人魚姫と魔女
「魔女様。私、人間の王子様に恋をしてしまいましたの。
あのお方と添い遂げたい。でも私が人魚である限りそれは叶わぬ夢。
お願いです。どうぞこの私を、魔法で人間にしてくださいまし。」
変な娘だねぇ。魔女は思った。
「因みに姫や? あんたマグロには欲情するかい?」
「? マグロは食材ですわ。」
「ラッコは?」
「かわいいとは思いますが、私、獣姦の趣味はございませんの。」
「ジュゴンは?」
「ギリいけるかどうかですわね。」
「マナティは?」
「無理です。」
やっぱり変な娘だねぇ。魔女は思った。
「あんな?
王子は哺乳類。対して姫は魚類寄りだと思うのよ、知らんけど。
......なんで欲情すんの?」
「? もちろん見目がよろしいからですわ。」
「いやいや。だからね、
『オラこのイワシと結婚すっぞ!』
っていう人間は居ないでしょ? って話。
......おっかしいなあ。こういうの、遺伝子的にブレーキかかるはずなんだけどなあ。」
「? イワシは食材ですわ。」
「そう! そうじゃないけどそう!
あんた、より近縁種である魚に対しては正常。なのにホモ・サピエンスにだけ異常、異常性癖。
...して、親御さんや。あんたら、妾に何をして欲しいんだい?」
「娘の頭をまともに戻していただきたく...、」
「ああ! そういうことなら了解だ。」
そして魔女は、魔法で人魚姫の頭をチョチョイのチョイ。
(戻す『元』なんて知らんよ。好きに弄らせてもらうよ。)
人魚姫は見た目正気を取り戻したとさ。
おしまい
「なんか今、すごく厄介な案件から解放されたような気がする!!」
「なに言ってるんですか、王子?」




