35話 実力試験2 青い人形?
灯詠学園入学試験二日目。
フィーべにある第四試験会場。
そこに秋司たち受験番号三百一番から四百番の受験生の姿がある。
秋司は数字で十と書かれたゼッケンを胸と背中につけ、同じチームの受験生と集まった。
「あ・・・。昨日はありがとうございました」
「ん? ああ、いえ・・・」
秋司にお礼を言ったのは、昨日ケンバスが放った炎球が当たりそうになった受験生、町野茉白。
受験番号は三百四十七番で秋司と同じチーム。
「よう。昨日は大分目立ってたな。えーっと、何君だっけ?」
「牧本秋司です。同じチームですねっ。お願いします」
続いて秋司に話しかけてきたのは受験番号三百四十八番の男性、トレッチ・マーティー。
ライトブラウンの短髪で秋司と同じくらいの身長、瞳の色は茶色。
「これで全員集まったな」
そう声を発したのは秋司と同じチームの男性、ボカヘ。
耳にかからないくらいの黒髪の受験生。
そしてもう一人、秋司と同じチームの女性、ツーサ。
黒髪を後ろで一本に結んでいる受験生。
五人は軽く会話しながら自分たちのスタート地点まで向かい、到着すると試験開始まで十分をきった。
ふぅー。
リラックスしながら、適度な緊張感を持って・・・。
大丈夫。
全力を尽くそう。
やりきれば、それでいい。
秋司は自分の頬に両手を同時に軽くパンっと二回当てて、気合を入れる。
「ま、そんな気張らずにいこーよ」
そんな秋司にトレッチは右腕を伸ばしたまま左腕で胸の前に引き寄せ、軽くストレッチしている体勢で声をかける。
「み、みなさん、頑張りましょう」
茉白は少し震えた声を発した。
「えー、それでは受験生のみなさん、健闘を祈ります。実力試験、始めー」
試験官の声がスピーカーから試験会場内に響く。
その声を聞いた受験生は一斉に小さな箱を探しに、走り出した。
少しして、建物が倒れたであろう場所で箱を探す秋司たち。
うーん、まずは箱を探すんだけど、他にも把握しておきたいことがある。
まず、出口は何箇所あって、どこにあるか。
恐らくここを囲っている壁にあるんだと思うけど。
それと、僕たちの邪魔をしてくるっていう人形も気になる。
にしても、この広い範囲で、掌サイズの箱を見つけ出すって、かなり大変なんじゃ・・・。
制限時間は一時間か。
手分けして探した方がいいのかな?
でも、襲ってくる人形の戦闘力が分からない以上、単独行動は危険かな。
「おっ・・・。あれは・・・?」
うん。
トレッチくん、どうしたんだろう。
秋司はトレッチの左横に移動する。
「え・・・。あれって、人形・・・?」
「だよな・・・。でも、あれって・・・」
「うん・・・。人形というより・・・」
秋司の視界に試験官の言っていた人形が入ってきた。
しかし、その姿は。
「ロボットじゃーーん」
秋司とトレッチは一緒に大声を上げ、すぐに自身の口を両手で押さえる。
あれって、ロボットっていうやつだよね?
人形じゃないじゃん。
でも、人形か・・・。
青色の人形ロボット。
それになんか、一って書いてある。
番号か。
うーん、どうしよう。
戦ってみて、戦闘力を知りたいっていうのもあるけど、箱を見つけるのが最優先だよね。
でも、大して戦闘力が高くなければ、手分けして探すのもありかな。
「秋司ー、戦ってみる?」
「え?」
「もしかしたら、あのロボットが箱を持っている可能性もあるだろ?」
「・・・。確かにっ」
トレッチくんの言う通り、ロボットが持っている可能性もあるのか。
そもそも、この広い試験会場で小さい箱を探すのは正直難しすぎる。
試験会場内が平地ならまだしも、建物がたくさん倒れていたり、ギリギリ倒れていない建物があったりと、街の廃墟みたいな場所で探すのは厳しい。
でも、ロボットが持っているなら話は別だ。
それなら、戦闘力も知っておきたいし、戦ってみよう。
「おい、そこの二人。早く探せ」
「ちょっと行ってくるわー」
瓦礫の上に座っているボカへは、ロボットを見つめる二人に声をかける。
トレッチはそんなボカへに軽く一言放って、ロボットに接近していく。
秋司もトレッチのあとを追い、ロボットに近づく。
そんな二人に気がついた青色ロボット。
え・・・?
あれって、血転図式を描いている?
このロボット、血転術を扱うのか。
血転術土転、土固。
秋司はロボットより早く血転図式を描き終え、ロボットの足を土で覆い固める。
「ナイス、秋司ー。血転術水転、水放(2LR)」
トレッチは水転の基本図式を描き、発動図式にひし形を三つ描く。
すると、水放のように、水鉄砲で水を放つ時のように水が飛ぶ。
ただし、威力は水放より強力になっている。
水放の上位互換血転術。
その術が青色ロボットに命中する。
水放の上位互換だー。
うん、かなり効いているみたい。
「血転術風転、風出」
秋司は青色ロボットに風出を放つ。
風出は青色ロボットに命中すると、青色ロボットはその場に倒れ込んだ。
そこまで戦闘力は高くないかな。
といっても、二対一だったけど。
「やったな、秋司ー」
「うん。あれ、でもこのロボット、箱を持っていないみたい」
「そっかー。じゃあ、探すようかー。大変だなー」
トレッチは空を見上げながら、目を細め、苦笑いを浮かべた。
確かに大変だよね。
でも、何か見つけ出す方法があるのかも。
例えば、このロボット自体は箱を持っていなくても、ヒントがあるとか・・・。
でも、このロボットのどこにもそんなものはないような。
だとしたら、箱に何かあるのかな。
そういえば、箱に業血司を送ると光るんだっけ。
これを利用するのかな?
秋司は考えを巡らせながらトレッチと共に三人がいる場所に向かって歩き始めた。
試験終了まであと五十二分。




