最強?の7人
「とりあえず合格して本社に入られたわけですから、そこは自信を持ってください!」
天王寺さんの慰めに「あ、ありがとうございます…」と小さい声で返す。ほんとに天王寺さんいい人すぎる。
「あ、そろそろアイツら帰ってくるころよ」
突然姉貴がひょこっと立ち上がり扉にかけよる。
ドアノブを握り俺の方を見て「紹介するわね」と言うとドアを開いた。
「これがセブンスのフルメンバーよ!」
ドアを開けたら7人の男女が丁度ここに入ろうとしていたところだった。
まず最初に俺とそんなに年の変わらない明るい女の子がおもいっきり姉貴に抱きついた。
「さーゆりさん!ただいまー!」
「おかえりレイコ」
姉貴は抱きついてきたレイコと呼ばれた女の子の頭をヨシヨシして、女の子は満足そうに頬を姉貴の胸に擦り寄せている。
「レイコ、小百合にベタベタするな。
バカが移ったらどうする。」
そう言ったのは白衣に眼鏡を掛けた痩せ型の男性だった。すごい目が怖い。
「狂一!女の子には優しくしないと!」
プクーっと膨れた頬で狂一と呼ばれる男性をレイコって女の子が睨んでいたが、男性のほうがチッと舌打ちして「俺は部屋で休む」と出ていった。
ほかの6人が笑いながらそれを見ている。
そんな光景を唖然と見ていると姉貴が「あ、ごめんごめん」と俺の元へ駆け寄る。
「コイツ、アタシの弟だから!みんなよろしく!」
すると全員が驚いたように目を丸くして俺を凝視する。いや、そんな見られると穴空くんだが。
「ほう、それは失礼した。」
低い声で謝罪してきたのは長い髪をオールバックにして口まである長い襟のコートをきた男の人だ。
「拙者の名は五橋 貞光、好きに呼んでくれ弟君よ。」
喋り方はかなり古風でアレな感じだけど悪い人ではないのだろう。俺は軽く会釈して返した。
「次私!」
勢いよく立ち上がりそう発したのは先ほどのレイコと呼ばれる女の子だ。
歳が近そうだが俺のコミュ障からすれば近かろうが遠かろうが関係なく話せない。
「私は 六咲 レイコ! 元 蘭東高校2年生!よろしくね!」
驚いた、同じ高校のしかも同級生らしい。
とは言っても俺は半年前に中退してる。
かと言って中退前は特に目立つ生徒でもないしコミュ障のせいで友達もいないし、あ、やばい、泣きそうだ。
「蘭東高校?あれ?カイトもそこじゃなかったっけ?」
姉貴め、余計なことを。知り合いな訳ないだろ。
「知ってるよ!七原灰人くん!」
「…え?なんで…」
びっくりした。あの高校に俺のことを知っている人が居たとは。なぜかここに来てからやたらと驚いてばかりで疲れる。
「だって、ほら、小百合さんの弟だよ?
小百合さんのことで知らない事、ある訳ないじゃん?」
そう言いながら小百合さん小百合さんと小声で言っているのが聞こえた。あとヨダレ啜る音も。
これあれだ、やばい人だ。本格的にやばい人が目の前にいる。
「えっと、えっと、私は、えっと、百日紅菊乃です、よ、よろしくです。」
何処からか声が聞こえた。と、思ったら五橋さんの後ろに小さくてフワフワした感じの女の子が隠れている。口はパクパク喋っているようだが凄く声が小さい。
そして恥ずかしそうに五橋さんの服を後ろでガッチリ掴んでいる。なんかすごく仲良くなれる気がする子だな。
「すまない、人見知りな子でな。そのうち慣れれば話してくれるようになる」
五橋さんがフォローしたけど、なんだろこの2人、見てて癒される。しっかり者とフワフワ恥じらいロリっ子とかたまらんわ。なにその美味しいコンビ。萌え死ぬわ。
はっ!いかんいかん、オタクが発動してしまう。
顔をフルフルと横に振り改めてよろしくと百日紅さんに会釈する。
そして横には神父さんの服を着た人と、金髪でフワッフワな髪を弄っているハーフみたいな人が何か話していた。
「リュゼさん、珍しく大人しいじゃないですか。」
「僕だって空気を読むことはできるさ、英国紳士はエレガントかつジェントルメントに溢れているからね。」
どうしよう、すごく濃そうな2人が残ってる。
とりあえず挨拶はしないと、そう、挨拶だけならすぐ終わる。
そう思い2人の方を向くと待ってましたと言わんばかりに喋り始めた。
「初めましてミス小百合の弟くんよ。
僕の名前はリュゼ・アベルト・ウーノ、英国から日本へ遠い海を越えて勉学を学びに来た紳士だ。
よろしく頼むよミスター弟君。」
そう言うと深々と片足を後ろ、片手を胸に当てて、いわゆるキザっぽいお辞儀をされた。
え、これ同じ形で返さないといけないの?
とオドオドしていたら隣にいた神父さんが話しかけてきた。
「弟くん、気にしなくていいですよ。この人は英国から来てるだけの留学生ですから。」
神父さんは笑いながら助け舟をだしてくれた。
これは見た目より濃くないいい人なのか?
「それでは自己紹介を、私の名前は三上聖司。
元神父をしていた者です。」
あ、元神父さん。
なるほど、だからその恰好なのか。これは見た目と違い思ったよりもいい人そうでよかった。
するとにこやかに俺の肩に手を添えて続ける。
「きっと貴方も素晴らしい才能をお持ちなのでしょう。貴方の姉君も大変素晴らしいですからね。」
「いや、そ、そんなことは。」
「いえいえ、貴方の姉君も素晴らしいですから。
あの視線、あの容赦ない拳。」
ん?
聞き間違いか?
今なんて言った?
「あぁ、あの痛みを思い出しただけでゾクゾクします。
貴方にも期待していますよ、色々と、ね。」
前言撤回。
一番危ないのこの人。
お巡りさん、ここに変態ががいます。怖いです食べられます。