私は転生悪役令嬢のようですが、妹は天才のようです。
皆さんこんにちは。
キャシリア・ラルフォードです。
え?お嬢様口調じゃないのか?
そんなの必要な時に使えばいいのよ。
え?何か問題でも?
「お姉様、お姉様。みてください。」
いくらでも見るわ!レティ!
あ、言わなくても分かるかもだけど、[レティ]はレティシアの愛称です。
可愛いでしょう!?
ちなみに私は[キャシー]。
愛称の方のままで普通に名前じゃね?って思うのよね…
そんな事よりレティよね!
レティが私を見つけて走ってくる…それだけで私、胸いっぱい!
そのレティが私に見せて来たのは、ケガをした小鳥。
心配そうに眉を下げたレティはマジ天使!!
「お姉様?」
「な、なんでもないですわ。その子どうしましたの?」
答えない私を心配してレティが私の顔を覗き見る。
か、かわ……ああ、ちょっとしつこかったわ。
何度も言わなくても可愛いし!
「すぐそこの林に…この子だいじょうぶですか?」
「…少し危ないかもしれませんわ。血も止まりませんし…」
私の言葉に泣きそうになるレティ。
ごめんね!?姉さん攻撃魔法しか使えなくてごめんね!?
というかこれ、レティの過去にあったイベントよね!?
ケガした小鳥を見つけて、姉の所に連れていくけど「そんな汚ならしい物、私の前に持ってこないで!」って突き飛ばされて、自分の部屋に連れていって、「助けられなくてごめんなさい」と泣きながら小鳥を看取る。
そのあと回復の魔法を身に付けるレティだけど、その時助けられなかった事もトラウマの1つになったハズ…
…待てよ。
ゲームのレティは、魔力を持っていてもそれを扱う技術を教わるのは学校に入る15才になってから。
けど、今は私が記憶取り戻してすぐにお父様に訴えたから、もう魔力の扱い方は先生に付いてもらって習ってる。
これ、いけるんじゃね?
「…レティ、落ち着いて。」
「お姉様…?」
「貴女には回復魔法を扱う素質があると先生もおっしゃっていらしたわ。」
「で、でも、私まだ使えた事が…」
「だから、落ち着きなさい。」
不安そうなレティに笑いかけて、正面から隣に移動して肩に手を置く。
「回復魔法は特に気持ちが左右しますわ。ケガをした相手を助けたいと思う心、それが大事ですわ。」
「たすけたい…」
「そう。…目を閉じて…強く思うのです。」
「たすけたい……たすけたい……!」
私の言うとおり目を閉じて呟くレティ。
強く呟いたその瞬間、優しい光が溢れだす。その光は小鳥を包み込み、そして空気に霧散するように消える。
途端にフラりと体制を崩すレティをそっと支える。
「お、お姉様…私…」
「お見事ですわ、レティ。」
レティの手のひらにはケガ1つ無い小鳥。
チッ、チッ、と鳴きながらレティを見ている。
そんな小鳥を瞳に写したレティは満面の笑顔になる。
「よか…よかった…です…」
「ええ。小鳥さんもお礼を言ってますわ。」
「はい…っ」
パタパタと飛び立ったものの、レティの側を離れず周りを飛び回る小鳥にレティは本当に嬉しそうに笑う。
あーもう本当に可愛い!!
それにしても、いくら魔力操作を学んでいても、使った事の無い回復魔法を使ったレティは天才です。
私の妹は天使で天才です!
大事な事なので2回言いました。
後日、王都に滞在していて戻ってきた先生により、その小鳥が精霊で、特に珍しいタイプの物だと言う事が判明しました←
天才です!
本当に大事な事なので3回目です。