03.炎の中の旅立ち
次に眼が覚めたとき、私は燃える家の中にいた。
私の周りには二つの焼死体と、一人の黒髪の漆黒の瞳の男が跪いていた。
私は焼けた自分の家を見回し、母がいないことに気づく!!
「お母さんはどこ!?」私は黒髪の男に話しかける
「彼女は、此処にはいない」男は、簡単に答えた。
「いない…」とりあえず、この火の中にいないことを安心した…
このまま私が死んでも…母は無事だったら良い…私は眼を閉じる。
ん?おかしい…
火がまだ私のいるところに燃え広がらない?
それに…熱くない…焼死体は灰になったのに…
それに、黒髪の男にも…それを考えていると、
「この家の炎は、我らに害をあたえない…これは、彼女の力だ…」
彼女…魔女の力と言う事は…お母さん!?私は辺りを見る。
「そして、すまない、彼女は魔女狩りの連中に連れて行かれてしまった…」
私の顔が青くなる…そんな…母さんが…何故?
「君を人質にとられ、攻撃魔法が使えなかった…そして…」私のせい…
「敵にも魔法使いがいた」魔法使い!?何で魔女狩りに!!
「彼女は捕まるとき、使い魔である我に、君の守護を命じた」
「じゃあ、あの二つの焼死体は…」
「君を穢そうとしていた…だから殺した」「母が捕まったのは?」
「20分前だ!!だから逃げるぞ!!奴らが異変に気づき戻る前に!!」そう言って、男の拳は私の鳩尾に…
母をまだ助けられる距離なのに…私の意識は…また闇に沈んだ…
(君を失うわけにはいかない)そんな声が聞こえた…。
あの火の中から脱出した後、私はお母さんの使い魔に掴みかかっていた!!
「何で邪魔をしたのよ!!貴方が邪魔をしなければ!!お母さんを…」
「思い上がるな!!」
使い魔は、私を弾き飛ばす、その顔は憎悪に染まっていた!
「君、一人で何が出来ると思う!!君だけが辛いと思っているのか!!」
使い魔が主を守れなかった辛さを、私は理解してはいなかった。
「そんなの、私が知るわけ、ないでしょ!!お母さんを…
お母さんを助けられなかった!!」
――――――〇――――――〇――――〇―――――
眼が覚めると、私は夜叉の腕の中にいた。
周りの風景が変化しているから、まだ走っているのか…
「ジャンヌ、眼が覚めたか?魘されていたが…・」
どうやら過去の夢を見ていたんだ…
「ええ、貴方の腕の中で、最高の悪夢を見させてもらったわ」
私は軽く、そっぽを向く…
「ジャンヌ…これからどうするんだ?」
「とりあえず、母さんを助ける為に、この国を出て行こうと思うわ」
「何故、この国を出て行くんだ?」
不思議そうな顔をする夜叉、それは当たり前だろう、隣国に行ったら母を助ける事が出来ないのだから…しかし、私には策があった。
「それは、この国を征服する為よ」
あまりの発言に固まる夜叉…
「ジャンヌ…君は…そこまで強暴だったのか…」
呆れ顔の夜叉に私は怒りを覚えつつ
「国を支配したら、この魔女狩りそのものを無くすのよ!普通に助けるだけじゃ、私のように悲しむ人が出てくるかもしれないでしょう!」
「なら、他に良い方法でもあるのかしら?私を侮辱するほどですもの、
きっと良い考えがあるのでしょうね?」
沈黙…
「じゃあ、聞くが、何処の国に行くのだ?」
「それはもう、目星はついているわ」
私は言い切る
「フランスよ!!」
私の答えが、わからない顔をする夜叉に、私はさらに話をする。
「今この国は、フランスと戦争状態にあるの、そこはわかるわね?」
頷く夜叉
「それで…その国に行って、この国を倒す手伝いをするの」
「なるほど…、だが、それだと…いやなんでもない!!」
何か、言いたげな様子だったけど、私は構わず、言う
「フランスへ行くわよ!!お母さんを助ける為に!!」
私はフランスの方へ大声を上げる
私たちは、フランスへと疾走する!!
正確に言うと、私はお姫様抱っこをされている…恥ずかしくないぞ!!
そんなことを考える私をよそに、
朝日が上り、新しい日が始まる、次の日に続く為に…
序章終了
次回予告
ついに冒険が始まった!!
母を救うために、フランスへ行くジャンヌ、
しかし、フランスには、新たな問題がジャンヌを襲う…
彼女は、母を救うことが出来るのか?