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ヒーローズセブン  作者: のい
第1章 俺、ヒーローになります
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ボス戦ってリアルはこわいよね

やばい。ものすごくやばい。

春田さんとラシードの戦闘はもはや一般ピーポーの俺には理解できない領域になっていた。

あれでミリオンズって、セブンスの強さとかもう計り知れないレベルだ。

そのセブンスでしかもリーダーである姉貴は一体どんな強さなのか。先程春田さんから聞いた能力、理解は出来ていないがなんだかそんなに強くないイメージを持ってしまっている。


とりあえず現状はまだ姉貴と江上さんからの連絡はまだだし、恐らく敵の大将とまだ出くわしていないか戦闘中なのであろう。春田さんはロシア人のラシードと交戦中。ラシードと春田さんの戦いはほぼ互角。

俺は今土井ヶ原さんと一緒にコンテナの影に隠れて春田さんの戦いを見守っている。


「どうやら小百合さんと江上が敵と大将と交戦を始めたらしい。」


土井ヶ原さんの無線に江上さんからの連絡がきたらしい。

姉貴は大丈夫だろうか、いや、心配とか別にしてないが姉貴はよく勝負事などしてると所謂ドライバーズハイになる。

つまりは熱中しすぎてぶっ飛ぶということだ。それが能力者同士の戦いでもそうなるのかはよく分からないがなんせ負けることが大嫌いな姉貴だ、多分最初から全力でいくんだろうな。


など考えていたら唐突に船の側面が爆音と共に一部が吹き飛んだ。

陸にいた俺や土井ヶ原はもちろん、春田さんやラシードも唐突の出来事に固まる。

すると息を呑む時間もなく春田さんとラシードの間に何かがすごい速さでぶっ飛んできた。

土煙が舞いよく見えないが、どうやら人らしい。その人影はゆっくりと立ち上がり「いてて…」と頭を抑える。


「いやぁ、やっぱ強いねあの人。」


そうですね、はい、姉貴です。

いや今のスピードで地面に叩きつけられて「いてて」で済むのもおかしい。

唖然としているラシードと春田さん、そして俺と土井ヶ原さん。そりゃ驚くよね。


「小百合さんが吹っ飛ばされてる。」


あ、驚くとこそこなんですね。

土井ヶ原さんは姉貴が平気なことより姉貴が飛んできたことに驚いてるらしいです。

すると船の側面、姉貴の目線の先にもう1人の人影が見える。巨大な体躯に隆々とした筋肉、もはや人間かどうかも疑う見た目。


「あ、あれが、大、将?」


俺はもうこの距離でも相手の気迫と威圧感に圧倒されただただ後ずさることしかできなかった。


「あれは、鉄血のローレン・スミルノフ!?」


土井ヶ原さんが相手の大将を見て目を見開いて驚く。


「て、鉄血?」


「あぁ、アイツはロシアで国家指名手配されている殺人鬼だ。

その能力者と鉄のような頑丈な体躯から鉄血と呼ばれている。」


土井ヶ原は予想外の大物に動揺を隠せていない。よほど有名人なのだろう。

ただ、素人の俺でもわかる。アイツはヤバイ。

人間が進化する前、猿だった頃からの本能とでもいうのか。そんな本能が必死に逃げろと叫んでくる。この距離でこの有様だ。目の前なんかに立てば恐らく一歩も動けないだろう。


すると敵の化け物の後方から人影が姉貴にめがけて飛んできた。


「小百合さん!大丈夫ですか!?」


江上さんだ。どうやら怪我もなく敵の一瞬の隙をみて船から離脱したのだろう。


「大丈夫大丈夫、しかしアイツ力すごいね。」


姉貴はヘラヘラしながら体についた土埃を払う。なんでそんなに余裕なのか。

相手は仮にも異名まである指名手配犯だぞ?

土井ヶ原さんの動揺ぶりを見ても相当の手練であることがわかる。


「小百合さん!」


「隊長!」


春田さんが驚きつつも姉貴に駆け寄る。

ラシードも距離を取りつつ鉄血に呼びかけていた。


「ラシード、どうやら手こずっているようだな。」


鉄血も船からラシード目掛けて飛び降りてきた。着地した地面にヒビがはいりその体躯の重量感が伺える。


「思いの外日本の能力者が強く、お役に立てず申し訳ない。」


ラシードは頭を下げて鉄血に現状を報告する。

それを聞いた鉄血は口元に笑みを浮かべ「ほぉ」とこちらを見る。

どうやら強い敵に会えて嬉しいらしい。ほんと俺には理解し難い思考だ。


「いやぁ、ごめんね六輔。戦いの邪魔しちゃって。」


「いや、僕は大丈夫ですけど小百合さんこそ吹っ飛ばされるなんて珍しいじゃないですか。

やっぱり鉄血は強いみたいですね。」


「いやぁ、まさかこんな大物くるとは思ってなくて。」


俺と土井ヶ原さんも物陰から出て姉貴に駆け寄る。

両方の能力者のメンツが対峙した。

いや、俺は能力者ではないが。正直今すぐ帰りたい気持ちでいっぱいた。


「とりあえず、アタシも久しぶりに本気だすから。

アンタ達は下がってて。」


「あ、姉貴!?ひ、1人で、戦うの!?」


姉貴の言葉に驚いた。あんな強そうな指名手配犯1人でも勝てるかわからないのに春田さんが手こずってたラシードいる。

そんな2人に1人で戦うなど無謀もいいところだ。


「カイトに心配されるほどアタシは弱くないわよ。

アタシの能力使うとアタシしか戦えなくなるからね。」


?どういうことだ?

さっき能力聞いたけどそんなこと言ってたか?


「なら俺らは後方待機しとくんで、思いっきりやって下さい。」


春田さんはすぐに了解して俺らを連れて後ろに下がる。どうやらほんとに姉貴1人で戦うらしい。


「胡呂呂!六輔と涼樹の回復お願い!」


「はい!」


江上さんは返事をすると俺達の方を向いて膝を付き祈るような格好をした。

すると優しい光に包まれて春田さんと土井ヶ原さんの傷が少しづつ治っていく。


これがさっき春田さんから聞いた江上さんの能力、[感情(オーバー)発散(エモーション)]。

春田さんの言葉をそのまま借りると江上さんは自分の感情によって能力が変わるらしい。

怒っている時は自分の身体能力の向上。

悲しい時は周囲の人へ対する回復。

凹んでいる時は周りの人を鬱な気分にするなど感情の数だけ能力があるらしい。

たしかにすごい能力、Aランクと言われれば納得する。

ただ本人の感情の度合いに依存するため感情のコントロールが重要らしく、それが江上さんはあまり上手くないらしい。


「ほう、回復の能力か。

しかし俺たち2人に1人で挑むとは、よほど自信があるのか?」


鉄血は全身の筋肉に力を入れて臨戦態勢を取る。ラシードも炎を大きくして構える。


「アタシって一応日本の能力者のエースだからね。これくらい1人で十分よ。」


姉貴もボクシングのような構えをして体制を整える。


「ぐぉっ!」


刹那、姉貴が消えた。消えたように見えた。

一瞬過ぎたが。気づいた時には鈍い音と共に鉄血の横にいたラシードを一撃で地面にめり込ませていた。

ラシードは、何が起こったかわからない。そんな表情で地面に血反吐を吐いてそのまま動かなくなった。


「はい、1人終わり。」

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