パン、コーヒー、休日
惰眠をむさぼり尽くした午前11時。
このまま過ごすのはもったいないとベッドから抜け出す。
ものの見事に爆発した髪の毛をターバンで誤魔化してキッチンに降りる。
「おっはよーーぅ!!!」
いつも変わらないテンションで九官鳥が囀ずる。
鳥かごに指をさしいれるとトテトテとよってきて顎をのせてくる。
一通り撫でて指を話そうとすると「かわいーかわいー」とまだ撫でてくれと要求する。
ここで負けると日が暮れてしまうので
「おしまいだよー」と宥める。
きれいな水と小松菜を容れてやる。
さっきまで甘えてたのにサッとかけより夢中で食べている。
「まったく現金なヤツ」
さて、私もなにか食べなくては。
貰い物のコーヒー豆が目につく。
これに昨日衝動買いしたちょっといい食パンのトーストにしよう。
お気に入りの食器を並べ支度する。
トーストの焼ける「チンッ」という音を聞いて「タベル?タベル?タベル?」大興奮の九官鳥。
ひとつまみちぎって差し入れる。手を蹴り飛ばしてお気に入りの場所でついばみ始める。
見ながらコーヒーに口をつける。
「おっはよーーーーぉ!!!」
九官鳥の倍の声量で友人が入ってくる。
「お前なぁ……、何てタイミングなんだ」
出来立てのコーヒーを差し出す。
「いい匂いがしたからね!!」
「犬かよ」
「わんわん!!……犬ってコーヒー平気だっけ?」
「知らんよ」
受け取ったコーヒーを一口のんで友人は
「めっちゃ旨いやんなにこれ?なに?コーヒーに懲り始めたん?えっ?モテようとしてる?」
「貰い物」
「ほぇーーこのコーヒー飲むためなら俺、デート何回でもしてあげられるわ!」
「してもらうの間違いだろ」
「というわけで、美味しいランチ食べに行こうや奢りで」
「どういうわけか分からんが、おごってくれるなら行くわ」
「ふふふ!おごってしんぜ……あれ?俺がおごられる予定だったんだけど」
「おそいぞ。」出掛ける支度を済ませて友人を急かす。




