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プロローグ
――――――――――――ミチッ。
「ドアが閉まります、ご注意下さい。」
その状況を理解するのに時間は要らなかった。
静かに襲い来る腹部への疼痛。その痛みは時が経つにつれ苛烈に、激甚に彼を苦しめた。
意識が遠のいていく。
その体に力は入っておらず、脚はまるで生まれたての小鹿のように震え、体の奥底からこみ上げてくる絶望感、屈辱感、閉塞感、悲哀感、
そして何より、――――――無力感。
自分の置かれている状況に気が付いた瞬間、彼の矜持はボロボロに傷つけられ、生きる気力に欠け、泰然と「死」を受け入れていた。
「...ぁ....か」
しかし、朦朧とする意識の中、まだ彼には一縷の望みが宿っていた。
「......諦めて、―――――――たまるかッッッッ!!!!!」
その刹那、彼の、「ウンチブ・リブリ」の物語が終わり、
―――――――「物語」が始まった。