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丘の向こうの魔女  作者: ひぐらしあや
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魔女と英雄伝説


 ほんの少し前、この田舎町にひとりの魔女が居ました。彼女は、全町民から嫌われており、丘の向こうに住んでいました。

 彼女は深夜、度々町に来てはいたずらをして帰っていきました。彼女が来た後の朝は、町民が口を零します。


「魔女がドアに落書きをして行ったぞ」

「あぁ、窓がひとつ割られている」

「おい誰だ、家の庭を荒らしたのは!」


 そして、町民達が口を揃えて言いました。


「決まっているだろう、魔女の仕業だ!」


 町民達が混乱し、口を溢す姿を魔女は楽しんでいるに違いありません。だって、そうじゃなきゃこんな事はしないでしょう?

 彼女のいたずらにほとほと困った町民は、玄関のドアノブにヒイラギの葉をぶら下げました。

 しかし、その夜にも魔女は奴て来て、全町民の玄関のドアに落書きをして帰りました。

 朝、町民達が落書きに気がつくと、女子供が震えます。


「魔女にヒイラギが効かないなんて」

「魔女はヒイラギすら効かないほど強いのか?」

「今度は、ヒソップのオイルを家の周りにまいてみよう」


 誰が言い出したのか分かりませんが、町民達は声を揃えて言いました。


「そうしたら魔女も降参するだろう!」


 町民達は隣町でヒソップを手にすると、各々ヒソップオイルを作りました。

 それを一斉に、家の周りに円を書くようにまきます。ヒイラギの葉と、ヒソップの効果で悪しきものは何も出来ないはずです。

 しかし、その夜も魔女は奴て来ました。怯む様子も無く、玄関のドアに落書きをし、更に庭や物置も荒らして行きました。

 朝、町民達は嘲笑うかのような落書きや、荒らされた庭、物置に気がつくと、大の男達も震えあがりました。


「ヒイラギとヒソップが効かないなんて……」

「他の魔除けは無いのか」

「ハーブ以上に効く魔除けなんてあるものか!」


 やがて、町民達は息を揃えて言いました。


「もう、魔女狩りの達人に頼むしかない!」


 町民達はその日中に、魔女狩りの女達人をお呼びました。町長と女リーダーを筆頭に、今までの魔女の悪事を伝えます。

 すると、達人は二言目で依頼を受けてくださりました。

 そして、達人は丘の向こうへ歩き始めました。丘の向こうのふもとに着く前に、ふたりは出会ってしまいました。


「魔女め、奴つけてやる!」


 魔女はにやりと笑うと、怪しげな呪文を唱えます。しかし、その呪文は達人には効きません。

 魔術が効かないと知ると、魔女は逃げようとしましたが、達人があっという間に奴つけてしまいます。


 しかし、瞬く間に魔女は復活し、油断しきった達人に渾身の魔術を唱えました。

 達人が息絶えるのを見届けた後、魔女は町から姿を消してしまいます。

 翌日の朝、女リーダーが達人の亡骸を発見しましたが、魔女の姿は見当たらず影さえもありません。

 惜しくも死んでしまった達人の勇姿に、町民達は涙を流します。

 達人によって町が救われた証として、町の真ん中に達人の像を建て、讃え、敬い、このお話は【魔女と英雄伝説】として語り継がれました。


――おしまい。



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