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7話 遂に教わる、血転術

秋司たちが血転術を学び始めてから一週間が経過した。

最初の三日間は、朝から浮符鄔の元へやってきて、血転術の修行を行っていた三人だったが、その後日から午前中は農業を手伝い、午後から浮符鄔の元へやってきて修行を行っている。

一日中修行を行っていた三人の体力を心配したり、気分転換をさせるために浮符鄔が三人にそうするように勧めたのだ。

この日も午後から浮符鄔の元へやって来た秋司たち三人。

三人とも、特に秋司と健治はワクワクした雰囲気を醸し出している。

そう、今日から遂に、血転術を学べるからだ。

今まで三人が学んできたのは血転術ではあるものの、基礎中の基礎であり、まだ術自体を扱えているわけではない。

ただ、炎や風を出しただけなのだ。

三日目以来、秋司は風転と氷転ひょうてん水転すいてんを発動することに成功した。

健治は炎転と岩転がんてん土転どてんを発動することができた。

まだ、二人とも全ての基本属性を発動できていないが、全ての基本属性を一週間そこらで発動できる業血司使いは滅多にいないのだ。

佑香は二日で全てを発動できるようになったが。

そして、今日、それぞれの得意な属性の、最も初歩的な血転術を浮符鄔から教わるのだ。


「・・・。なんか凄いキラキラしておるの・・・」


浮符鄔は秋司と健治の輝く表情を見て、そう呟く。


「まずは佑香からじゃな。佑香が得意な属性は木転もくてんと水転じゃが、水転からじゃ」


佑香ちゃんはあっという間に八種類の属性を発動できちゃっていたけど、木転と水転が得意なんだ?


浮符鄔は、佑香の出す属性の質や量を見て、この二つの属性が最も得意だと見抜いていた。


「水転で最も基本的な血転術は水放すいぽうじゃ。発動図式はひし形を二回じゃ。描き終わったら掌を、放つ場所へ向けて放つのじゃ。さあ、やってみよ」


佑香は、右手の人差し指で空中に水転の基本図式である四角、六角形と順に描き、発動図式にひし形を二回描いた。

その後、近くの木に右掌を向ける佑香。

佑香が、右手に力を少し入れて放つと、水鉄砲のように水が飛び続けている。

ただ、水鉄砲よりはるかに威力が高く、水は命中した木を貫いている。


「すごーーーい」

「すげーーー」

「げっ・・・」


その様子を見ていた秋司と健治は大声を発した。

しかし、浮符鄔は冷や汗をかきながら顔が固まっている。


(あのー・・・。佑香なら発動するとは思っておったが、威力が高すぎるんじゃ・・・。貫いても葉ぐらいだと・・・。まさか木を貫くなんて・・・。佑香には優しくしようかのう・・・)


「ごほん。流石、佑香じゃのう。素晴らしい威力じゃ」


なんとか冷静を装い、声を発する浮符鄔。


「じいさん、次は俺に教えてくれよ」


佑香の血転術を見て、さらに輝きが増した健治の表情。


「そうじゃのう。健治は炎転じゃな。炎転の最も基本的な術は炎球えんきゅうじゃ。発動図式は丸二つ。描き終わると掌の上に炎の球体が発生するから、それを放つんじゃ。じゃが、ここは山の中。じゃからわしに向かって放つんじゃ。ええな?」

「え? じいさんに放つのか? それ、危なくねっ」

「大丈夫じゃ。さあ、放ってみよ」

「・・・。おう、わかったぜ。その髭が燃えても、文句言うなよー」


健治は右人差し指で丸、三角と順に炎転の基本図式を描き、続いて発動図式の丸を二回描いた。


「よっしゃー。行くぜーーー・・・」

「・・・。なんじゃそれは・・・?」


勢いよく炎球を放とうとした健治だったが、右掌の上には小豆ほどの炎の球体がある。

それを見て、薄い目で健治の顔を見つめる浮符鄔。


「な、何言ってんだジジイ。大切なのは大きさじゃないぜ。行くぞー、ジジイー。食らえー」


健治はその小さな炎の球体を、浮符鄔に投げつけるが、それを右手で簡単に払い除ける浮符鄔。


「・・・。大きさだけでなく、威力もしょぼいのう」

「く、くっそー。なんでだーーー」


浮符鄔の言葉を聞いて、落胆する健治。


「よし、最後は秋司じゃ。秋司は風転でいこうかのう。風転の最も基本的な術は風出ふうしゅつじゃ。発動図式は扇形二つじゃ。描き終わると風が掌の上に発生するから、それを狙った場所に放つんじゃ。さあ、やってみよ」

「はいっ」


よしっ、やるぞー。

まずは風転の基本図式、五角形を描いてから扇形を描く。

そして、発動図式の扇形を二回描く。

よし、描き終わった。

おー・・・、右掌に風を感じる。

後はあの木を目掛けて・・・。


「とらーーー・・・」

「・・・。扇風機の中くらいの強さはありそうじゃのう」

「うぅ・・・」


秋司の放った風は葉を二、三枚吹き飛ばす程度だった。

それを見た浮符鄔は目を軽く閉じながら声を発した。


(しまったのう・・・。健治も秋司も、別にできていないわけではない。初めての血転術じゃ。いわゆる、できなくて当然というやつなのじゃが・・・。一人、とんでもないのがおるせいで、自分たちができていないと思ってしまっておる。佑香にはもっと早く教えるべきだったかのう・・・。さすれば、前から取り組んでいた佑香ができていても、二人が落ち込むことはなかったかのう・・・)


浮符鄔は一人反省会を開いていると。


「うおおおおお。もう一回だーー」

「僕も、できるまでやり続けるっ」


健治と秋司は教えてもらった血転図式を描き続けていた。


(・・・。無駄な心配じゃったのう。あやつら二人は、根性があったんじゃったな)


浮符鄔は二人の様子を見て、微笑みを浮かべた。


「ところでじゃが・・・。おいっ、健治ーー。山の中に炎を放つなって言ったじゃろうがーーー」


浮符鄔の雄叫びが山全体に響き渡る。


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