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36話 実力試験3 僕のわがまま

灯詠学園入学試験二日目。

フィーべにある第四試験会場で実力試験を行なっている秋司たち受験生。


「おい、あったか?」

「いいや、ない」


「おいなんだあのロボット。他のやつより強いぞ」


「くっそ、ロボットが多いな」


試験会場内からは様々な声が聞こえてくる。


「おいおい、本当にあんのか? 箱は・・・」


秋司と同じチームのトレッチは苦笑いを浮かべながら箱を探す。


うーん。

業血司を送ると光るか・・・。

あちこちに業血司をばら撒けばいいのかな・・・。

ダメだ、そんなことしたら、業血司が簡単に尽きる。

それにこんなに広い試験会場じゃあ、できない。

うーん、結界術・・・。

結界を絨毯みたいに張ることができれば、この辺り一帯を一気に探索できるかな。

でも、障害物が多すぎて、結界を張ることができても、完璧には探せないか。


「おい、この辺りにはない。次はあっちを探すぞ」


秋司が考えを巡らせながら箱を探していると、ボカへが命令口調でチームメイト全員に声をかけた。

場所を移して箱を探す秋司たち。


「きゃあーー」

「に、逃げろー」


秋司たちが箱を探していると、近くから悲鳴が聞こえてくる。


なんだろう?


秋司とトレッチは声のする方に近づく。

すると。


あれはロボット。

でも、色が赤色。

このロボットが持っているのかな?


秋司とトレッチはそれぞれ瓦礫に身を潜め、赤色ロボットを見つめる。

すると、赤色ロボットは一瞬で二人の間に移動した。


「・・・、えっ?」

「・・・、はっ?」


秋司とトレッチが声を漏らすと二人の腹部を同時に殴る赤色ロボット。


「ぐはっ」

「がはっ」


秋司とトレッチは後方の瓦礫に突っ込んだ。


く・・・。

なんだこの威力は・・・。

それに速すぎる。

さっきのロボットとはレベルが違いすぎる。


「ああ・・・。に、逃げよう」

「え? でも二人は戦っているよ」


その様子を見ていたボカへと茉白、ツーサ。

ボカへが震えながら逃げることを提案すると、茉白は助っ人に行くことを提案した。


「・・・。君、昨日炎球を避けられず、当たりそうになっていたよね? 君が行っても、足手まといになるだけだよ?」

「え・・・。う・・・」


ボカへの言葉を聞いて言葉を詰まらせる茉白。

ボカへとツーサは急いでその場から離れた。

茉白は二人を見つめながら、ゆっくりとその場を離れた。


「おいっ、秋司ー。こいつはやばい。逃げるぞ」

「うん、賛成。でも、こいつから逃げられる?」

「それは・・・。兎に角、逃げるしかねー」


トレッチと秋司はロボットを間に挟んで、大声でやり取りをする。


「血転術風転、風昇」


時間を稼ぐしかない。


秋司は風昇を赤色ロボットに放ち、赤色ロボットを上空に飛ばす。


「血転術木転、樹封拘根」


トレッチが血転術を発動すると、上空に飛ばされている赤色ロボットに地面から出てきた三本の根が巻きつく。


あれは佑香ちゃんと同じ術。

発動図式に図を三つ描く必要がある術。

僕の土固より断然拘束力が強いはず。

でも、念には念を。


「血転術、幻術発動」


秋司は業血司で作り出すタイプの幻術を使った。

空中で拘束されている赤色ロボットの周りに小鳥の幻影を五匹飛ばす。


今だ。


秋司とトレッチはそれぞれ後方に向かって走り出し、やがて合流した。


「はあはあ、秋司ー。どうする? もしあいつが箱を持っていたら」

「はあはあ。そうだとしたら・・・。やばいね・・・」


あれ?

そういえば、他のチームメイトの人たちはどこに行ったんだろう?

ここにいたはずだけど。

辺りを見渡してもいない・・・。


秋司とトレッチは少しの間、チームメイトを探した。


「あ、いた」


やがて三人のチームメイトを見つけた秋司。


「おい。勝手に動くな。はぐれて僕たちも焦って探していたんだぞ」


ボカへは秋司とトレッチに声をかける。

そんなやり取りを見ていた茉白は、申し訳なさそうに顔を下に向けつつ秋司とトレッチを見る。


「僕、作戦を考えたんだ。箱を探していても埒が明かない。だから、まず出口を探して、そこで箱を持っているチームを待ち伏せして襲う。そうすれば箱は手に入り、出口もすぐそこだ」

「え・・・。そうだけど・・・」


確かにそうだけど・・・。

うーん、なんかあんまり気が乗らないなぁ。

試験に合格するためにはそれがいいかもしれないけど。

うーん・・・。


秋司は悩みながらも、ボカへとツーサについていく。

出口を探し始める秋司たち五人はこの会場を囲っている壁に向かって走り出した。

少しすると、青色のロボット二体に襲われている六と書かれたゼッケンをつけている五人の受験生が秋司たちの視界に入ってきた。


「止まれ」


ボカへの合図で五人は足を止める。


「一旦ここで様子を見る。もしかしたらあの五人は箱を持っているかもしれない」


ボカへは近くの物陰に隠れた。

秋司たち四人も別々の物陰に身を潜める。


「ぐわっー」

「くはっ」


青色ロボットに襲われ、口から血を吐き出す六チームの二人。


「大丈夫か・・・? く・・・」


その二人を庇って六チームの一人の受験生が二人と青色ロボットの間に入る。


まずい。

他の二人ももう一体の青色ロボットにやられて、倒れている。

そのことにあの人は気がついていない。

このままだと挟み撃ちにあう・・・。


「よし、いいぞ。あいつがやらて、ロボットが離れたら全員の持ち物を確認するぞ」


ボカへが軽く笑みを浮かべながら満足げに話す。


「・・・。ごめん。それ、無理・・・」


秋司はそう言うと、六チームの受験生が気がついていない、もう一体の青色ロボットに向かって走り出し、あっという間に近づいた。


いくぞ。

秘技、浮符鄔さん流体術奥義。

ドルキルパーンチ。


秋司は青色ロボットの背後から普通の右ストレートを繰り出した。

青色ロボットはそれをまともに食らい、その勢いで前方に飛ぶ。


「血転術氷転、氷乱」


秋司はそのまま青色ロボットに向かって氷の塊を四発放つ。

四発全て、その青色ロボットに命中し、青色ロボットは戦闘不能になった。

一方、もう一体の青色ロボットは、六チームの受験生が撃退していた。


「はあはあ。ありがとう・・・」

「いえ。でも、僕回復術は使えないんで・・・」

「いやいや。もう十分だよ・・・」


六チームの立っている一人の生徒は秋司に感謝を伝えた。

秋司はチームメイトがいる場所へ戻る。


「おい、何やってんだよ。もう少しであいつらがやられて、箱を手に入れることができたかもしれないんだぞ」


ボカへは秋司の胸ぐらを掴み、大声を発した。


「僕はそんなやり方は嫌だ」

「何言ってんだよ。これは試験だぞ。合格するには他の奴を蹴落とすしかないんだよ。他の奴を見捨てちゃダメってルールはなかったろ。なんなら攻撃してもいいんだ。攻撃しないでロボットにやられるのを待ってやっているだけ親切だろ」

「・・・。攻撃する勇気がないだけじゃなくて?」

「な・・・」


秋司の言葉を聞いて言葉を詰まらせるボカへ。


「確かに僕の言っていることは合格するには邪魔になる、綺麗事でわがままかもしれないけど、僕は自分の心に従うよ。そんなやり方は嫌だ」

「く・・・。甘いんだよ・・・」


秋司の鋭い視線に冷や汗をかきながら声を発するボカへ。


「見つけたぞ・・・」


そんな十チームの元へどこかのチームがやってきた。


「見つけたぞ、牧本秋司ーー」

「ケンバス・オコナー・・・」

「はっは。俺の名前を覚えてくれたのか」


そこにやって来たのは、ケンバス・オコナーたち四チームの受験生五人だった。


「はっはっは。まあ、せっかく覚えてくれたのにあれだが・・・。数分後にはもう忘れちまっているかもなーー」

「・・・。何か用?」

「決まってんだろぉー。てめぇーをぶっ潰すんだよー。牧本ーー」


ケンバスは大声を発し、笑みを浮かべながら秋司を見つめる。

試験終了まで残り三十七分。


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