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ヒーローズセブン  作者: のい
第1章 俺、ヒーローになります
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七原灰人

色々と不出来ですが何卒ご容赦お願いします。

大好きになれそうな作品なので愛情込めて最後まで書かせて頂くのでお付き合いして頂ければありがたいです。

蒸し暑さと独特な湿気が体を蝕む季節、夏。

蝉の声と蜃気楼が道路を埋め尽くすこの季節は誰もが額に汗を流して出勤や通学をしている。

だが、例外がいる。

真っ暗な部屋、クーラーが効いて季節など関係なしに快適な温度を保ってくれる部屋。

部屋の中はゲーム、小説、フィギア、ポスターなどが所狭しと並べられている。

そんな部屋にパソコンのハードディスク特有の読み込み音、そして画面の光が男の顔を照らしている。


「やっぱり魔法戦隊マジカおもしれぇ」


パソコンの前に座りヘッドホンを着けて画面を凝視している彼がこの物語の主人公となる七原灰人(ナナハラ カイト)だ。

見た目は少し癖のある黒髪にジャージ姿。オタク、ニート、引きこもり。

凡そダメ人間たるボタンを全て押したこの少年は半年前に高校を中退、実家に引きこもり日やパソコンと睨めっこをしている生活である。



ちなみに現在彼が見ているアニメは「魔法戦隊マジカ」と呼ばれる魔法戦隊物だ。

一般的な魔法使いが主人公のテンプレアニメではなく魔法が使えない主人公が何とか誤魔化しつつ敵を倒してヒーローとなっていく話で、これが一部のマニアに大好評。

作画も綺麗で音楽も申し分ない出来、ストーリーもしっかりとしてシリアスもあればギャグもある視聴者を飽きさせない構成。これは10年に1作品あるかないかの良作である。



それにドップリとハマり気付けばなんとも絵に書いたようなダメ人間の出来上がりだ。

家族と顔を合わせるのは食事の時だけ。風呂も家族が寝静まった夜に入るようにしている。家族と顔が合わせずらいのもあるが、顔を合わせばすぐに働けだの嫌なら夜間の高校にでも行けだのくちうるさく言ってくるからだ。


「カイトー!ご飯できたわよー!」


母親の声がヘッドホン越しにうっすら聞こえた。

めんどくさいが飯は食べないと空腹で魔法戦隊マジカが見れない。空腹とはなんとも最大の敵であり勝てたことなどない。仕方なく俺はリビングに降りる。

すると聞き覚えのある甲高い声がリビングから聞こえる。これはマズイ。恐らくは俺が最も苦手な人物が珍しく帰ってきている。

俺は部屋へ引き返そうと足音をたてずにそっと回れ右した時だ。


「かーいと!何逃げようとしてるのかなぁ?」


「いやぁ、えっと、なんでだろうなぁ」


冷や汗が止まらない。セミロングの髪にジーパンTシャツ。姉の七原小百合(ナナハラ サユリ)だ。

自慢じゃないが姉貴はかなり出来た人間だ。

高校卒業と同時に就職し割といい給料で家計も助けて、どんな人にも分け隔てなく接してこんな俺をいつも気にかけてくれる。

明るく容姿端麗、成績優秀、才色兼備。言い出せば様々な褒め言葉が浮かぶ。ほんとに俺と血の繋がりがあるのか不思議なぐらいだ。

だけど、それゆえに姉貴は苦手だ。どんな時も比べられて嫌でも自分に劣等感しか感じず、その優しさが逆に俺を傷つけている。

まぁ、姉貴が羨ましくて僻んでいるだけと分かっているがこの気持ちが嫌いだからあまり顔を合わせたくないのだ。

だが嫌いという訳ではない、ただ苦手なだけだ。


「姉貴いつの間に帰ってきたんだよ」


俺は姉貴と2人で飯を食いながら唐突に質問してみた。いつも予告無しに帰ってきては俺をいじり倒していつの間にか消えてる。そんな神出鬼没な姉貴が帰ってきたら不思議に感じるものだ。


「私が帰ってきたらマズかったのかなぁ?」


食事をしながらも笑顔の殺気が俺へと向けられる。いや、ほんとすいません殺さないでください。ただ疑問に思っただけで他意はないですほんと。


「マズくはないけど姉貴ってどこで働いてるとかいつが休みとかなんも教えてくんないじゃん」


姉貴はそーいやそうねと笑いながらなんて説明すればいいかなぁと頭を抱える。

そんなに悩むような事なのだろうか?

不思議に思いながら両親の姿が目に止まる。両親は早々に食事を終えてテレビの前でゆっくりしているが、両親は流石に知ってるだろうと聞いてみる。


「母さん、姉貴ってどこで働いてるの?」


「えーっと、なんか公務員みたいな政府の会社だったわね確か」


いや母親も曖昧かい、父親は俺も知らんとハッキリ答えたがそれでよく娘を心配しないなほんと。どんな親だよ。

てか就職するなら場所ぐらい聞くだろ、ほんとこの家の放任主義加減には恐怖すら覚える。俺ならともかく女である姉貴のことは知ってて欲しいものだ。


「そんなに気になるなら入ればいいじゃない!」


ん?俺の聞き間違いか?今入ればとか言わなかったか?

姉貴はそう言うと食事を止めてバックの中を漁り出す。


「これ!あんたうちで働きなさい!どうせニートでオタクで引きこもりなんだから一度姉ちゃんのところで修行しなさい!」


いや、そこまでハッキリ言われるとグウの音も出ないが。姉貴の手に握られているのは1枚の申込用紙。


[政府直轄機関セブンス入社申込書]


「…まじで?」

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