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第12話 星空の見える場所から…

 特別実験室…俺は入口の扉の前で唾を飲み込んだ。そしてある程度の覚悟を決めて中に入った。

 開けた瞬間に部屋の中に居た野木がこちらを見る。


「おお!綾香君じゃないか!僕にわざわざ逢いに来てくれたのかい?」


 やっぱり野木は相変わらずの反応だった。

 普通ならば誰か野木なんかに逢いに何か来るかよ!と言う所だが…今日は違う。

 そうだ、俺は今日は野木に相談があって来たんだ。


「ああ、今日は野木に逢いに来た」


 そう言うと俺は野木の反応を伺った。俺は野木の野郎がきっとすごく嬉しがるかと思っていた。

 だが、俺の予想を覆して先ほどまでのにやついた顔が消えて真面目な表情になった。


「…綾香君、どうしたんだい?何かあったのかい?」


 やっぱり、野木は魔法管理局の魔法使いというだけはある。俺を見て用事もなく来たのではないと解ったらしいな。いつもはただの変態だが、やる時にはやる人間だな…いや魔法使いだな…


「絵理沙に行方不明にしてもらった俺、姫宮悟を両親が捜しているんだ」


 俺がそう言うと野木は首を傾げた。


「ご両親が悟君を捜している?それは当たり前の事じゃないのかな?悟君は行方不明になってるのだからね」


「それはそうだが…でもな、最近俺の両親は元気がないんだ。土日は殆ど外出しているし…きっと俺を捜しに行ってるんじゃないかって…それで俺を見つけられないから…」


「なるほどね…でもそれも今更じゃないかい?君のご両親はずっと前から悟君の行方を捜していたんだろ?」


「そ…それはそうだろうけど…」


 確かに野木の言う通りだ…大分前からきっと俺の事を捜していたんだ…当たり前か…

 くそう、俺は自分の事ばっかり考えていて両親の事を考えてなかった…いやよく見てすら無かった。


 野木は自分の机の上にあるポットからコーヒーカップへとコーヒーを注いだ。そしてそれを中央にあるテーブルに置く。


「綾香君、そんな顔をしないで…話を聞いてあげるからソファーに座ってコーヒーでも飲んでくれ」


「…………」


 俺は何も答えられずにソファーに座った…そして目の前にあるコーヒーに目をやる。

 あれ?待てよ…なんでコーヒーが準備されてるんだ?もしかして野木はここに俺が来るのがわかっていたのか?俺はソファーの横に立っている野木を見上げた。野木は笑みを浮かべてこちらを見ている。


「野木…もしかして…お前は俺の心を読んでいたのか?ここに俺が来るのがわかってたのか?」


 野木は落ち着いてその質問に答える。


「いや…そうじゃないよ?ただ、僕はいつでも君を受け入れられる体制にしているだけだよ…それは遊びに来た場合でも…今回のように相談に来た場合でもね」


 野木は真面目な表情でそう言うとポットの置いてある机まで戻って自分のコーヒーカップにコーヒーを注いだ。俺は不真面目な野木に慣れてしまったせいもあって何だかこういう野木には違和感を感じてしまう…


「そ、そうか…」


 野木はコーヒーを入れたコーヒーカップを持って再びソファーの横まで来た。


「で?綾香君はどうしたいと思っているんだい?」


 野木はとても落ち着いた表情で俺に向かって言った。

 くそ…俺は何て言えばいんだよ…

 俺が言葉に詰まっていると野木から話を始める。


「そうだな…綾香君のご両親を安心させてあげたいのなら、悟君が生きているけど何らかの事情で戻れないという証拠を見せてあげればいいんじゃないのかな?」


 まだ何も言っていないのに野木の野郎は俺の考えを的確に当ててきやがった。

 まぁ…俺の考えは単純だし、考えそうな事はすぐにわかるんだろうな…


「ああ、野木の言う通りだよ。俺は両親を安心させてあげたいと思ってる…でもどうやってその証拠を両親に見せるんだ?まさか写真を送るとか手紙を送るとかする気か?」


 野木はニヤリと笑みを浮かべた。


「そうすればいいんじゃないのかい?写真と手紙を送る…」


「そうすればって…手紙と写真を送れるって事は、家に戻れないのはおかしいって事になるんじゃないのか?そこはどう説明するんだよ?」


 野木は微笑を浮かべたまま部屋の一番奥にある自分の机に歩いてゆく。そして椅子に座ってこちらを見て言った。


「そうだね…こうすればいいよ、悟君は記憶喪失だった、そして最近になって記憶が戻った。しかし、記憶は戻ったが帰れない理由がある。だがその理由は両親にはちゃんと伝えておきたい。だから手紙を送った…」


 む…また記憶喪失か…そんな理由でいいのか?だが…しかし、このままほっておいても俺(悟)は綾香に姿を変えてここに居る訳でいくら捜しても見つかるはずがない…

 元気が無くなってゆく両親は見ていられないし…そのうち周囲もあまりにも俺の行方不明の日数が長くて騒ぎ出すかもしれないし…野木の言う通りにするのがいいのかもしれないな…


「じゃあ…それを実行するにはどうすればいいんだ?その記憶喪失だった俺が何処から手紙を送るんだよ?まさか海外からか?」


「馬鹿だね、海外から手紙なんて出してどうするんだい?自力で戻れる距離じゃないと説得力が無いんじゃないのかな?逆に心配させてしまう事にもなりかねない」


「ば、馬鹿!?じゃあどこがいいんだよ!言ってみろ」


「まぁまぁ…怒らない怒らない、折角の可愛い顔が台無しになるよ。そうだね…北海道なんていいんじゃないか?手紙の内容は…」


 そう言うと野木は引き出しから便箋を取り出して手紙を書き出した。

 手紙の内容を考えながらなのにもかかわらず、ものの数分で野木は手紙を書き終わった。

 そしておれを俺に手渡す。俺はその便箋に書かれた手紙の内容を読んだ…


 父さん、母さんへ

 悟です。急に居なくなってしまって心配をかけてごめん。俺は何故だか知らないけど俺は今北海道にいる。先日まで記憶があやふやで記憶喪失だったらしいのだが、今になって記憶が戻ってきた。本当は電話でもすればいいんだが、ごめん、直接話すと何も言えなくなりそうだから手紙にする。今俺はある牧場の手伝いをしているんだ。記憶がなかった俺を暖かく迎えてくれた人がいる牧場だ。ここの家族はとてもよい人達で、俺はここで色々な事を学んだ。そして記憶が戻った今も俺はここにもうすこし居たいなと思っている。妹の綾香の事は心配だけど、でも俺は綾香が何処かで生きていると信じているから。大丈夫だ、きっと綾香は戻ってくる。俺の事は心配しないで!写真もつけておくし、また手紙も出す!そして俺自身が成長したらきっと戻るから。それじゃあまた。悟


 俺が読み終わったのを察したのか、いつの間にかまた目の前のソファーに野木が座っていて俺に手紙の内容を聞いてきた。


「どう?内容はおかしくないかい?」


 どうだと言われても…なんだこのドラマのような展開の手紙は…

 俺はこんなキャラじゃない…と思う…でもまあいいのか?


「いや…いいんだけど…なんか違和感がないか?」


「仕方ないよ、このくらいの内容にしないと説得力もないからね」


「う…まあ…そうかな…で?手紙に内容はこれでいいとしても…どうするんだ?」


 野木は便箋とボールペンを俺の目の前に置いた。


「じゃあ、これをこの便箋に写してもらえるかな?」


「え?俺が!?俺は今綾香だぞ!?」


「そうだね、でも中身は悟君だよね?じゃあ書き方も悟君のまんまだと思うんだ」


 確かに…言われてみればそうかもしれない…綾香の字を知っているが、今俺の書いている字は綾香の字じゃない…俺の字だな…


「解った…」


 俺は野木の書いた手紙を便箋に書き写した。


「よし、終わったぞ?これをどうすればいいんだ?」


「一応、確認させてもらっていいかな?」


 俺は野木に便箋を手渡した。野木は手紙の内容を確認すると、ソファーから立ち上がって部屋の隅にある掃除用具入れの前まで行った。そして掃除道具入れの扉をあけると中から箒を取り出した。

 箒だと?まさか箒で空を飛んで北海道まで行くなんて馬鹿な事は言わないよな?


「綾香君、今から箒で空を飛んで北海道に行くぞ?」


 俺は頭を抱えた。


「どうした?頭をかかえて?早くしたほうがいいだろ?さあ!いこうか」


「待て!今からか?もう夕方だぞ?俺が家戻らないと両親が余計に心配するだろ?」


 野木は笑顔で俺の横まで来るとぽんと頭を叩いた。


「大丈夫、綾香君の家には寄るから。そしてご両親にはちょっと綾香君をお借りしますって言うから」


 え、いや違う…そういう事じゃない…何だそれ…俺は物か…

 だいたい両親がそんなんでOKするはずない…

 野木は俺がそんな事を考え込んでいる途中でいきなり俺の脇を片手で抱えて箒に跨がった。

 そしていきなり窓に向かって突進!!


「うわ!野木!何するんだよ!それに窓!ぶつかる!」


 俺は目を閉じた!が…ぶつかった衝撃などまったくない…

 恐る恐る目を開けると既に学校の外…それも空中!?俺は空を飛んでる?マジか…

 俺は野木に出会ってから野木の魔法をまともに見た事がなかった。

 絵理沙の魔法は直接じゃないが、俺が今ここに存在しているから蘇生の魔法を使ったんだとわかる…

 今日、俺はついに野木がまともな魔法を使うのを目にしてしまった…それも箒て空を飛ぶといういかにも魔法使いらしい魔法…


「箒で空を飛ぶのは初めてかい?」


「当たり前じゃないか!箒で空なんて飛ばないし、じゃない…普通の人間は飛べないんだよ!あと、なんで箒なんだよ!箒じゃないと空を飛べないのか?」


「ん?ああ、別に箒じゃなくても飛べるよ」


「………え」


「いや…この世界だと魔法使いは箒で空を飛ぶように設定されてるようなので、その期待に応えたんだが?気に入らなかったかい?」


「別にそんな設定はない!期待もしてない!俺としてはこんな抱えられていつ落ちるかわからない状態よりは、絨毯とかの上に乗ったほうがいい…」


「ああ、大丈夫だよ、君を持っている手を離しても君は落下しないから。この箒の周りは一種のバリアみたいなもので覆われていて、外部から僕たちは見えないし、中からも出られないんだよ…そう…密室だ…」


 そうなのか…なるほど…だがそのバリアというのは見た目は透明なんだな…

 まともに地面を見ると体に震えがくるほど怖い…野木が抱えてくれていないと不安で仕方ないな…

 バリアだって何かあって消えたら俺は地面に向かって落下だろ?そうしたら俺は地面に叩き…想像するだけでも恐ろしい…

 …まて…野木の最後に言った密室という言葉も恐ろしいぞ…おい…


「わ、わかったけど…一つ言うぞ!いやらしい事すんなよ」


「ははは、僕がそんな事をすると思うかい?」


 野木は笑顔で俺を見ている…解ってるのかこいつは…お前がすぐにそんな事をするから言ってるんだよ!!前科あるだろうが!と言いたいが疲れるからやめよう…

 そうだ…俺は今綾香の姿だけど…写真はどうするんだ?


「おい、俺は今綾香の姿だけど、悟の姿で写真がいるんだろ?どうするんだよ」


「ん?ああ、それは大丈夫、現地で話すから…」


「現地!?現地って北海道か?」


「ああ、そうだよ」


 現地で…何で今言えないんだよ…



 ☆★☆★☆★☆★☆



 俺達は家に到着…到着まで約2分…すごく早い…魔法ってすごく便利だな…


 野木は躊躇なくインターホンのボタンを押した。

 するとインターホンから母さんの声がする。警察から戻ったのか…思ったより早かったな…


「私、彩北高校の教諭をしております野木と申します」


「あ、はい、お待ちください…」


 玄関の明かりが付くと玄関ドアが開いて中から母さんが出て来た。


「はい?野木先生ですか?何のご用でしょう?あら?綾ちゃん?どうしたの?」


 野木は俺には見せた事のないほどの真面目な表情で母さんと話を始める。


「この度、姫宮綾香さんが天体観測部に入部されまして、それで今日の夜に天体観測部での泊まり込み合宿を予定していたのですが…ご両親様にお話を忘れてしまったという事で、私が直接ご説明にまいりました」


 なんという先生トーク…野木…お前演技うますぎるだろ…あ、そうだこいつ先生だ…


「あら?そうなの綾ちゃん」


 母さんはすこし驚いた表情をすると俺の方を見た。


「あ、うん…ごめんなさい…言い忘れちゃった…あ!そうだ!お兄ちゃんどうだった?警察行ったんでしょ?」


 一応、俺の事も聞いておこう…どういう状況か多少はわかるかもしれないしな…


「ああ…警察に行ったけど、見つかったのは悟じゃなかったわ…ふう…まったく何処に行っちゃったんだろね、お兄ちゃんは」


 母親は俯き加減でそう言った。


「お母さん、大丈夫ですよ。こういうと無責任と思われてしまうかもしれませんが、私は悟君が絶対に生きていていつか戻ってくると信じています!姫宮さんからも悟君の話はよく聞きます。妹想いの良いお兄さんだったと…元気を出してください!」


 野木は力強く、どこか暖かい言葉遣いで母に向かってそう行った。

 母は顔を上げてると野木に向かってお礼を言った。


「ありがとうございます。私達家族も生きていると信じてます。そして戻って来ると信じています」


 母さん…


「母さん、私もお兄ちゃんは生きてるって信じてるからね。信じて待とうよ」


「そうね、そうだよね。うん、そうするわ」


 母さんはすこし笑ってくれた。すこし元気が出たみたいだな。

 早く作戦を実行してもっと元気になって貰わないと…


「母さん、話…戻っちゃうけど…天体観測の事を言い忘れててごめんなさい…」


 俺はそう言って母さんに頭を下げた。


「私が責任をもって姫宮さんをお預かりしますので…合宿に参加させてあげてはダメでしょうか?他の部員も姫宮さんの参加を望んでおります」


 母さんは野木の表情を見た後で俺の顔をじっと見た。 


「先生、励まして頂いたのに申し訳ありませんが、綾香は事故で記憶があやふやになった事もあります…正直あまり外泊なんかさせたくないのです…」


 俺(綾香)の事を心配をしてくれてるのか…でも今回は絶対に行かないといけないんだ。


「母さん、私ね、参加したいの!みんなと一緒に天体観測したいな…記憶がなくなってからずっと不安だったけど、今やっと学校にも慣れて…楽しくなってきた所なの…お願い…」


 母さんは俺の方を見ながらすこし考えこんだ。そして小さく何度か頷くと野木に向かって言った。


「わかりました…野木先生、綾香を宜しくお願いします…」


「はい、お任せ下さい!私がちゃんとついて姫宮さんを見てますから」


「ありがとうお母さん…」


 こうして俺の天体観測…じゃない…北海道行きが確定した…って!待て!そうだ!箒で北海道って軽く考えたけど…到着まで何分かかるんだよ!

 そうだ!あれだよ!野木のどこでも○アみたいなあの魔法でいいじゃないか!

 母さんの前じゃ言えないし…後で言おう…ずっと野木と一緒っていうのもなんとなく嫌だしな…


 俺は部屋で防寒準備を万端にしてから外に出た。

 外では母さんと野木が待っている。母さんは俺の側に寄ると笑顔で言った。


「綾ちゃん、風邪ひかないようにね」


「うん…」


 俺は母さんに手を振って別れた。

 野木と並んで歩く…俺が男と並んで歩いてる…相手は野木だが…

 こうして歩きならが野木を見上げると…やっぱり大きい…

 カップルで歩く時って女はこういうふうに男を見上げているのか?まあ野田先輩のような例外もあるけどな…顔の位置も結構上の方なんだな…へぇ…


「どうした?僕の顔になにかついてるかい?」


 しまった!野木の顔をじーと見ててしまった!


「な、何でもない!」


「そうか…それじゃそろそろ飛ぶぞ?」


 あれ?何だ?その気が抜けるような反応は?何時ものように変態オーラを出して僕の事が好きなんじゃないかい!とか言わないのか…


「ほらほら!今度は抱えて飛ぶ訳にもいかないから、僕が箒に跨がったら後ろに座って」


「あ、わかった…」


 俺が箒に跨ろうとしたら野木が止めた。


「あ!まってくれ、これ置いて…あと別に跨がなくていいから普通に座って。あと、お尻が痛くなったり疲れたらすぐに声を掛けてくれよ?」


 野木は箒の部分に魔法で出したクッションのようなものを置いた。

 何だ…すっごい野木が優しいぞ…おかしい…気持ち悪い…


「野木…変な事考えてないよな…」


「ん?何でだい?」


「いつもの野木らしくない…」


 野木は俺がそう言うと声を出して笑った。


「ははは、僕が単なる変態かと思うのかい?僕は優しくって頼りになって気配りも出来る変態だよ?」


 へえ…そうなんだ…っていうか何だよその優しくって頼りになって気配りの出来る変態って…


「ほら!そんな怪訝そうな顔をしないで、乗った乗った!早く行ってさっさと戻ってこよう」


「ちょ…わかったよ…」


 えっと…普通に座るってどうするんか?自転車の後ろとかに横向いて座るあれか?あれはいやだな…女っぽいしな…よし普通に跨ろう。俺は箒に跨ると野木の腰に手を回した…

 この座り方も結局は女ポジション全開だな…なんか無性に恥ずかしい…


「よし!行くぞ!ゴー!」


 野木のかけ声と同時に箒はすごい勢いで高度をあげてゆく。

 下に見える町がどんどんと小さくなる…すごい…俺って結構すごい体験してるのかも…



 ☆★☆★☆★☆★☆



 出発してから約一時間…最初はどんなに苦痛かと思ったが、野木の用意したクッションの座りごこちがかなりいい…それにバリアのお陰なのか風などの影響がまったくない…要するにバリアの中は無風なのだ…しかしここはどこだ?真っ暗で何もわからんぞ…

 あ!そうだ!どこでもド○の事を聞くの忘れてた!


「野木!」


「ん?何だ?」


「出発してから言うのもなんなんだが…何で箒で飛んで行く必要があるんだ?あのどこで○ドアみたいな魔法じゃダメだったのか?」


「ああ、あの魔法か…あの魔法は移動距離制限があるから北海道とか遠い場所だと無理なんだよね」


「う…そうなのか…」


 簡単に無理とか言われたな…まあそうだよな…あの魔法で北海道とか行けるのならいくら野木といえどもあの魔法で北海道に行けるって教えてくれるだろうし…


「しかし、綾香君の側にこんなに居られるなんて…初めてだね」


 そう言う野木の声はとてもやさしく感じた…そう、絵理沙の声の優しさに似ている…兄弟だしな…そうだよな…しかし!まだ確実に野木を信用した訳じゃないぞ…長時間一緒にいる分何があるかわからない…

 

「へ、変な事を考えるなよ?」


「あはは、僕は信用ないね」


 何を今更…信用されないような事をしていたのは野木じゃないか…



 ☆★☆★☆★☆★☆



 出発してから二時間たった…流石に俺も疲れてきたな…

 野木は大丈夫なのか?…って何故俺が野木の心配を…


「綾香君」


「え!?」


「よし…もうすこしで北海道だよ?」


 びっくりした…心を読まれてて、心配してくれてるんだ!とか言われるのかと思った…

 しかし何だよ!おい!もう北海道とか飛行機なみに早いじゃねーかよ!


「おい!早すぎないか?」


「僕の魔法力はすさまじいからね…ふふ…」


 何だこの自信満々の態度は…こいつマジですごい魔法使いなのか!?


 しかし、こんな早くついてどうするんだ?真夜中で真っ暗すぎて写真も取れないだろうし…

 あと、どうするんだ今晩の宿とか…まさか…何処かに二人で泊まり!?

 しまった!そこまで考えていなかった…いくら俺が元男だと言っても、現在は女だ!

 男女!それも先生と生徒が…うわー!だめだー!


「そうした?綾香君?顔が赤いが…」


 うわー野木!何でこっちを見てるんだよ!

 くそー俺の馬鹿!なんで想像だけで顔を赤らめて…また女っぽい反応をしてしまったぞ…

 俺は男だ…落ち着け…悟…

 最近ホントにやばいぞ…俺の中の何かが変わってしまったのか?

 それとも姿が女だと心も女っぽくなるものなのか?取りあえず何か言い返さないとな…


「き、気のせいだ!」


 …なんという言い返しだ…


「あははは」


 俺の反応が面白かったのか野木が笑い出した。笑うなよ野木…


「早く着きすぎてどうするんだろう?夜だし写真も撮れないし…今晩はどうする気だろう?まさか二人でどこかに泊まりなのかなとか考えていたんだろ?」


 こいつ…俺の心を読みやがった?


「言っておくけど、僕は君の心を読んでないよ?飛行魔法は結構な魔法力を使うからね…飛行しながら他の魔法効果を維持するのは結構辛いんだよね…そう…変身もね…」


 な…読んでないのに俺の考えはバレバレなのかよ!まあ、顔を赤らめてれば変な想像をしているのってばればれだしな…

 しかし、何だ?飛行魔法って結構大変なのか?アニメとかで魔法使いはそんな大変そうに空なんて飛んでないぞ?実際の飛行魔法は大変なのか…それで?飛行しながら他の魔法を維持するのは大変?変身も?

 絵理沙が北本先生になってた時のように野木も変身しているんだよな…本当の野木ってどんな姿なんだろう…


「大丈夫、変身魔法を解くような事はないから」


 ぐ…俺はそんなに考えを読みやすいか…魔法で心を読まなくても余裕なのかよ!


「で…早く着きすぎてどうするの…」


 素直に聞くからもういい…


「ん?言ったじゃないか?天体観測をするんだよ…今日は良い天気だ…星も綺麗だ…北海道は空気も澄んでいて綺麗だから星がよく見える…」


 天体観測!?天体観測は単なる外出する為の言い訳じゃないのか?本当に天体観測なんかする気なのか?


「え?天体観測って…言い訳なんじゃ?」


「半分はね…でもほら見てごらんよ…この星空…綺麗じゃないか…手を伸ばせば届きそうだよ…綾香君は星は嫌いかい?」


「別に…そんな訳じゃ…」


 野木は意外に乙女チックなんだな…俺はなんとなく空を見上げた…そこには…

 すごい…本当にすごい星空だ…埼玉にいたときなんてこんなに綺麗な星空を見た事なんてなかった…


「綺麗だろ?もう少しで富良野だよ…そこで僕と二人で天体観測をしようか」


 もうすぐ富良野って…いつの間に!?さっきはもうすぐ北海道だって言ってたのに!?

 そんな事を考えていると箒はゆっくりと下降を始めた…


「よし…下りるよ…」



 ☆★☆★☆★☆★☆



 俺は何故か北海道の富良野まで来て野木と二人で天体観測をしている…

 おかしい…北海道に来た理由は、俺が生きている証拠としての写真を撮り、それを手紙と一緒に両親宛に投函する為なのに…

 何故俺は野木と二人で本当に天体観測をしているのか…


「綾香君?どうしたんだい?ほら綺麗だろ…」


「え?あ…うん…綺麗だな…」


 二人で草原に並んで天体観測か…

 ……待てよ…男女が二人で天体観測!?もしかして…これはデートっていうやつなのか?

 いや、待て…おれは中身が男だ…野木も男だから…これはデートじゃないよな!

 いや!しかし、俺は今女だから…だからやっぱりデート!?初デートは茜ちゃんと二人でって決めていたのに!


「うわー!こんなの嫌だ!」


 俺は思わず声を出してしまった。野木は驚きもせず、逆に呆れた表情で俺を見ている。


「ふう…また変な事を考えてるのかい?いつも大変だね…綾香君は」


 くそー何だかそんなに落ち着いて言われるとムカツク!

 こんな事になったのも元はと言えばお前の妹の絵理沙が俺を間違って妹の綾香で生き返られたのから始まってるんだろ!?あれが無ければこんなに悩みの多い女にはならなかった…じゃない男だ、俺は男なんだよ!ふう…

 しかし…何でだろう?よく考えてみればなんで俺は絵理沙を恨んでないんだ?

 野木も本気で嫌いにならないんだろう?俺ってやっぱ優しいのかな…

 自分で自分もよく解らないな…まあ恨んでも仕方ないけどな。


「二つ言っておくよ?一つ目、これは天体観測であってデートではない。二つ目、君はとてもやさしいよ…僕は最初、恨まれても仕方ない事と思っていたからね…」


 え!?…心を読まないでもそこまでわかるのか!?


「すまない…君の考えが強いから、僕に中に勝手に流れ込む…もっと優しく考えてくれないか?」


 え…何だよそれ…流れ込むって…それに優しく考えるってどうするんだよ!


「おい、流れ込むって何だよ…心を読むのっていうのは魔法じゃないのか?」


 野木は溜息をついた…


「これは…本当は魔法なんかじゃないんだ。これは僕の素質というか、生まれ持ってこの能力を持ち合わせているんだ。」


 野木は再び溜息をつくと今度は星空を見上げた。


「今のように落ち着いた状況だと周囲の人々の考えが自然と僕の中に流れ込んでくる…僕はこの能力に対して制御出来るのはなるべく自分で心を読みにいかない…それだけなんだよね…でも、一つ助かっているのは他の魔法を使っていればこの能力は発動しない…それだけかな」


 そうだったのか…野木は無理に心を読みにいってる訳じゃないのか…

 しかし、こんな事を聞いたらこれから先怒鳴れなくなるじゃないか…


「すまん野木、今までそんな事とも知らずに何度も怒鳴った…」


「いや、いい…それが普通の反応だ。誰も心の中を覗かれたり知られたりして気持ちいいとか嬉しいって思う人間はいないだろ?」


「まあ…そうだな」


「絵理沙はこんな僕が嫌いなんだよね…僕は絵理沙の考えすらわかってしまうから」


 ………絵理沙…だからあんなに野木の事を嫌っているのか…


「ごめん、くだらない話ばかりしてしまって…ほら!流れ星だよ…人間は流れ星が消えるまでにお願いをすれば願いが叶うっていうんだろ?」


「あ…ああ…そういうのもあるかもな…」


「あ、また流れ星だよ」


 野木は流れ星をじっと見つめている…


「ん?どうしたんだい?君はお願いしないのかい?越谷茜ともっと仲良くなれるようにとか?」


 君はお願いってこいつ何かお願いでもしたのか?

 お願いか…茜ちゃんね…そりゃもと仲良く…って!野木!やっぱり知ってたのか!

 体育対抗祭の前に絵理沙に教えただろ!


「おい!なんで俺が茜ちゃんの事を…知ってるんだよ…」


「ああ、最初に出会った頃、君の中から僕に流れ込んできたんだ。これは不可抗力だよ?」


「野木は不可抗力かもしれないけど、俺が茜ちゃんの事を好きだって…絵理沙に教えただろ」


「どうだったかな…忘れてしまったよ…それよりほら!また流れ星だよ」


 くそ…誤魔化しやがった…絵理沙の教えたのは絶対に野木だ…

 まあしかし終わった事だ…いちいち怒っても仕方ないな…


「おい、野木…お前さっき何かお願いしたのかよ…」


「ああ…お願いしたよ?君の妹、姫宮綾香さんが早く戻ってきますように…そして君が早く悟君に戻れますようにってね」


 野木は笑顔で即答した。


「え…」


 本気で言ってるのかよ…こいつ…本当だとするといい奴すぎるだろ…


「ふう…ちょっと寒くなってきたな…ほら」


 野木はそういうと羽織っていたコートを脱いで俺の背中から掛けてくれた…

 何だこのシュチュエーションは…ドラマでよくあるぞ…こういうの…

 この後二人は良い雰囲気になって…うわ!


「お、おい!何だよ!別にこんな事をしなくっても俺は平気だ!それに俺は男だ!気にするな!」


 俺は慌ててコートを取ると野木に返そうとした。


「何を真っ赤な顔をしてるのかな?また変な事を考えていたのかい?僕は今魔法で体を温めているから大丈夫だよ?」


「べ、別に変な事なんか考えてない…」


 くそ…考えてたなんて言えるかよ…


「ほら、綾香君、十月初旬といっても北海道は寒いだろ?コートをちゃんと羽織って…僕は魔法を使う事で君の心を読まないようにしているんだから…あと綾香君に風邪をひかれても困からね」


「え!?………そうか…コート…ありがとう…」


 そうい言われると返すに返せないじゃないか…


「綾香君、ほら…ちゃんと天体観測してないじゃないか…折角なんだから星空を見てごらんよ」


 そう言って野木が星空を指差した。俺は言われるがままに星空を見上げた。

 本当に綺麗だな…手を伸ばせば届きそうだ…俺は届くはずもない星空に手を伸ばした。

 すると目の前に流れ星が…俺は流れ星に願いをかけた…もちろん綾香が無事に戻ってくるようにと…


 その後野木は俺に星座について話をしてくれた。

 星座について語る野木はまるで子供のようにはしゃぎ、そして何処とも無く子供な印象を受けた。



 ☆★☆★☆★☆★☆



「うーん…」


 俺はゆっくりと目を開いた…ここは?どこだっけ?

 だだっ広い草原のど真ん中に俺はいる…

 そして横には…


「やあ、綾香君おはよう…ちょうど夜明けだ…写真を撮るにはいい時間だね」


 野木!まさかずっと起きてたのか!?


「おい…野木…まさかお前寝てないのか?」


「ああ、寝てないよ?寝ると変身魔法が解けるからね…」


「そ、そうか…」


 こいつ…自分の変身が解けた姿をそんなにも俺に見せたくないのか?

 まて…疑う訳じゃないが…俺は何かされた形跡がないかを確認した。

 ふう…見たところ変な事もされていなさそうだ…


「よーし!早朝の牧場!良い感じじゃないか…早速写真を撮ろうか?手紙はもう昨日つくったしね…」


「待て!俺は今悟じゃないぞ?どうするんだ?」


 野木は立ち上がると俺の頭に手を乗せて目を閉じた…

 そして多分だけど呪文を唱えた…すると…なんだ?俺が大きくなってゆく!?


「よし…これで綾香君は見た目だけ悟君だ…」


「え?」


 野木は何処からともなく手鏡を出すと俺に見せた。


「うわ!俺だ!声まで戻ってるぞ!?」


「君の奥底にある悟君としてのデータを引き出して、悟君に変身させてみた」


「すげー!こんな魔法が使えるなら最初から言えばいいじゃないか!」


 俺は嬉しくなってその場から移動した。その瞬間に野木の手が俺の体から離れた。

 すると俺の身長が急に縮まったような…


「あー…僕の魔力で姿を変えてるから、僕から離れると元の綾香君の姿に戻ってしまうよ?」


「え…そうなのか…」


 ずっと悟の姿じゃいれないのかよ…まあそうだよな…ずっと悟の姿でいられるのなら、もっと先に教えてくれただろうしな…


「さあ、写真を撮るよ?ほいっと」


 その瞬間…野木が牛になった…おい…それも何故に乳牛なんだよ…


「農家と言えば乳牛だ!さあ!写真を撮るぞ!」


 牛の姿、それも女声で話すなよ…って雌牛だから女声なのか…

 しかし…何でも変身出来るんだな…関心する。


「僕に右手をかけて、笑顔で…東に見える木の方を見て」


「おい、野木、カメラはどうするんだ!?野木の言う方向には何もないぞ!」


「大丈夫だよ!」


「え?」


「さあ!格好つけてー!はい!チーズ!」


 俺は慌てて笑顔をつくるった…本当に写真が撮れているのか?

 と思っていると野木が元の姿?に戻った…

 そして野木は右手からいきなり写真を出した。まるで魔法のように…そうか魔法か…


「ほら!撮れた!ばっちりだね」


 野木の手元にある写真には、悟が乳牛の世話をしている写真が…っておいまて…

 俺はさっきそんな格好をしてないし、なんだよこれ?


「これは思念合成写真!妄想シリーズだ!ははは!」


「何だよそれ…」


「僕の周囲のフィールドに存在するデータを複写して、魔法力で多次元のフィールドに移し、そこで再度構成を組み直し、自分の好みで、そう、こちらでいう合成写真を作るんだ」


「よくわからないけど、すごい技術なんだな…じゃない魔法なんだな…」


「これで全部OKかな?じゃあ郵便局に投函してから戻ろうか…」


 しかし…今更だけど、こんな手紙を俺の親が信じるのかね…

 そこまで考えていなかった…仕方ない、手紙の到着と同時に俺がすっごい喜んで信用させるしかないか…そうだな…



 ☆★☆★☆★☆★☆



 俺はすべての用事を済ませると埼玉の自宅へと向かう…

 今度は昼間の飛行だ。行きのそうだったが、帰りもまったくもって快適だ…

 バリアの中だと日差しも暑く感じない。俺はここちよい揺れと、疲れもあってうとうとと眠ってしまった…


 …

 …

 途中でうっすらと覚ました…何か…俺の顔にあたる…髪?何だろう…

 俺はほぼ働いていないであろう思考のままうっすらと目を開けて野木を見た…

 …あれ…野木?じゃない?誰だ…そこには野木じゃない誰かが…茶色い長い髪…

 しかし顔を確認する前に俺は再び眠りに落ちた…


 …


「綾香君!ついたぞ?」


 俺は野木の声で目を覚ました!

 ってここは俺の部屋じゃないか!なんで俺の部屋に居るんだよ!おまけに野木までいるし!


「あれ?何で俺の部屋にいるんだ?何でだよ」


「え?戻ってきたのはいいんだが、君が寝ていたから仕方なく…」


「仕方なく?」


「窓をすり抜けて侵入した!そして君をベットに寝かせてあげたのだ!そっとやさしくね」


 野木がすごくいやらしい顔をしている…こいつ…


「触ったのか?おい!体に触ったのか!」


「そりゃ触らないとベットに寝かせられないじゃないか」


 く…ま、まあ…今回は許してやろう…俺の為にがんばってくれたんだ…


「僕はすばらしい発見をしたんだよ!綾香君!」


「発見!?な、何なんだよ」


 野木の眼鏡が一瞬光ったように見えた…そして野木は俺の胸を指差すとこう言った。


「君の胸が成長している!さっき確認の為に触ったから絶対に成長しているよ!安心してくれ!」


 俺は顔が急に熱くなった。そしてそれと同時に両手で胸を隠した。


「ご!ごら!何やってんだよ!今回の件ですごく良い奴だと思ったのにやっぱり変態だったのか!」


「何を言ってるんだい?僕は前からこんな人物だが?」


「そんな事を威張って言うな!」


「では綾香君!用事も終わったし僕は戻るからね!それでは!」


 野木は立ち上がると前のように窓に手を当てた…そして窓を開けて中に入っていった。

 俺はその時の野木の苦痛の表情を見逃さなかった…あいつ…今回がんばりすぎたんじゃないのか?

 すごく疲れていたのに、俺にそれを悟られないようにわざと最後にこんな話題を持ってきたのか?

 だが真相を聞こうにももう野木は部屋にはいなかった…


 しかし!目の前の床にあるこれはなんだ!目の前には箒があった…


「何だよ!箒が置きっぱなしじゃねーかよ!いらねーよ…」


 くそ…こんなもん忘れて行きやがって…俺は箒を持つと部屋の端に立てかけた。

 箒を立てかけた瞬間に何かを思いだした…


 そうだ…帰りの飛行中…俺は一瞬目を覚まして…野木が…別人になってたような…

 茶色の長い髪だった…あれが野木の本当の姿なのか?顔まで見れなかったけど…

 絵理沙と兄弟だからな…髪の色が同じなのは理解できるが…あいつロングなんだ…

 俺はロングの男って…でもあの顔立ちだと似合いそうだよな…まあいいや…

 あいつがどんな姿だろうが俺には関係ない…

 しかし疲れたな…まだ眠いぞ…よしもう一度寝よう…


 待て!よく考えたら母さんと父さんは俺が家にもう戻ってるって知ってるのか!?

 野木の野郎は窓から入ったって言ってたよな!?

 俺は慌てて階段を駆け下りた!すると両親の姿は無く、テーブルの上に手紙が…

 また…両親は警察か…大丈夫、もう少しで行かなくてよくなるからな。

 俺は手紙が無事に到着する事を祈りつつ部屋に戻った。


続く

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