちょうど君のこと考えてたわ、電信柱に気を付けるんだよ?」
「もう遅い……」
反射的に返して気づく。あれ?なんでだ。
送信済みボックスに入ったメールを消してみたけど届いた言葉は取り消せない。
「救急箱持っていこうか?」
あの日と変わらぬ君からの言葉が続く。
「今、顔見たら恥ずかしさで破裂しそう」
「わかった。でも私もゆっくりお話ししたいな。
……私も今顔みたら破裂する自信ある」