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6話 血転術への第一歩

わしの名は浮符鄔。

べいこま村付近の山で暮らす老人じゃ。

そんなわしの元へ、血転術を学びたいという三人の子供がやって来た。

その子供らの名前は秋司、健治、佑香。

三人がわしの元へ通い始めて三日目。

既に血転術の属性術、その基本属性全八種を発生させることができる子供がおる。


浮符鄔は視線を、右掌の上に花を咲かせている佑香に向ける。


彼女は凄い。

まだ、たった三日・・・。いいや、二日間じゃ。

二日間でここまで扱えるとは、まさに天才というものじゃな。

いいや、わしの教え方がええのか・・・。

いーや、それは違うかのう・・・。


浮符鄔は薄い目で、歯を食いしばりながら血転図式を描く秋司と、顔全体に力を入れ、大声を発しながら血転図式を描く健治を見つめた。


秋司と健治。

あやつらは三日目じゃが、まだ一つの属性も発生させることができていない。

確かに血転術を扱えるようになるには、時間も必要じゃ。

じゃが、ここまで扱えんとはのぅ・・・。


「お主ら、才能ないのうー」

「うぅ・・・。そんなこと言わないでくださいっ」

「うおおお。今に見てろよジジイ」


浮符鄔の言葉に反応した秋司と健治が順に答える。


人には得意不得意、向き不向きがある。

血転術の属性術にもそれが適用されておる。

得意な属性もあれば、苦手な属性もある。

じゃから、基本属性全八種の血転図式は教えたのじゃが、一つの属性も発生させることができないとは・・・。

まっ、二人ともやる気と根性は十分じゃが。

秋司は一見すると、根性とかそういうものを持ち合わせていないように感じるが、意外と熱い心を持っておるようじゃ。

健治はただうるさいだけではなく、気合いと根性がしっかりと備わっておる。

じゃがのう・・・。


「やっぱりお主ら、才能ないのうー」

「さっき聞きましたよっ」

「そればっかり、うるせんだよジジイーー」


相変わらず血転図式を描いても、何も起こせていない二人を見て声を発する浮符鄔。

そんな浮符鄔の言葉を聞いて、秋司と健治は図形を描きながら答える。




時は流れ、午後。


どうしよう。

全然できないや。

浮符鄔さんが言っていた、属性を出すための図形二つを描いた後に描く図形は違う紙に描くイメージっていうのがよくわからないなー。


血転術の属性術。

その中の基本属性全八種は全て図形二つを順に描くことで発動準備が整う。

炎属性は丸を描いてから三角を描く。

その後に決められた図式を描くことで、炎属性の血転術を発動できる。

この血転図式の前半部分、つまり炎属性でいえば丸、三角と順に描く二つの図形を基本図式と呼び、後半部分の術を発動するために描く図式を発動図式と呼ぶ。

炎を出すだけなら、後半の発動図式はどんな図形でも一つ描けば発動する。

他の基本属性の基本図式は、氷属性が六角形を描いてから四角形、水属性が四角形を描いてから六角形、雷属性が五角形を描いてからひし形、風属性が五角形を描いてから扇形、岩属性が台形を描いてから四角形、土属性は四角形を描いてから台形、そして木属性がハート形を描いてから三つ葉模様となっている。

また、血転術の属性術には、属性ごとに名前が付けられており、桜日では炎なら炎転えんてんもしくは業炎ごうえんというように、後に転か前に業を付けて呼ばれる。

ただ、現在のほとんどの人間は後ろに転を付ける呼び方で呼んでいる。


秋司と健治、佑香の三人は、二日目に基本属性八種の基本図式を学び、一通り試してみたが、秋司と健治は一つの属性も発動できていない。

一方、佑香は基本属性八種全て発動することに成功している。


秋司は、浮符鄔の言っていた基本図式と発動図式は違う紙に描くイメージということを上手く実行できていなかった。


「ほれ。二人とも、実際紙に描いてみよ」


そう言い、浮符鄔は秋司と健治の前に二枚ずつ紙を置いて、ペンを渡した。


「えー。描いて何か変わんのかー?」

「ええから、描いてみぃー」


文句を言いながらも、浮符鄔の言うことを聞いて、紙に図形を描く健治。

秋司も描き始める。

一枚目の紙には丸と三角、二枚目には丸を描いた秋司。

炎転を発動する図式だ。

一方、健治は一枚目に五角形とひし形、二枚目に三角を描いた。

雷転らいてんを発動する図式だ。


「よかろう。さあ、今描いた感覚で空中にも描いてみよ」

「はい」

「おう」


浮符鄔の掛け声を聞いて秋司と健治は順に返事をした。


今描いたように・・・。


秋司はゆっくりと実際に描いた感覚を思い出しながら、炎転の図式を描く。

しかし、描き終わっても炎は発生しなかった。

健治も、秋司と同じように、紙に描いた感覚を意識しながら雷転の図式を描いたが、何も起こらなかった。


「くっそーー。なんでだーー」

「うぅ・・・。なんでできないんだろう・・・」

「お主ら、次はその感覚を意識したまま、違う属性の図式を描いてみよ」


落胆の絶叫を上げる健治と、小声で悲しむ秋司を見て、浮符鄔は真剣な眼差しで促す。


違う属性かー。

風属性にしてみよう。


秋司は五角形、扇形と基本図式を描き、最後に発動図式として丸を描いた。

風転ふうてんを発動する図式だ。

一方、健治は丸、三角と基本図式を描き、発動図式として三角を描いた。

炎転を発動する図式だ。


「うわーーー」

「うおおおおお・・・」


秋司の右掌には掌いっぱいの竜巻が、健治の右掌の上には掌いっぱいの炎が発生した。

秋司と健治は同時に大声を上げた。


「ふむ。できたではないか。どうやら、秋司は風転が、健治は炎転が得意なようじゃのう」


浮符鄔の言葉を聞いて、笑顔で顔を合わせる秋司と健治。


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