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第25話

テストが好きなやつがいたら俺のところまで来い。徹底的に論破してやるから。


今日は泣く子も黙る中間考査。


初っ端からフランス語とかいきなりラスボス登場じゃないか。


玉砕が目に見える。


その後に行われる国史、博物は何とかなるけど・・・。


憂鬱な気分に浸りながら学校に向かっていると、昇降口で佐川と鉢合わせした。


「おはよう変態」


のっけからその言葉かい。


「そりゃぁね。昨日やられたことは忘れられないよ。両親がいないことをいいことにやりたい放題やるなんて」


わざとじゃないから!


「ふーん」


まぁ、そうはいっても信じてもらえないのは定説だよな。


「よく分かっているじゃない」


いや、昨日はホントわざとじゃないんだ。それだけは分かってくれよ。


「ふーん、どうしようかな」


こいつ、絶対楽しんでいるだろ。


「じゃあ、フランス語のテストで私よりも点数が上だったら許す」


こいつ悪魔だ。


「それが飲めなかったら、一生言い続けてやるからな」


飲んでやるよ。


「それでこそ滝村晋作だ!さすが、一人で乗り込んだだけあるね」


高杉晋作が混ざっているぞ。


「だって、昨日のあれ、功山寺挙兵に匹敵する衝撃だからね」


そこまで言うか。


「みんな、滝村が何をやるか興味津々だよ。」


言っておくけど、佐川も巻き込まれているからね。


「そりゃ、理解しているよ。私は伊藤博文ポジションかな」


万が一選挙戦になったら、買収しまくるからな。


「公然とそれを言うか」


選挙戦になったらの話しね。岩崎相手に勝負をしようとする奴はいないよ。


「まぁ、そりゃそうだ。でも、無投票再選になっても演説はしないといけないんだよね」


もちろん。


「原稿とかはどうするの?」


テストが終わったら、取り掛かる。校正は任せた。


「うわっ、一番面倒なやつじゃない」


組閣人事も丸投げされると思う。そのあたりも何とかしないとだめだよな。


「これだけ考えて、出ませんってなったら笑えるけどね」


そんなやり取りをしながら階段を上っていると、下ってきた生徒とぶつかりそうになった。


「あっ、すいません。大丈夫ですか?」


問題ないよ。


「えっ、もしかして、滝村一樹さん?」


同じ学年の生徒かな?童顔でメガネをかけており、お坊ちゃまのヘアースタイルをしている。俺は知らないな。この人のこと。


「初めまして。1年6組に在籍している境野和義(さかいのかずよし)です。よろしくお願いします」


どこか幼い感じがするのは気のせいだろうか?


「もしかして、五修の境野くん?」


佐川がそう言うと、境野は嬉しそうな表情をした。


「そうです!」


五修で入ってきた生徒がいるって言われていたけど、目の前にいる奴がそいつか。


「それはそうと、なんで下って来たの?」


「岩崎先輩がそろそろ登校するので、お出迎えをしに来たんです」


はぁ、頼もしいな。


「滝村さんと佐川さんは行かなくても大丈夫なんですか?」


わざわざ行くことでもないだろ?その場に出くわしたら見守る。それで十分。


「そうですか。それは残念です・・・」


えっ、話がまだ終わっていない気がするんだが。そう思った時だった。俺の隣に並んだ境野の声色が変わった。


「・・・やっぱり、噂通りの人だよ。あんたは」


丁寧な口調だったのがいきなりきつい言葉になったため、俺はびくっとしてしまった。


「君は岩崎様をどうするつもりだい?この町が長い間培ってきた伝統を壊した。それがどういう意味を持っているのか分かっているのか?」


伝統?それは違う。あれは悪習だ。


「悪習・・・君はそこまで言い切るんだね」


お華族様だから媚を売る気持ちも分かる。しかし、この町は岩崎家にこびているつもりだが、実態は籠の中に押し込もうとしているに過ぎない。違うのか?


「楽しいことを言うね。君は」


そんな悪習は潰す。ただ、それだけだ。


「君とはいずれ、戦う時が来るかもしれない。その時が楽しみだよ。滝村一樹さん」


そう言うと、境野は階段を下りて行った。


「滝村、西口に境野不動産ってあるのは知っている?」


ああ、あるね。


「あそこの息子だよ。彼は」


そうなんだ。


「境野不動産は岩崎家のおこぼれに与り、西口開発で儲けたって言われているからね。今のまま、岩崎家が中途半端に表に出ている体制が望ましいんだろうな」


いずれ戦う時か。面倒なことにならなければいいけど。


「戦いと言えば滝村?初っ端のテスト、何の教科か分かっているよね」


分かっているわ!


ジタバタしても始まらない。いきなりラスボスだが、倒してやるからな。


第25話 終了


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