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40話 実力試験7 秋司&リスタVS黄色ロボット 放て、氷砕掌

フィーべにある第四試験会場。

試験終了まで残り十分をきった頃。


「ケンバス、時間だ。出口に向かうぞ」

「ちっ。牧本の野郎ーー」


秋司を探していたバンズとケンバスは北側の壁に向かって走り出した。



「はあはあはあ。あった、出口だ・・・」


南側の出口付近には、透たち十三チームの姿がある。



「はい、確認しました。試験、お疲れ様でした」


北東の出口には、試験官に箱を手渡したリーズたち十四チームの姿があった。



そして試験終了まで残り八分。

西側の出口が見える位置で黄色ロボットと戦っている秋司とリスタの姿がある。


「おりゃー」


リスタは黄色ロボットと近接戦を繰り広げる。


「くっ・・・」


黄色ロボットの右ストレートがリスタの右頬をかすめる。


「血転術氷転、氷乱」


秋司は氷の塊を四つ黄色いロボットに飛ばすが、二発は避けられ、二発はガードされる。

秋司はリスタと黄色ロボットに少しでも距離ができると、氷乱や風出を放つが、どれも決定打にはならない。

どころか、避けられるか完璧にガードされている。


く・・・。

まずい、このままだと業血司が尽きる・・・。


試験の所々で自然回復はしていたものの、ここまでかなり血転術を使っている秋司。

試験終盤ということもあり、もう秋司には何回も血転術を放てるほどの業血司が残っていない。


業血司もあまり残っていなければ、時間もない・・・。

リスタくんだって限界が近いはずだ。


「ぐはっ」

「はっ、リスタくん。うわぁー」


黄色ロボットの右ストレートを、腕を交差してガードしたリスタだったが、その衝撃で吹き飛ばされた。

秋司はリスタを受け止めると同時に、衝撃を押し殺せず、リスタと一緒に瓦礫に突っ込んだ。


「はあはあ、サンキュー・・・」

「はあはあ、ううん。大丈夫?」


瓦礫を避けながら立ち上がるリスタと秋司。


「秋司。あいつに何度も攻撃を当てるのは無理だ・・・」

「うん。そうみたい」

「それなら、一発で決めるしかない。だが、俺にはあいつを一発で倒せる攻撃力を出せない・・・。秋司は出せる? あいつを一撃でぶっ飛ばせる攻撃を?」

「ん・・・。分からないけど、まだ一番の必殺技を出してはいないかな・・・」

「ふっ。そっか。それなら勝てるかもな。秋司、それをあいつにぶち込んでくれ」


リスタの表情に光が灯る。


「うん・・・。でも、あの術を発動するにはまだ時間がかかるんだ・・・」

「はっ、それなら任せとけ。いつものやつだよ。俺があいつを引き付ける。秋司はそれをあいつにぶち込むことだけを考えろ。頼んだぞっ」

「うんっ。分かった。リスタくん、お願いっ」


二人は真っ直ぐな視線と闘志に満ちた笑顔を浮かべながら顔を見合わせた。


「いくぞー」


リスタは大声を上げると共に、黄色ロボットに向かって走り出す。

黄色ロボットはリスタに打撃を繰り出すが、それを全てかわすリスタ。


六角形、四角(氷転の基本図式)、六角形、四角、六角形、星(発動図式)。

ふぅー。

右手に残っている業血司を集めるんだ。


秋司は目を閉じ、ゆっくり一回深呼吸をし、視線をリスタと黄色ロボットに向ける。


リスタくん、すごい・・・。

さっきまでとは動きが違う。

あいつの攻撃を全て見切って、避けている。

青色ロボット四体相手に翻弄していた時の動きだ。

リスタくんが時間を稼いでくれている。

早く・・・、まだか・・・。


秋司の顔に力が入る。


ダメだ、焦るな・・・。

焦ったらこの術は発動できない。

まだ、慣れていないし、完璧に放つことはできない。

でも、全力をぶつけるんだ。

全てを出し切れ。




回想

数ヶ月前。

浮符鄔の丸太小屋で血転術の修行をしている秋司と健治、佑香の三人。


「さてさて。秋司と健治よ。お主らにはこれから必殺技を身につけてもらおうかのう」

「ひ、必殺技ーー?」


浮符鄔の言葉を聞いて、目を輝かせる秋司と健治。


「どんな術だよ? なあ、早く教えてくれよっ。じいさん」


健治は食い気味に浮符鄔の両肩を両手で掴む。


「んっ? 何を言っておるんじゃ? お主ら自身で習得するんじゃよ?」

「えっ・・・?」


浮符鄔の言葉を聞いて表情が固まる秋司と健治。


「ほれ、ここに術書を用意した。この中から習得したい必殺技を探すんじゃ。ちなみにじゃが、発動図式四つの術を習得すること。まあ、秋司は風転か氷転、健治は炎転か土転、岩転のどれかがええじゃろうな」

「発動図式四つー。すげー・・・。けど、なんでじいさんが教えてくれねーんだよ。じいさんなら発動図式四つの術、余裕で使えんだろ? まさか・・・。もう修行つけてくれねーのか? 昨日食っちまったキノコなら返すから、機嫌直してくれよー」

「アホか、違うわー」


健治の言葉を聞いて浮符鄔は声を大にしてツッコミを入れた。


「ごほんっ。ええか。発動図式が四つだろうが二つだろうが、わしにも扱えん術はたくさんあるんじゃ。わしが得意な風転においても、扱えない術がいくつもある。その属性が得意でも、発動する術の種類によって得意不得意は分かれるんじゃよ。じゃから、これからはお主ら自身で術を身につけるんじゃ」

「・・・。はいっ」


浮符鄔の言葉を聞いて、秋司と健治は真剣な表情で大きく返事をした。

それから秋司と健治は術書を読み、習得する必殺技を探した。


僕は風転と氷転が得意。

でも、どの術が得意かは分からないなぁ・・・。

一旦全部やってみようかな・・・。

いいや、そんなことやっていたらいつまで経っても術を習得できないよね。

いくつかに絞って重点的に修行しないと。

まずは習得したいと思った術を特訓してみよう。

でも、必殺技って言っていたし、攻撃系の術じゃないとダメだよね。

それに、僕、近接戦闘が苦手だし、近接系の術の方がいいかな?

浮符鄔さんに修行してもらって、近接戦闘の防御テクニックは少し身についたけど、攻撃がなー・・・。

うんっ、近接系の術にしよう。

うーん、風転のこの術と、氷転のこの術。

この二つの術を特訓しよう。


秋司は術書の中から二つの術を選んだ。

その後は二つの術の修行を中心に行った秋司。

とはいえ、勉学や他の血転術の修行も行っていたため、術の形を発動するだけでもかなり時間がかかった。

そして二週間後。


はあはあ。

氷転の方はなんとか形にはなった・・・。

風転の方は全然発動できる気がしない。

これからは氷転の方を重点的にやろう。


氷転の方はなんとか形にすることができた秋司。

秋司は選んだ風転の術は苦手と考え、氷転の術を習得することにした。

そして灯詠学園入学試験三日前、その術はついに実戦でも使えるレベルまでになった。


回想終了




よし、もう準備は終わった。

いくぞーー。


秋司は右掌にスカイブルー色の冷気を纏う。


「いくよ、リスタくん」


秋司は大声でリスタに声をかけ、黄色ロボットに接近する。


「おらっ」


リスタはジャンプして黄色ロボットの攻撃を避け、右足で顔を蹴る。


(大したダメージにはならねぇだろうが、少しの隙は作れる)


リスタは地面に着地し、身体は黄色ロボットの方を向きながら後方に向かってジャンプし、距離を取る。


「秋司ー、あとは任せたぞーー」

「うんっ、血転術氷転・・・」


秋司は黄色ロボットがリスタの蹴りによって少しよろめいた隙に打撃が届く距離まで接近していた。


これが今の僕の必殺技。


「うおおおおお、氷砕掌ひょうさいしょう


秋司は手を開いたままパンチを出す時と同じように右腕を動かし、右掌を黄色ロボットの腹部に当てる。

すると、黄色ロボットの腹部がすぐに氷結し、そしてすぐにその氷が粉々に砕ける。


「ギガガガガ・・・」


この攻撃をまともに食らった黄色ロボットはその場に倒れ込んだ。


はあはあはあ。

できた・・・。

倒せた・・・。

やったー・・・。

この術は相手を凍らせ、そしてすぐその氷を砕く術。

僕はこの術を食らったことはないけど、どうやら氷が砕ける痛みらしい。

よく分からないし、実際に当たったところが砕けるわけじゃないけど。


「やったなー、秋司ー」

「はあはあ。うん。ありがとう、リスタくん」


二人はその場に座り、疲れ切った、それでいて笑顔を浮かべ、顔を見合わせた。

しかし、そんな二人の前に新たなロボットが姿を現す。


「はあはあ・・・。もぉー」

「はあ。おいおい冗談きついぜぇー。ったくよっ。なんだコイツは?」

「この赤いロボットは多分今の黄色いロボットよりも強いと思う・・・」

「へっ。それは・・・。まずいですね・・・」


秋司の言葉を聞いて、目を細め、苦笑いを浮かべるリスタ。

ついでに絶望的すぎてなぜか敬語になる。

二人の前に現れたのは秋司が一回遭遇した、この試験で最も強い赤色ロボットだった。


「試験終了まで残り三分です」


試験会場内のスピーカーからそんな声が響く。


「秋司、出口に向かえよ」


リスタはゆっくりと立ち上がる。


「えっ。リスタくんは? リスタくんこそ向かいなよ」


秋司もゆっくり立ち上がる。


「俺のチームは箱を手に入れているか、分かんねーだろっ。でも、秋司のチームは箱を手に入れている。それなら秋司が出口に向かえ。まだ少しは時間を稼げるからよっ」

「・・・。実は僕ね、コイツに一発ぶん殴られているんだっ。だから殴り返さないと気が済まないっ」

「ふっ。はははっ。じゃっ、ぶん殴るかっ?」

「うんっ」


リスタと秋司は満面の笑みを浮かべながら顔を見合わせた。

そして、赤色ロボットに視線を向ける。

二人は真っ直ぐな視線で、少し狂ったような、それでいて闘志がみなぎっている笑顔を浮かべる。


試験終了まで残り二分と数秒。


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