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ヒーローズセブン  作者: のい
第1章 俺、ヒーローになります
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春田六輔VS火炎使い

「とまぁ、2人の能力は分かったかな?」


鉄骨と炎の球が飛び交う中、俺は春田さんに大まかに姉貴と江上さんの能力について教わったとろこである。


「よ、よく、わから、ないです…」


正直な感想だ。でも姉貴の能力はなんとなく合ってるなと感じてしまうような能力だ。

まぁ、ちゃんと理解はしてないが。


「まぁ、あの2人の能力は見て見ないとピンとこないよね。」


春田さんも苦笑いを浮かべながら鉄骨を操っている。なんかなぁ、カオスしてるよこの場所。

とりあえず現状は春田さんと俺が遠距離によるサポート、まぁ、俺は実際何もしてないが。

そして土井ヶ原さんが炎の能力者と交戦中、そして姉貴と江上さんが密入国船に潜入している状態だ。姉貴は「私が突っ込む!」みたいな無茶苦茶な作戦を言っていたが、どうやら俺達が陽動、そして姉貴たちが潜入して本丸を叩くというちゃんとした作戦になっていたらしい。

よくあの言葉でそこまで理解したなと驚きを隠せないが、とりあえずここまでは成功。

あとは姉貴たちが上手くやればほぼ任務成功なのだが。


「向こうの能力者もなかなかしぶといね。よくく訓練されているよ。」


春田さんが感心するのもわかる。向こうの能力者、火炎使(パイロキネシス)いの人は周りの黒服たちが倒されて1人で既に20分くらいは交戦している。

土井ヶ原さんもかなり消耗しているようだし、これは早めどうにかしないと。ただでさえ土井ヶ原さんの能力は集中力使うだろうし、土井ヶ原さんがスタミナ切れをしてしまう。


「さて、涼樹キツそうだし、僕が前線交代してくるよ。」


春田さんが不意に言うと物陰から身体を出す。俺は驚き「春田さん!?」と止めようとするが春田さんは至って冷静にゆっくりと土井ヶ原さんの所へ歩いていく。

それに気付いた土井ヶ原さんはやっとかと言わんばかりに俺が隠れているコンテナまで後退してきた。


「ど、土井ヶ原さん、春田、さんは、大丈夫なん、ですか?」


後退してきた土井ヶ原さんに心配そうに聞いてみるが土井ヶ原さんは「あーだる」とその場に座り込む。よほどあの能力は体力を使うらしい。


「あとロクなら大丈夫だ、伊達に俺らのまとめ役やってねーよアイツは。」


ロク?あ、春田六輔だからロクか!意外にもあだ名とか呼ぶんだ土井ヶ原さん。

というか春田さんの能力は俺が見た限りバリバリの遠距離後方支援でこそ力を発揮する能力だと思ったけど、あの能力で近接ってどんな戦い方だろう。少なくともあんな間合いで鉄骨投げる訳にもいかないだろうし。


すると敵が土井ヶ原さんと交代して春田さんが来たからだろう、警戒をして攻撃を止めていた。まぁ、未知の相手ほど警戒するのは当然だろう。

すると春田さんはにこやかに敵に話しかけた。


「初めまして、涼樹がバテそうなので代わりに僕がお相手を務めます。」


「またガキか、子供の相手をしに来た訳ではないんだけどな。」


相手が初めて口を開いた。話しを返した辺りを考えると密入国者と言っても日本語はちゃんと話せるらしい。相手はこちらが鉄骨を投げてきたことから遠隔操作系の能力というのは分かっているだろう。だがそんな能力者が近接へ来たらそれは警戒するだろう。

どんな隠し玉があるかわからないし。


「僕は春田六輔と申します、お名前聞いてもよろしいですか?火炎使(パイロキネシス)いさん。」


唐突の質問に驚いたのだろう、相手の能力者は少し考えたがすぐに口元に笑みを浮かべて返答する。


「ラシード、ラシード・ルドルフだ。」


春田さんはその答えを聞いて何か納得したかのように臨戦態勢を取る。


「それではラシードさん、お手合わせ願います。」


ラシードと名乗る男も春田さんの臨戦態勢を見て、身体に力を入れる。そして両手から炎の球を出して構える。


「こちらこそ、ガキだからと手は抜かんぞ。」


すると春田さんは「では…」と右手をラシードに向ける。だがラシードが「先手は貰うぞ」と火の球を2つ力強く投げた。かなりのスピードだ、その速さに春田さんも驚いた顔を浮かべるが春田さんの目の前、当たる寸前のところで火の玉は下に叩きつけられた。


「なにっ!?」


ラシードも当たったと確信していたのだろう、急な出来事に驚きを隠せないようでいる。


「先程よりスピードが上がっていたので驚きましたが、スピードなら負けませんよ?」


そう言った春田さんの周りには鉄の棒らしきものがいくつも浮いている。棒というか鉄パイプのようだ。それが5本、春田さんの周りをクルクルと回りながら浮いている。


「僕の能力は数や操る物が軽ければそれだけスピードが出まして。鉄パイプぐらいなら5本でそれなりスピードで操れます。こんな風にっ」


春田さんの鉄パイプが物凄いスピードでラシード目掛けて一直線に飛んでいく。ラシードも咄嗟に避けたが、パイプは金属の鈍い音と共に地面に突き刺さる。

いや、威力もすげーな。


「ちっ、厄介な能力だ。日本はいい能力者を揃えているな。」


ラシードは咄嗟に避けたが片膝を着いてその威力に狼狽える。ま、あんなの見たらそらゃ狼狽えるわな。

するとラシードはゆっくり立ち上がりゆっくり深呼吸を始めた。


「ならば俺も本気で行こう。」


するとラシードの掌だけでなく全身から液体が滲み出てきた。


「俺の能力、舞踊(ヒート)業火(ダンサー)は掌だけでなく全身にある特殊な分泌穴からヒドラジンという自然発火しやすい液体を分泌できる。しかも耐火皮膚という便利な身体でな。つまり…」


途端にラシードの上半身は燃え上がり熱気が隠れている俺にまで伝わってくる。隣で土井ヶ原さんが「手抜いてたのか野郎」と苛立っているが触れないようにしよう。

するとびっくりはしたようだが春田はわりと冷静に相手を観察している。


「なるほど、でも鉄パイプは刺さりますよね?」


すると先程突き刺さった鉄パイプを抜きまた体の周りに浮かせ、息を吸うと一気に5本同時にラシード目掛けて発射する。

ラシードはそれを1本、2本と避けて微かな隙間のタイミングで空中を蹴ると足から炎が刃のように変形し春田さんへと飛んでいく。


春田さんはそれを慌てて近くに落ちていた鉄の廃材で防ぐ。


「なるほど、そういう使い方もあるんですか。」


「足の方が腕より力があるからな。この方が威力もスピードもある。」


いやもう2人の戦いが異次元すぎて俺ついていけない。こんなところに一般人の俺がいたら間違いなく死ぬ。というか春田さんが怖い。優しそうな顔してメッチャ強いじゃん。

オマケにニコニコしたまんまだから余計怖いわ。

相手のラシードって人もそうとう強いし、ってことは相手のボスとか姉貴と江上さんだけで大丈夫なのか?

多分相手のボスはラシードって人より強いよな?

するとラシードは同じステージに立っている春田さんを見て楽しそうに呟いた。


「さて、春田、とか言ったか。存分に死合おうぞ。」


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