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50話 お宝発見? 剣から逃げろ?

フィーべ東部のエリア三。

その草原に秋司、リスタ、柊真、カズセの姿がある。

四人は草原を歩き、途中で遅めのお昼を食べ、再び草原を歩き始めた。

草原を歩いているとやがて森が見えてきた。

四人は森に入る前に少し休憩し、その後、森の中へ足を踏み入れた。


・・・。

キノコがある・・・。

夕食に食べようかな。


秋司は森に入ってすぐキノコを見つけ、自分のマイスペースに入れた。

その後も次々にキノコを採取する。

浮符鄔の元で過ごしていたこともあり、キノコを見つけるのが得意になっている秋司。


「・・・。あいつー、何してんだ?」


カズセはそんな秋司に薄い視線を送る。


「おーい、秋司ー。どこに行くんだー?」


キノコを採取することに夢中ではぐれそうになる秋司に、呼びかけるように声をかける柊真。


「はわーぁ。ねみぃー・・・」


リスタは大きなあくびをして、目元に涙を浮かべながらゆっくりと歩いている。


「ほーら、迷子になんねーよーに、ひよこみてーによちよちと歩いてついて来いよー。ドロドロ迷子ー」

「はわーぁ・・・」


カズセの挑発的な声に反応することなく、再び大きなあくびを漏らすリスタ。


「ああー、眠くてしょうがねぇー。んん・・・。そうだ、お宝あんだろっ」


今にも寝そうなリスタだったが、昨日話したラインの言葉を思い出し、身体を伸ばしながら目を開いた。

リスタはマイスペースから、入学会の日に実験室で先輩からもらった黒い手袋を取り出した。


(この手袋は業血司を送ると金属を引きつける。あの先輩が言うには、この手袋から発生する磁力は金も引きつけられるらしいしね。お宝といえば金だろ。まあ、ダイヤとか不思議な物とかも宝の筆頭だけど・・・)


リスタは手袋を着け、業血司を送り込み磁力を発生させる。

そして地面や木に掌を向ける。


「・・・。何も反応しないね」


リスタの様子を見ていたカズセは固まった表情を浮かべながら小声を漏らした。


「アホか。そんなすぐに見つかるわけねーだろ。テメェーは忍耐力がまるでないね。水に濡れた紙の様に、すぐにボロッボロに崩れる」

「ああ? 俺はオメェーがガキみてぇに目を輝かせながら宝探しをしている姿を見ていると、余計に疲れるんだよ」

「ああっ、マイスペース狭いもんなっ」

「それはオメェーもだろっ」


そしていつも通り二人の言い争いが始まる。


「ねーねー、見てー。見たことないキノコ、たくさん採ったーー」

「うるせー、おせっかいキノコ探知機」

「うっせー、ワクワク無尽蔵」


満面の笑みを浮かべながら近づいてくる秋司を見て、リスタとカズセが順に声を出す。


「リスタくん、何してんの?」

「お宝を探してるんだよっ。ほら、次はどこに行くんだ?」

「うん、こっちに行こう」


秋司は森を歩き進んだ。

リスタは掌を地面に向けながら秋司に続いて歩く。


うーん、森の中には猿とか蛇とか、あと鹿もいるなー。

さっき見たあんなに大きくて迫力のある鹿は見当たらないけど・・・。

それにいろんな植物もある。

キノコもたくさんあるし。


相変わらずワクワクした表情を浮かべ、辺りを見渡しながら歩いている秋司。


「んっ? なんか釣れたぞー」


秋司がリスタの方を見ると、リスタの右手が少し震えていた。


「すごーい。本当にお宝を発見できたのー? どんなお宝なんだろうー」


秋司は目を輝かせながら両拳を握りしめ、胸の位置まで上げる。


「おおっ、なんだー。宝石かー? それとも珍しい何かかー? スッゲー美味い食いもんとかかなー?」


柊真もリスタの横に並び、リスタの右手に釘付けになっている。


「おい、早く釣り上げろよっ」


カズセも興味津々にリスタの右手を見つめる。


「うぉりゃぁぁーー」


リスタが右腕を思いっきり振り上げると、ある木の根元から古びた剣が姿を現し、リスタの右手に向かって飛んでくる。


「剣・・・。やべぇーー」

「り、リスタくん。逃げよーー」


リスタは冷や汗をかき、目を大きく開き、口も少し開く。

リスタの隣にいた秋司はリスタの左手首を右手で掴んで、剣と反対の方向に走り出した。


「おぉ・・・ちょちょちょっとーー」

「うわぁぁぁーー」


カズセと柊真は驚きながらも、なんとか飛んでくる剣を避けた。

その剣はリスタの右手を追いかける。


「おいおいおいおい、やべーぞ。どうすんだこれぇーー」


リスタは追いかけてくる剣を見ながら全力疾走で、秋司と並んで森の中を逃げ回る。

そんな二人の様子を、目を薄めて見つめる柊真とカズセ。


「くー、こうなったらー。血転術氷転氷乱」


秋司は四つの氷の塊を剣に飛ばすが剣は氷を砕き、二人に近づいていく。


「おいおい、なんであんなにボロい剣なのに氷を簡単に貫くんだよー・・・。おっ。そうだ」


リスタは右手に業血司を送ることを止めた。

すると剣はその場にすとんと落ちた。


「ははっ。業血司を送ると磁力が発生するなら止めればいいってことだな」


リスタは微笑みを浮かべ、地面に落ちた剣を見つめる。


「そっかー。凄いリスタくん」

「・・・。いーや凄くねーだろー。もっと早く気づけよー」


リスタを素直に褒める秋司にツッコミを入れるカズセ。


「ったくうるせー賢ぶりメガネだなー。ビビって動けなかったカチカチメガネがよー。どうやら凍っちまったみてぇだな。どうだ? 氷が溶けて動けるようになった気分は? 俺が溶かしてやったんだけどな」

「なんだとー。アホヅラにじませながら走り回っていた奴が何言ってんだー?」


いつも通り言い争いを始めるリスタとカズセ。

二人の言い争いが収まると、リスタは地面に落ちた剣を拾い、見つめた。


「やっぱりボロボロだな・・・。まあ、貰っておくか。マイスペースには入らないけど・・・」


リスタは左手で鞘のない剣を持ち、歩き始めた。


「次は・・・、どっち?」

「うーん、こっちに行こう」


リスタの問いに答えた秋司。

四人は再び森の中を歩き始めた。


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