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そのエルフさんは世界樹に呪われています。  作者: ぷぺんぱぷ
一巻発売記念月間 ランデル領館に頭を抱える領主を見た!
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47.バカップルップルー

「イチャコラするえう!」


 朝。

 エルネの里、カイ宅。

 始まりは、今日もミリーナの言葉だった。


「……いや、やってるじゃん」

「む。いつもラブラブカイ一家」「そうですわ。私達はいつもラブラブ……は、恥ずかしいですわカイ様っ!」

「「「ぶぎょっ」」」

『あらあら』『わぁい』


 そんなミリーナに何をいまさらなカイ一家。

 カイ一家はシャル家の日常でもシャル馬車の行商でもラブラブだ。


 しかし、そんな事はミリーナも承知している。

 ミリーナが心配しているのはカイ一家とは少し別の事なのだ。


「でもカイズ達が辛そうだったえう。ミリーナはカイが辛そうな顔をしているのがとても嫌えうよ」「ミリーナ……」


 そんなミリーナに激しく頷くルーとメリッサだ。


「むむむ同感。カイはのほほんと芋煮を煮込んでいるのがベスト」「そうですわね。カイ様に辛い顔は似合いませんわ」

「「「ぶぎょーっ」」」

『あらあら』『わぁい』


 うん、俺の妻達可愛い超可愛い。

 もうこの言葉だけで満足してくれカイズ達。


 と、カイがカイスリーを見てみれば、まだまだダメだと指バッテン。


「足りん」「……」


 なんでカイスリーにダメ出しされなきゃならんのだ……


 カイはそう思いながらミリーナ、ルー、メリッサを見ればやる気満々。

 どんな事をしようかと芋煮を食べつつ相談中だ。


「いつもやらない事がいいえうね」「むむ、それは難しい」「カイ様の記憶を持つのですから夜の花摘みも筒抜けですものね……は、恥ずかしいですわカイ様っ!」

「「「ぶぎょーっ」」」

『カイ、あなたは本当に大変ですねぇ』

「いやあ、どうせイグドラとかには筒抜けですから」

『ぐぬっ!』「ほら」『あらあら』『わぁい』


 今更気にする事でもない。

 知られていてもどうせ神。カイや妻達の不利益になる訳もない。


「ここからは秘密タイムえう」「む。カイはのんびり芋煮を食べる」「そうですわ。心苦しいですがカイ様に知られるとカイズ達にも知られてしまいますので……」

「わかったよ」


 カイは議論する妻達の言葉を出来るだけ聞かないように、ゆっくりのんびり芋煮を食べる。

 カイの記憶はカイズの記憶。

 知ってしまえばインパクト激減。まったく厄介な立場なのである。


「決めたえう」「む。いつもしない事第一弾」「い、いきますわよカイ様」

「おう」


 どんとこい。


 と、カイは芋煮を平らげ構える。

 ミリーナ、ルー、メリッサも芋煮を平らげた後、カイにゆっくりすり寄っていく。


 触れる肌の温かさが心地よい。

 カイは両手で妻達を抱え込む。

 妻達は体を預けて上目遣いにカイを見上げ、ミリーナは正面から、ルーは左から、メリッサは右からカイに囁いた。


「カイ……愛してるえう」「ルーも愛してる」「カイ様、愛しておりますわ……らぷー、らぷーっ」

「ありがとう。俺も愛してる」


 カイは優しく抱きしめる。

 そして濡れる瞳で見つめ合い、赤面するカイ一家だ。


「……これは、照れるな」

「めっさ照れるえう」「言葉にすると……すごい」「照れますわ。愛していますが照れますわ」


 てれてれてれてれ……

 カイも妻達も照れる事この上無い


 これでいいのか? 


 と、カイスリーを見れば背けた顔を片手で覆い、震えながら親指を立ててくる。


 この方向か!

 この方向がいいのか俺コピー!


「手応えありえう!」「なかなかのインパクト」「この調子ですのねカイ様!」


 そんなカイスリーの様に手応えを感じる嫁達だ。


「次はスキンシップマシマシえう!」「む。肉感ならおまかせ」「私も負けませんわ!」


 そう叫んだ妻達はカイに再び抱きついた。

 先程よりも体をぴったり密着させて、体の形をカイの感覚に刻み込む。


「カイ……」「愛してる」「カイ様……ぷるるーっ」

「おおぅ……」


 肉感と見上げる瞳と愛のささやき半端無い。

 うちの妻達すごい超すごい。

 そしてカイスリー、意味深な前屈みはやめろ。


「やばい! 諜報活動してる奴らが前屈みで一大事だ!」

「アホか!」

「アホえう」「アホ」「アホですわ」


 記憶がすぐに更新されるという事は、リアルタイムで知る事が出来るという事だ。

 別の事をしているのにいきなり濡れ場の記憶が発生する。

 さながら思い出し笑いの如くだ。邪魔な事この上ない。 


 俺らの愛のナイトライフの時はどうしてるんだよお前ら……


 と、カイが首を傾げてカイスリーを見れば何とも哀しい顔である。


「……時々作戦に失敗してシスティから折檻を受けるんだ」「アホか」

「だからカイ、愛のナイトライフは事前に予定を立ててくれ」「アホか!」

「コンテを切ってくれれば最高だ」「アホか!!」


 俺は時計とコンテを見ながらイチャコラせんといかんのか?

 カイは呆れ、そして呟く。


「……システィに文句を言ってこよう」

「そうえうね」「む」「やってもダメ、やらなくてもダメでは話になりませんわ」

「「「ぶぎょーっ」」」

『あらあら』『わぁい!』


 カイ一家は、システィにカイズの待遇改善を要求する事に決めた。

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