表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/49

2.5章修行編02

強者との戦闘は常に思考と行動を働かせるものですね

私は紅茶を飲みながら…策を考えた…だが…どれもうまくいかなかった…

あの実技をもう三日も続けているのに、未だに成功しない…

それどころか、次々とこちらの策が読まれて、手を出せない状況になっている

一度は、接近戦に持ち込もうとして飛び込んだが…私は円の周りをくるくると飛ぶ破目になった。

体の裁き方も駄目だしされた私は…この怒りをどこへ向ければいいか本当に悩んでいた

何か良い方法は…物理的な攻撃は全て効かない…あれで本来の悪魔の力である魔法を使っていないのが、更にイラつかせる…

しかも…日に日に、夜叉のため息が多くなってきている…

もし…このまま…上手くいかなかったら…私は夜叉に見捨てられるのだろうか?

それは嫌だ…見捨てられたくない…

私には…もう夜叉しかいないのに…夜叉に見捨てられたら…

私は自分の思考が危ない方向に向かっている事に気づき、頭を振った…

こんな幻想染みたものに…心を惑わせてどうする…

…ん?…幻想…幻…

「そうよ!!これです!!」

私は威勢よく立ち上がると、すっかり冷めた紅茶を飲むと、急いで、中庭に走った!!

そして…中庭の位置を見て…計画をたてた。

「夜叉見てなさい…貴方を円の外へ追い出させて頂きます!!」

私は…夜叉が描いた円に拳を突きつけてそう言った。


翌日

夜叉は、この三日間、変わらぬ体勢で円の中に立った

「さあ、ジャンヌ、今日こそ我を追い出せるか?」

嫌味の効いた言葉で話しかけてきた…

「ええ、今日こそ、その円からご退場願いますわ…」

私は腕を突き出し

“我求む、天、落ちたる、破壊槌”

呪文を紡いだ…古語により命令された世界が…古語を実行する…

それは、夜叉の頭上の空気を圧縮し、夜叉に叩きつける…その威力は凄まじく、余波の風が吹き飛ばした砂が私の視界を覆う…

それは、まるで見えない巨大な槌が振り下ろされたような威力だが…

「これは昨日、試しただろう?」砂煙の中から夜叉の声が聞こえた…

そうなのだ…この魔術は、昨日、嫌と言うほど使ったが…夜叉を動かす事は出来なかった。

だけど…これだけじゃない!!

“我求む、地、出たる、破壊槍”

砂煙の中で夜叉が地面に意識を集中させる…

「なに…真下だと!?これだと初日の二の舞だぞ?」

夜叉が真上に飛ぶ…そう…これを待っていた…

“我求む、天、切裂く、風刃”

砂煙の中、私は風の刃を無数に発生させた…

「我にその技は効か…この位置は…まさか!?」

空中から落ちてくる夜叉は、私の意図に気づき、驚愕した

そう…それは、夜叉ではなく…

「円そのものを壊せば良いのですわ!!」

私は、円に目掛けて風の刃を放った。

だけど…その刃は…

「なっ…そんな…」

円に届く瞬間何かにぶつかり霧散した…あれは…石?

「我に石を投げさせるとは…よく考えたな」

夜叉はそう言って…地面に降りた…

私はその様子を見ると顔を俯けた

「君は良くやった…だが、我に此処まで…」

「やりました!!!!やりましたわ!!円から出しましたわ!!」

私は、地面に降りて何か変な事を言っていた夜叉にそう言った

「ジャンヌ?何を言って…」

夜叉は足元を見る…其処には円が書かれた地面がある…

「あら?まだ、気づきませんの?さっきあれほどの、土煙や岩や風が起こったのにも関わらず、この綺麗な円に…なにもわからないんですの?」

私がそう言うと、夜叉は…眼に手をやり…

「しまった…これは幻術か…」

夜叉がそう言った瞬間…夜叉の立っていた場所から…円が消え去った…


「ええ、砂煙の中作成させて頂きましたわ~あとから出てくるように、していましたから!!」

そう…初めからこれが狙いだった

初めの一撃は、目くらまし、次は、円の位置を誤魔化す為、そして、風の刃は…砂煙の中で夜叉に偽の円の場所を指示する為…全ては、この為の策だった

「悔しいが、合格だ…我もまだまだ甘いな…だが、よくやったな、偉いぞ!!」

夜叉はそう言って頭を撫でてくれた…

とても大きな手だと思った…懐かしい様な…心が温かくなる…母さんとも違う…なんて言うんだろう…この感じは…それより…夜叉が褒めてくれた…私はいらなくないと実感できた…そう考えていると…

「ジャンヌ?どうした…泣いているのか?」

私は夜叉にそう言われ、顔に触れると…確かに濡れていた…

「あれ?どうしたんだろう…あれ…止まらない…悲しくないのに…」

私は…この涙に戸惑った

「まあ、無理して泣き止む事は無い…泣けば良い」

とりあえず…夜叉にそう言われ…私は泣いた…訳も解らず泣いた…

心が温かい…この涙に…私は疲れるまで泣いた…





相手を下に見ている奴ほど騙されやすいのが世の常だ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ