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10 ゴリラとおばさん

更新遅くなって申し訳ありません・・・。

どうしても2つやるのは作者にとって困難なようです。

それでもなるべく放置せず、どうにか書いていきたいと思うのでよろしくお願いします。


幸運なことが2つあった。

プラドで来ていたこと。その車内に学園鉄道の制服を置きっぱなしにしていたことだ。

プラドを急いで走らせて、鉄道部部室というかその横にある車両基地と言うか・・・とにかく車両基地へプラドを走らせた。


「おう!いつでも出せるようにきっちり整備はしてあるぞ!足回り点検は終えちょる!このまま乗って出い!」

「時刻表は!?」

「今届くはずじゃい!」

そこへ、アメリカンパトカーのサイレン音をさせながらクラウンビクトリアが滑り込んできた。パトカー好きには有名な、アメリカ警察のパトカーの代表格と言っていい車だ。

それが本当にパトカー仕様になって登場した。だが、よくよく見てみるとボディーに“Railway Police”の文字が。

つまり、鉄道警察。

あるんだ・・・。


クラウンビクトリアから転がり落ちるようにして鉄道職員が出てきた。

「車掌の根元です!これが、ウテシ(運転士の略)用の時刻表です!あと2分で発車時刻です!急ぎましょう!」

「え、いや、ちょっと!俺が運転するの!?」

「え!?違うんですか!?」

亀茲さんを見ると、「えっ?ちゃうんか(違うんか)?」みたいな顔をしている。

「俺、線見(線路の下見)は終えてますけど、まだ運転したことないぞ!学園鉄道ここで!」

「なら、今から本番じゃ!行って来い!」

マジかよ・・・


しかも運転するのが、


「これって485系じゃないですか!しかもボンネット型!」

運転した事ねぇよ!

「しゃあないじゃろ!いきなりじゃったから貸切用しかなかったんじゃ!」

昔せっかく運転できるようになったのだからと祖父に運転させてもらったことがある。車両基地内の入れ替えだけだったが、そこで運転したのは113系や115系、103系だけだった。

それがいきなり特急型車両なんて・・・


結局グダグダいっても始まらず、出発時間2分前になってようやく運転席へたどり着いた。

入れ替え信号を確認し、警笛一声、車両基地を後にする。


「うわっ、誰だよこんな信号機つけたやつ・・・」

駅手前の場内信号が青二つの“高速進行”になっているのを見てドン引きしながらも485系は無事に高等部前ターミナル駅へ向け走り出した。ってか場内信号で高速進行はやめろよ。目の前を120km/h越で通過されるのは嫌だぞ。普通。


“3番線に到着の電車は貸切列車です!一般の方はご利用にはなれません!なお、停車時間3分しかありません!ご利用の団体様は急いでお乗りください!”

駅員の校内放送を聞きながら俺は走った。ターミナル駅である高等部前駅は、つまりホームは行き止まり式だ。高松駅みたいな感じだ。そのため、運転士は折り返す場合逆側の運転席まで走らなければならない。しかも、この485系は10両編成。1両の長さはだいたい20mくらいなので、反対側の運転席までざっと200mある。

「鬼畜かよこのダイヤ!」

悪態つきながらも手足はスピーディーに動かす。走り、乗務員室のドアを開け、運転席にすわり、急いで点検。


“ジリリリリリリリリリ!

まもなく、3番線の電車が発車します。ご注意ください”

駅の自動放送と発車ベルが鳴る。

「できるかクソボケ!まだブレーキハンドルはめてないんだぞ!」

と、いいながらブレーキハンドルをはめる。


戸閉ランプがともり、ブーブー、と車掌からの発車合図が送られてきた。

「出発進行!高等部前発車!1分延発!」

定時発車できるかチクショー!新人いじめダイヤか!?

とはいえ無茶言って(ゴリラのせいだけど)無理やり入れてもらったダイヤだ。文句は言えない。


485系は長い編成をくねらせながらポイントをいくつもわたり、別の路線へ入った。大学方面行の路線だ。

そして、名前もそのまま、“大学部前”に到着した。

15番ホームまであるやたらと大きな駅だが、そのうち5つは普段使用していない。大学部やその隣にある研究棟は何かと“特別な人物”が来たり、“やたらデカい荷物”が来ることが多いので、その関係の列車が長時間停車することがあるらしい。基本的にそのためにホームが多くあるそうだ。


「おーしついたぞ!」

牛治田ゴリラ先生がやたらとご機嫌に降りてきた。

ちょうどその向かいのホームに一個手前の駅で追いぬかした153系普通電車が滑り込んできた。

「あ、A組だ。」

あずさが乗務員室のドアの前で言った。


「やぁーやぁー、これはこれは佐貫先生ではありませんかぁー」

ゴリラがやたら偉そうに、相手にケンカを売るように言う。

「なっ!?牛治田・・・どうやって先に・・・」

いかにも“やたらお金持っているから趣味悪く着飾ったおばさん”みたいな人が驚きの表情をした。

「いえいえ。私らは特急電車を貸切りましてねぇ~。乗り心地最高でしたよ~。」

「クソッ、ゴリラのくせに・・・」

「ゴリラとは心外だなぁ~、今朝の今朝まで大学見学のあることを教えてくれなかった佐貫先生?」


「・・・うわっ。ゴリラと昼ドラに出そうなおばさんがケンカしてる・・・」

思わずつぶやくと、あずさが説明してくれた。

「あれはA組担任の佐貫先生。あの通り、牛治田先生とは仲が悪いんだよ。互いにライバル意識が強すぎるというかなんというかで、たまに問題になることもしばしば・・・」

「この学校、大丈夫かよ・・・」

俺はそう言いながらも長時間停車するための作業、具体的には手歯止めの準備をしていた。


「じゃあ根本さん、何もないとは思うけど一応よろしくお願いします。」

「分かりました。」


そう言って俺はゴリラとおばさんを先頭に続く生徒の列に混ざった。





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