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短編集  作者: まさるしー
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宇宙、船、文化

黒い海に漕ぎ出した。

船の食料はおよそ50年分。気休め程度に菜園もあるがさて。


灰色に曇ったかつての青い星を振り返る。

隣の資源がほしくて力任せに奪おうとした結果がそこにあった。

持ってるものを分け与えれば船に乗らずにすんだのだと悔いても過去は戻らない。


船員は50人。

出発した直後はそこかしこににたような船があった。

1年たった今ではすれ違うこともない。

どれか1艘でいい。酸素と大地のある星を見つけてくれれば、やりなおせる。

時折定期的に無線が届く。

その多くは新しい星が見つからないといったもので、時には救難信号もあった。

広すぎて助けにいけないもどかしさと安堵を繰り返す。


3年がたつ頃には船での生活もなれてきた。

まだ見ぬ新しい土地に期待と不安で一杯だった。

退屈しのぎに歌を作る者、菜園で食料を増やせないか工夫する者、服を作る者……誰か一人掛けてもこの生活は維持できない。自然と尊重し会うようになった。

そうして40年が過ぎた。星は未だ見つからない。

半数以上の人間が穏やかに旅たった。

「新しい土地を見られないのは残念だけど…これはこれで悪くない」と。


食料があと、1年と言うところで星が見つかった。


持っているものを分け与えられていたのに、力任せに奪い合うことになった。

持っているもので十分だと言い聞かせてきたのに、足りなくなった。

新たな星へ到達した今かつての青い星を思い出すものはいない。

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