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短編集  作者: まさるしー
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夢、幻、不条理2


目を閉じ大きく息を吸う。ゆっくり息を吐きながら仮面をおいてあるその場所へ降りていく。


仮面は全部で5つ。

螺鈿細工の仮面、真珠の素材の仮面、木彫りの粗造りの仮面、紙のお面、そして、シリコンのお面。

つけていたそれをはずしてようやく一息つく。

この部屋に鏡はない。仮面をつけない自分の顔など正視に耐えられないのを知っている。


シリコンのお面はときどき息苦しくなるけれども、

柔軟に表情を変えられるそれは万能でパッと見、つけてることを相手に悟られない。ただ少し話をすればその表情の不自然さに人が離れてしまう。

お気に入りは見る人に合わせて色を変えられる螺鈿の細工の仮面なのだけど、耐久性が弱くすぐヒビが入ってしまう。修繕を重ねては見るけれどもこれもまた長くは持たない。

真珠の面をつけた自分は優しくなれるのだけど相手の悲しみに鈍感になってしまう。

木の面は楽チンだけど誰も近寄ってくれない。

紙の面はつけるところを選ぶけど幼い頃から好きな色を少しずつ重ねてきたその面が自分の素顔ならいいのにと思う。


あぁ、君ならどのお面を選ぶだろうか。

目をあけて明かりのついていない電気を眺める。

外ではボール遊びをする子供の楽しそうな声が響いている。

……どのお面をつけて君の前に現れたなら、好きになってくれるだろうか。

自分が考えるべき問題の齟齬を修正する。


自分の好きなもので塗り固めた紙のお面を気に入ってくれたなら、きっと君とはずっと友達でいられる。

樹のお面を気に入ってくれて、それでも離れないでいてくれたらきっと1番近い赤の他人で居続けてくれる。

螺鈿細工の面で君の前に現れたいけど、刹那の笑顔だけでは嫌だと我儘な自分に呆れる。

真珠のお面で常に微笑んでいれば君の悲しみに寄り添えない。


そんなことを考えていたらだんだんと眠たくなって。太陽の光を受けて意識を手放す。

夢の中の君はあろうことか「仮面ではなく素顔が見たい」と言い出して。

こんな醜悪で悪臭漂う内面をさらけ出して関係を終わらせてなるものかと逃げ出した。

沢山のあなたの幻が取り囲んで口々に言う。

「そのままが好きだ」

耳を塞ぎうずくまる。


関係が深まるにつれて使えない面が増えるのに、

深い関係を継続させるための面が何処にもない。

「人間の感情は不条理なものだよ?」

いつか君が話した言葉が浮かぶ。

自分のものなのにままならない。

そのままでいいと言われることを望みながら、素顔をさらすことで関係が終わるに決まっていると言う呪縛から逃れられないでいる。


目が覚めて一番最初にしたのは6番目の面の作成。



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