丘の上の魔女 8
――いいな、君は。
ほとんど見えなくなった視界に、ぼんやりと<レギーネ>の姿が見える。ノイズと紅の世界で、優しく微笑み私の頬をすぅっと撫でた。
――レギーネ、なのか。
――他の誰に見えるの? 迎えに来たんだよ。
――何故?
――君のここにぼくがあるから。
<レギーネ>は私の胸に手を重ねる。
――君にとっては火炙りだけど、ぼくにとっては火葬だよ。やっと、心置きなく逝けるよ。
――レギーネも苦しかった?
――よく分からない。夢を見ているみたいだ。それにしても君はこんなに大勢に看取られて羨ましいよ。
<レギーネ>はどんな表情で言っているのだろう。私の視界はすでに闇に包まれている。心なしか、体が軽いような気がする。
――いつまでそのままいるつもり?
クスクスと笑い声が聞こえ、ハッと目を開けた。
――え?
私は<レギーネ>と同じ様に、ぼんやりと浮いている。手足も縛られてはいない。ふと足元を見ると、紅い鉄と燃え盛る炎があった。
――あぁ、とうとう私は解放されたのか。
私は初めて、心の底から笑えた。
――おめでとう。時間がないよ、行こうか。
――レギーネもおめでとう。
差し出された手を握ると、私達の周りに淡く温かい光が集まって来た。
――2回目だね。
――あぁ。温かいな。
――ねえ、来世では君と友達になりたいな。
――私もなりたい。その時は、クウもノーランもルノも一緒に。
――サーキーとランクと、あの人もね。
――ああ、そうだな。あの人も、皆で笑いたい。
――約束だね。
――約束だ。
ふたりで笑う。下は何だかとても騒がしいけど、知った事では無い。
光がついに私達を包み込む。
――お別れだね。
――次に会う時まで約束忘れるなよ。
――君こそ忘れないでよ?
――当たり前だ。それじゃ、また会う時まで。
――うん、また会う時まで。
光がぱあっと強く輝く。眩しさのあまり私は目を閉じた。




