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空、色鉛筆、願い
色鉛筆をもって川原に出掛けた。
泣き出しそうな空をスケッチするために。
赤や青や黄の色鉛筆は買った頃の半分以下になっているのに
灰や茶や黒の色鉛筆が全然減ってないのに気付いたから。
どんよりと曇った空から私へ、私からスケッチブックへと移す。
遠くで雷鳴が轟く。まるで私を怒るみたいに。
だけどこの手を止めてしまったら行き場のない空の色はずっとここに留まったまま。
夜になってしまわないように慎重に塗り重ねる。
使うなら明るい色がいいよ。頭の中の私が引き留める。
今私が完成させようとしているものを見たいと誰が望むものか。他のページと同じく鮮やかに柔らかな空を望まれているのを感じている。
あるがままを受け入れられて
頑張らないままに相手に期待されることをこなせることを願う。
灰色はどんなに薄くても白にはなれないのに、諦めきれずに彩度を調節すればするほど暗くなって行く。
稲妻が走る。反射するように描く。
桜の枝にも見えるそれにわからないようにつぼみを少し。
この空の元でも花は咲くだろうか。




