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短編集  作者: まさるしー
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過去、現在、未来


白衣に白いふわふわの髪型。瓶底眼鏡をキラリと輝かせて男が言った。

「よろしい。では諸君、今から3つ質問をしようじゃないか」

後ろ手に指示棒をもっている。私たちの目の前のステージを端から端へと、もったいつけて歩きながら、

「まずは1つ目だ。現在とはなにか?」

そこの君!と私の隣に座っていた弟が指さされる。

「えーっと、僕がしゃべっているこの瞬間を指します」

弟の中で言葉を探して律儀に答える。

「では過去とは?」

そこの君!と私の斜め前の子が指示棒で指される。

「さっきの子の言葉が今では過去です」

「非常に話が早くて助かるな。君は優秀な生徒だ」

何度もうんうんと頷きながら博士が誉める。答えた子は誇らしそうだ。

「それでは未来に行くには??」

誰もが自分を当ててくれるなと視線を落とす。

「……よろしいそれでは」

博士は脇から大きな風船と針を取り出してゆっくりと近づける。

割れる!!目をつぶったその直後に破裂音がした。

「さぁ、風船が割れる前に割れるのを感じた人は?」

私を含んで何人かが手を上げる。


「これがタイムマシン作成時における基本概念だ。覚えておくんだぞ!いつかの未来、君たちが作るんだから」

警備員に取り囲まれて退場を促されながら博士はそう声を張り上げた。


「あまりに堂々としてたから前座かと思ったら違うのね。何がしたかったのかしら?でも風船で本当に良かったわ。別のものだったら」

怖いと話し合う大人たちの言葉にかき消された弟の声を私だけは、聞き逃さなかった。

「僕にタイムマシンが作れるんだ」


だけど、ステージに本物のヒーローショーのおねぇさんが出てきて

「よいこの皆ー?こーんにーちはー!」

と言ったから、私の口から出る言葉は

「こーんにーちはー!!」に変わる。


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