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48話 課外学習の準備

灯詠学園周辺部にあるショッピングモール。

秋司はそこで様々な物を買っている。

テント、寝袋、非常食、水など、課外学習に向けて。

そして、それらをマイスペースに入れる。

そんな秋司を半目で睨むリスタ。


「いいよなぁー。マイスペースが広い奴は」


後半の言葉は声量が大きくなるリスタ。


「あははは・・・。ま、まあ・・・」


秋司は右手で後頭部を押さえながら苦笑いを浮かべる。

秋司のマイスペースはベットの体積くらい広い。

対してリスタのマイスペースは分厚く大きい辞書と水筒が入るくらいの広さ。

そして、リスタと同じように秋司を見つめる生徒がもう一人。


「・・・」


声を発することなく秋司を見つめるカズセ。

カズセは普段メガネをかけているが今はメガネを外している。

カズセのマイスペースはリスタよりもさらに狭く、普通の辞書が入るか入らないくらいの広さ。


うぅ・・・。

視線が痛い・・・。


「まあまあ、そんないじけるなよ。なっ」


そんな二人の間に、二人の肩に腕を回しながら入る柊真。


「ふんっ。スペースが広い奴には分かんねーよ」


リスタはそっぽを向いてさらにいじける。

柊真のマイスペースは秋司より少し狭いくらいの広さ。


「そんなにいじけんなよっ。ほら、あっちにいいリュックがあるよ」

「うるせーーっ」


柊真は少しニヤつきながら二人の視線を誘導する。

そんな柊真に対して、大声でツッコミを入れる様に声を出すリスタとカズセ。

リスタと柊真、カズセも秋司と同じ東部のエリア三に向かう。

四人は買い物を終えると第四寮に向かった。

リスタとカズセは寮を決める時に遅刻をしたため、後からくじを引いた。

その結果二人とも第四寮に入寮することになった。

リスタは三一四号室、カズセは三一五号室。




翌日、課外授業前日。

この日は灯詠学園周辺部東を探検している秋司とリスタ、柊真、カズセの四人。


「ここって、なんだろう?」


秋司たちが歩いていると、とある獣舎に着いた。

中に入ると。


「えぇっ・・・」

「なんだぁ?」

「マジかよ・・・」


秋司、柊真、カズセは驚きながら声を漏らす。

秋司とカズセは表情が固まっている。

柊真は不思議そうに、そこにいる生物を見つめている。


「鳥か?」


リスタはぼーっとした様子でその生物を見つめながら声を漏らす。


「い、いや・・・。と、鳥にしては大きいし、可愛くないね・・・。かっこいいけど・・・」


その生物は鉛色をベースに、翼の下側はまるでマグマの様に明るいオレンジ色と鉛色の二色。

鋭い歯と鋭い爪、そして迫力満点。

柵で囲まれているその生物は四人を見つめている。


「よお。俺はリスタ。そっちは?」

「・・・」


リスタはその生物に近づいて気さくに話しかける。

その生物はそんなリスタをじっと見つめる。


「んー。握手でもするか?」


リスタは微笑みを浮かべながら問いかける。

しかし、その生物は特に反応しない。


「じゃあ、こっから出るか?」


リスタは再び問いかけるが、その生物は反応しない。


「・・・。ああ、鳥語でも学んでくればよかった」


リスタは首を横に振りながら振り返った。


「鳥語っていうより、竜語じゃない?」


カズセはその生物の全身を見渡しながら声を漏らした。


「君たち、ここで何を?」


そこへ教員のラインがやって来た。


「あ・・・、いや探検していたらここに着いて」


秋司は少し慌てた様子で答える。


「そうですか」


ラインは微笑みを浮かべながらその生物に近づいた。


「そいつはなんていう生物なんだ・・・、ですか?」

「この生物はワイバーンという生物ですよ」


柊真がぎこちない言葉で尋ねると、ラインは右手でワイバーンの頭を撫でながら答えた。


「わ、ワイバーーン・・・って、なんですか?」


秋司たちは一瞬驚いた様子で大きな声を上げるも、すぐに落ち着き、冷静に尋ねた。


「ワイバーンはフィーべの東部、西部、南部、北部に生息している生物で、異なる四種類のワイバーンが確認されています。この子は東部に生息する通常のワイバーンです」

「へぇー。他の三種はどんなワイバーンなんですか?」


ラインの話を聞いて、興味津々にワクワクした様子で尋ねる秋司。


「まず、北部にはアイスワイバーンが生息しています」

「アイスワイバーン? 美味そうな名前だね」

「そうだね。お前にピッタリじゃん。いつもアイスが溶けたみたいにダラダラドロドロしてんだから。ドロドロ迷子」


アイスという言葉に反応したリスタ。

そんなリスタに挑発する様に話しかけるカズセ。


「次にサンダーワイバーン。西部に生息しているワイバーンです」

「おおっ。じゃあ、テメェーと相性良さそうじゃん。そのくだらない脳みそに雷が直撃すれば少しはマシになんだろっ。賢ぶりメガネ」


今度はリスタが悪い笑みを浮かべながらカズセを挑発する。


「最後にロックワイバーン。南部に生息しています」

「ロックー? 凄い派手そうだなっ」

「そうだね。騒がしくて分かりやすい柊真にピッタリじゃん」

「そうかぁー? ありがとう」


柊真の声に反応して、柊真の右肩に左手を乗せて煽るカズセ。

しかし、柊真は褒められたと思い、笑顔でカズセの肩に腕を回す。


(・・・。あっ、こいつダメだぁ・・・)


カズセは目を薄くして柊真を見つめる。


「君たち、一年生ですね。明日から課外学習ですか?」

「はい、凄い楽しみです」


ラインの問いに、元気よく答える秋司。


「ふふっ。そうですね。フィーべには様々な動物、様々な植物、様々な天候、様々な景色。お宝や不思議な場所だってたくさんあるでしょう」

「お、お宝ぁーー?」


ラインのお宝という言葉に目を輝かせながら強く反応するリスタ。


あはははは・・・。

リスタくん、眠そうだったのに、急に元気になってる・・・。


「ですが、その楽しみと同じくらい危険も多い。危険な生物、危険な場所、危険な現象。そして人・・・」

「人ですか?」


リスタに苦笑いを向けていた秋司だったが、ラインの言葉を聞いて首をかしげる。


「そうです。フィーべで暮らす人間は多くはないです。ですがフィーべを訪れる人間はたくさんいます。探検家、研究者、旅人、密猟者、犯罪者、様々な人間が多く訪れます。ここ、灯詠学園は学校ですが、業血司使いの血転学校。常に危険がつきまといます。課外学習、気をつけてくださいね」


ラインは真剣な表情で四人に助言する。


危険・・・。

うん、業血司使いとして歩むと決めた時から覚悟はできている。


外に出た秋司は力強い眼差しを空に向ける。


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