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【健康】チートでダメージ無効の俺、辺境を開拓しながらのんびりスローライフする  作者: 坂東太郎
『第十二章 コウタ、鍛冶に励むドワーフと出会って村に誘う』

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第十一話 コウタ、二人のドワーフと今後について話し合う


 コウタとカークがこの世界で目覚めてから十ヶ月と少し。

 コウタはいま、精霊樹と小さな湖のほとりにある広場にいた。

 いるのはコウタだけではない。


「それで、ガランドさんとグリンドさんはどうするんですか? 村で暮らすなら家を建て、いや、自分たちで建てた方がいいんですかね?」


「カアッ」


「『エルダードワーフは土の精霊のようなもの』だもんなあ。好みがあるだろうし、その方がいいかもな!」


「鍛冶ともなれば炉が必要であろう。ならば我の研究所に暮らすという手もあるが」


「新しい村人さんですか? じゃあ僕はまた街に行って日用品を【運搬】してきますね!」


「だども、二人は北の方で暮らしてるんだべ? ならそっちから運んできた方がいいんでねえか?」


「どこで暮らすにせよ、俺にできることがあったら言ってくれ。俺の剣なんだ、協力は惜しまねえよ」


 コウタとともにこの世界にやってきたカーク、TS転生した逸脱賢者のアビー、古代魔法文明の生き残りアンデッド・クルトに、荷運び人(ポーター)のベル、巨人族(ギガント)のディダ、先代剣聖にして義手を得たエヴァン。

 そして。


「素材を魔素操作した形質変化による魔法鍛冶のみであればこの地でもできる。だが、儂が求めているのはそれではない」


「えっと……?」


「コウタ氏、師匠は今回、金属と精霊樹の融合を目指している。ゆえに、この地で暮らすのではなく、儂らの王国で打たせてもらいたい」


「はあ、それはかまいませんけど……」


 絶黒の森の北側よりさらに北、山脈の下にあるマウガルア地下王国よりやってきた、エルダードワーフのグリンドとガランドの師弟もいる。

 二人は、精霊樹より授かった枝と果実を抱え込んでいた。


「村人は増えなかったか。落ち込むなよ、コータ」


「そこはあんまり気にしてないけど……そうだ、もしよかったら、交易しませんか? ドワーフの地下王国と、クレイドル村で」


「ほう、交易。儂らが出せるのは金属製品ぐらいしかないが」


「充分です! というかありがたいです!」


「ドワーフにエルダードワーフ謹製の金属製品か……おっさんの剣といい、武器防具が充実しそうだなあ。『村』どころか帝都以上に」


「けど、俺たちが出せるのは……カラス麦とか芋がちょっと? あとは絶黒の森の木材に、モンスター素材ぐらいしかなくて」


「充分だとも! 道中の虫や植物の素材は、ドワーフにとって宝の山だ」


「よかった。あとは、定期的な交易となると、道と人員が心配かなあ」


「僕ならすぐ【運搬】できますよ?」


「うん。でもほら、ベルには街とここを往復してもらったり、いろいろ行ってもらってるから」


「カァー」


 広場に置かれた切り株イスに座って考え込むコータ。

 肩に止まったカークは、頼りっきりじゃな、とばかりに鳴いて同意している。賢い。


「コウタ殿、心配は要らぬ。エルダードワーフは道作りの達人ゆえな」


「クルト? そうなんですか、ガランドさん?」


「周辺の長であるコウタ氏の許可をいただければ、儂らが道を作ろう」


「けど北側にはモンスターも出ますし……あの三体は賢いんで言っておけばわかるでしょうけど……」


「ふははははっ! コウタ殿、我の研究所を忘れたか? あそこは、ドワーフの指導を得た我が造ったのであるぞ?」


「あっ! まさか、地下? 地下道を作るってこと!?」


「なるほど。そんなら地上にモンスターが出ても心配ねえ。そもそもドワーフの国だって地下にあんだもんな」


「うむ。このあたりなら、そうさな。木の根の届かぬ深さで……湖と水脈を避ける必要こそあれ、ほぼ真っ直ぐな地下道を作れるだろう」


「へえー、すごいなあドワーフ」


「コウタ殿、我も許可をもらってよいだろうか? クレイドル村の地下を経由して、我の研究所とドワーフの道をつなげたいのだ」


「旧交を温めるってヤツだな! いや、クルトの場合は研究のためか?」


「うむ」


「うん、いいんじゃないかな。けどずいぶん長いトンネルになりそうだなあ」


「そこは『異世界』のドワーフだ、魔法でちゃちゃっとやるんだろ!」


「心配してるのは工期よりも、開通した時の時間かな。丸一日とか、二日もトンネル歩くって大変じゃない?」


「たしかに気が滅入りそうだけどよ……アンデッドのクルトとか、ドワーフの二人は気にしないんじゃねえか?」


「ふむ。我の魔導車を整備し直せば、使えぬこともないが……」


「ありゃ魔力の消費量が多すぎてドワーフにはキツいだろ。クルトかオレ、コータならともかく。あれ使うぐらいならトロッコでいいんじゃねえか? ほぼ直線だし、平坦なんだよね?」


「とろっこ……師匠、何を言ってるかわかりますか?」


「さて、儂は知らぬ。クルト氏も知らぬようだ」


「あっ! どうせレール敷くんなら、馬車はどうかな?」


「鉄道馬車ってヤツか。けどそれこそ一日中地下はマズいんじゃねえの?」


「そこはほら! クルトがいるから!」


「あー、なるほど。骸骨の馬」


「そうそう! アンデッドなら暗いところも平気だし、疲れ知らずだし、いいんじゃないかな?」


 話はまとまった、とばかりにコウタとアビーがクルトを見つめる。

 クルトは首をかしげている。

 クルトだけでなく、アビーやディダやエヴァンや、ドワーフの二人も。

 盛り上がっていたのは同郷のコウタとアビーだけであった。


「カァー」


 呆れるカークの鳴き声をBGMに、コウタとアビーが二人がかりで説明することしばし。

 ほかの面々も、二人が言いたいことを理解して。


「ふぅははは! 素晴らしい、素晴らしいぞコウタ殿、アビー殿! クレイドル村やマウガルア地下王国へ、気楽に人と物をやり取りできるようになるのだ! いくらでも我が配下を供出しよう!」


「むうー。僕がもっと早く【運搬】できるか、分身できるようになれば!」


「ははっ、落ち着けベル。一人ができることなんてたかが知れてんだ。……まさか故郷の村のヤツらはできる、とか言い出さねえよな?」


「なるほど、アンデッドを動力とした馬車に鉄の道……れーるを走らせる。一度作ってしまえば安定性、速度、運搬力、どれも魅力となるか」


「師匠、それより儂は『とろっこ』の方が気になりました。マウガルア地下王国でも採用できるのではないかと」


 ようやく、聞いていた村人とエルダードワーフに、二人の熱が伝わったようだ。



 コウタとカークがこの世界で目覚めてから十ヶ月と少し。

 住人こそ増えなかったものの、コウタたちは新たな取引先を見つけた。

 クレイドル村は、ようやく安定して「金物」を入手できるようになりそうだ。

 それも、鍛冶に優れたエルダードワーフ謹製の。




遅くなりました……

次話が今章エピローグで、明日更新です!


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― 新着の感想 ―
[一言] 「ご先祖さまは一人で同時に各地に運べたそうなんですけど」とか言わなくてよかった(……ほっ 土精霊の卵である師匠さんには悪いけど、剣を打ち終わってもトロッコや馬車の作成で居残り延長してもらいた…
[良い点] ガチで分身しそうなんですが、コワイワーマジコワイワー。 運搬に必要だと思えばできるようになりそうで怖い。
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