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勇者「メイド長さんの使ってたアナライズリングを複製して大量生産できたから、色んな人たちをステータスオープン!してみようぜ!」 魔王『素敵!』 その②


「おお、居たのか無双王」


「君が夕食会に招いて、引き止めて泊まらせたんだろに。おお、それアナライズリングかい? 懐かしいなあ。はっはっは、僕のステータスを見てみるかい? 昔より随分と鍛えたんだぜ?」


「いやいい。お前の普通でつまらなそうだし」


「ひどい!」


「お早う御座います勇者様。ステータス、ですか?」


 

 無双王の後ろから現れたのは、無双王の娘婿にしてこの国の第十九皇子、ナイトナ・フォン・エンペルドットだった。

 その後ろから彼の二人の妻、リコリッタとアンネローゼも顔を出す。



「へえ! ステータスですか勇者様!」


「面白そうですわね」


「んじゃ折角だし三人のステータスも見てみるか。まずは皇子から、ステータスオープン!」



 勇者が叫ぶと、皇子の頭上にステータスが表示される。




■■■■■■■■■■■■■


名前:ナイトナ・フォン・エンペルドット

職業:皇子

筋力:15

体力:14

知力:16

魔力:16

敏捷:14

運勢:15

年齢:19

種族:人間

状態:通常

特記:第十九皇位継承者。

   妻二人。


■■■■■■■■■■■■■




「こ、これが私のステータス? その……15というのは、どれくらいの数字なのでしょうか?」



 皇子が頭上に表示された自分のステータスを必死に眺める。



『う~ん。まあ、平均値が10じゃから。全体的に高いと言えば、高い、かのう……』


「そ、そうですか! 安心しました喋るお馬さん!」


「では、次はわたくしを見て下さいまし、勇者様」


「オッケーアンネローゼちゃん。ステータスオープン!」




■■■■■■■■■■■■■


名前:アンネローゼ・フォン・エンペルドット

職業:薔薇魔術師

筋力:24

体力:32

知力:89

魔力:98

敏捷:42

運勢:55

年齢:19

種族:人間

状態:通常

経験人数:3

特記:第十九皇子婦人。故ドルスキ伯爵の娘。両親ともに他界。

   咲き誇るバラのような淑女。家督を七歳となる弟のジョナサン・フォン・ドルスキに譲り、皇帝家に嫁いだ。今は弟の後見人を務めつつ、新婚生活満喫中。同じく第十九皇子婦人であるリコリッタとは恋人同士でもある。妊活中。貴族学園在学中に彼女に付けられたあだ名「薔薇の女王」は、今も在学生に受け継がれていると言う。かつての棘々しさも今は影をひそめ、社交界での評判も上々である。好物はリコリッタの母の焼くパンプキンパイ。リコリッタの故郷である港町の名物料理である。ただ今レシピを勉強中。


■■■■■■■■■■■■■




『テキスト長いな!』


「要るかなその情報!」


『つか経験人数とか出るのか……』


「というかその、アンネローゼ……。数値が全体的に僕より……」


「あら旦那様。いざという時、貴方をお守りする為ですもの。当然の数値ですわ」


「そーそー! ナイトナは数字低くたって、皇子ってだけで特別なんだから! ハイ勇者様! 次ワタシ!」



 リコリッタが元気よく手を上げる。

 その頭を無双王がなでる。 



「はっはっは。二人には申し訳ないが、ウチの娘の数値は桁違いだと思うよ? 抜けたとはいえ、何せ元は勇者の家系だからね」


「もーパパ。そーいうの良いから!」


「よしよしリコリッタちゃんも、ステータスオープン!」




■■■■■■■■■■■■■


名前:リコリッタ・フォン・エンペルドット

職業:グラップラー

筋力:255

体力:255

知力:14

魔力:11

敏捷:255

運勢:115

年齢:19

種族:人間

状態:通常

経験人数:923

特記:勇者の血族の一員。

   日の光浴びる一輪のヒマワリのような淑女。

   頼まれると断れない性格。社交界にファン急増中。

   歩く火薬庫。


■■■■■■■■■■■■■




『桁が違った!!』


「すげえな……。千人斬り間近か……」


「あはは~♪ 数えた事なんてなかったからなあ~♪」


「……」


「……」



 ちなみに無双王のステータス。




■■■■■■■■■■■■■


名前:ジョットー・ディケイユ

職業:無双王

筋力:999

体力:999

知力:250

魔力:521

敏捷:999

運勢:777

年齢:31

種族:人間

状態:通常

特記:勇者の血族の一員。


■■■■■■■■■■■■■



『まあ強いとは思っておったが。999が並んでおるのう』


「測定限界だからな。999つったってピンキリよ」


「ええ?! 僕の扱い薄くない?!」




 ☆




「あらお早う御座います勇者様。と、魔王? 馬?」



 中庭を掃除していたメイド長が、見慣れぬ馬に手を止める。



『うむ! 今日のワガハイは馬王であるぞ!』


「ああメイド長さん。ホラこないだ言ってたアナライズリングの複製品。やっと出来上がってさ。いま色んな人をステータスオープンしてんのよ」


「なるほど勇者様。つまりは貴方様が今現在攻略中の、このヒロインのステータスをご覧になりたいと」


「いや、メイド長さんを攻略中でもないしヒロインでもないけど」


「我と我が身に開陳されて恥じ入る情報、ただの一片も無し! さあ、ご覧あそばせ勇者様!」


『メイド長さんをステータスオープンせんと収まりの付かん流れじゃのう……』


「じゃ、じゃあ失礼して。ステータスオープン!」




■■■■■■■■■■■■■


名前:ミルフィーユ・シェイドウッド

職業:レジェンダリダークアサシン

体力:999

疲労:0

開発:700

感度:620

性技:999

愛情:999

服従:12

B:82

W:51

H:98

年齢:熟女

タイプ:貞淑

機嫌:発情

ご主人様とのH回数:0

装備アイテム:眼鏡

       胸パッドLV2

       アサシンダガー


■■■■■■■■■■■■■




『エロゲじゃこれ!!』


「メイド長さんのこんな情報みたくねえ! てか服従度低すぎるだろ!!」


「それも勇者様への愛ゆえ。わたくし、襲われるより襲う方が好みで御座いますので」


「確かに愛情は振り切れてるけれども!」


「わたくしの勇者様への想いが本物であると知って頂けて何よりで御座います。さあ!」


「『さあ!』じゃねえ!」


「なに昼間っから発情してんだいヘビ女!」



 勇者が振り返ると、そこには眉をしかめた騎士団長が立っていた。



「おお! おばちゃん!」


「全くそれが勇者に仕えようって女のステータス画面かねえ。やれやれ」


「そういう貴女はどうですの? ステータスオープン!」



 メイド長がアナライズリングをはめた手で騎士団長を指差し、叫ぶ。

 騎士団長の頭上にステータスが表示された。




■■■■■■■■■■■■■


名前:グラニテ・レオンハート

職業:プリンセスナイト

体力:999

疲労:0

開発:600

感度:880

性技:560

愛情:999

服従:550

B:120

W:75

H:110

年齢:熟女

タイプ:母性

機嫌:発情

ご主人様とのH回数:1

装備アイテム:ビキニアーマー


■■■■■■■■■■■■■




「いつだぁああああーーー?!!」


「あらやだ。覚えて無いの? 勇者ちゃん。ホラ、アンタが最初に勇者候補になった時にさ、親戚一同集まってお祝い事したじゃないのさ。そん時にアンタ、慣れない酒飲んで酔いつぶれちゃってさ~。寝顔があんまり可愛いもんだから――」


「そんなの聞きたく無いぃいいーーー!!」



 勇者は馬王にまたがると、そのまま城を飛び出した。




 ☆




「おや勇者様。それに魔王様も。こんな早くに別荘街へいらっしゃるとは、何か御用で御座いますかな? 自治会の会合に勇者様も参加なさいますので?」


「やほやほ~♡ 勇者ちゃん♡ あら♡? なんかテンション低くなぁい♡?」


「あー執事さんに占い師ちゃん。いや、何でもない何でもない。野良犬に噛まれたと思って忘れよう」



 別荘街の中央公園。

 占い師と執事が連れ立って歩いていた。

 これから別荘街に軒を連ねる商店店主たちとの会合のようだった。 



『そうじゃ勇者よ。この二人のステータスも気になるのう』


「おお、そうだな。ちょっと見てみたいな」


「ステータス? ああリッチ様が量産されたというアナライズリングで御座いますな。自分の能力を数値化されるというのは、少々照れ臭う御座いますな。ささ、どうぞ勇者様」



 そう言って執事が背筋を伸ばしてまっすぐに立つ。



「んじゃ失礼して。ステータスオープン!」




■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■

名前:■■■■■■=■■■=■■■■■■■■■Ⅲ

職業:執事化■■■■■

筋力:10  ■■  ■

体力:10  ■■  ■■

知力:10■■

魔力:10   ■ ■■

敏捷:10  ■

運勢:10  ■■■ ■

年齢:■■■   ■

種族:■■■■■=■■

状態:検閲済

特記:■■■。■■にて■■。

■■■■さるるも■■■■、

■■■のちに■■■■■■■。

■■■及び■■■及び■■■

■の化身。■■■■■■■する。

■■■■■■■■の恐れあり。

■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■




『黒塗りがひどい!』


「我ながら平均的な能力で御座いますなぁ。しかしこの歳で人並を維持できていると考えれば、悪い気は致しませんな」


「いや数字ウソだよこれ! 絶対おかしい! 絶対数字もいじってる!」


「ほっほっほ。何を仰いますやら勇者様」


『ちゅうか化身ってなんじゃ?! 何の化身なんじゃ執事さん!』


「はて魔王様。きっと何かの文字化けで御座いましょう」


「や~ん♡ 執事ちゃんだけズルい~♡ 勇者ちゃん私も私も~♡♡」



 占い師が煽情的に体をくねらせる。



「文字化け、文字化けかなあ。占い師ちゃんで試してみるか。ステータスオープン!」


「やた~♡♡!」




♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡


♡おなまえ♡占い師ちゃん♡

♡おしごと♡占い師ちゃん♡

♡とくぎ♡占い師ちゃん♡

♡すきなもの♡占い師ちゃん♡

♡しょうらい♡占い師ちゃん♡

♡占い師ちゃん♡占い師ちゃん♡

♡年齢♡18さい♡

♡種族♡占い師ちゃん♡

♡状態♡占い師ちゃん♡

♡カルマ値♡占い師ちゃん♡

♡支配眷属♡占い師ちゃん♡

♡自己アピール♡占い師ちゃん♡

♡占い師ちゃん♡占い師ちゃん♡

♡占い師ちゃん♡占い師ちゃん♡


♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡




『怖い怖い怖い! ストレートに怖い!!』


「ファンシーさが逆に怖い!!」


「ほっほっほ。ゲシュタルト崩壊を起こしそうな可愛らしさで御座いますなあ、占い師ちゃん」


「ありがと~執事ちゃん♡!」


『年齢だけ18と言い切っておるのがまた怖い……』


「カルマ値とか支配眷属とか何のパラメータなんだよ……」




 ☆




『勇者よ、今回いろんな人のステータスをオープンして回って、ワガハイ一つ気付いた事がある』


「ああ、俺もだ魔王」


『あまり真実を野ざらしにし過ぎるのはキツい。社会を円滑に回すため、無駄な争いを呼び込まぬため、多少のウソや見栄や誤魔化しは必要じゃ』


「それな」




[終わり]




 間が空いてしまい申し訳ないです! 生きてます!

 お仕事が十日間くらい修羅場ってて一文字も書けなかったんですが、長く書かないでいると書けなくなってしまうもんですね。

 魔王と勇者のステータスはご想像にお任せします。


 以前からチョコチョコ書いていたハイファンタジーの短編が書き上がったので、そちらも投稿しました。

 こちらと同じく基本はコメディタッチの小説ですが、設定がこちらよりは多少お固めなので、コメディでなくハイファンに。具体的には魔王帰れがフルーチェとすると、焼きプリンくらいに固めの設定です。

 そちらも宜しければ是非どうぞ。


 それではまた。

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