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34話 実力試験1 

灯詠学園入学試験一日目の夜。

灯詠学園敷地内にある寮。

その五階のとある部屋に秋司の姿がある。

血転術の基礎試験が終わった後、受験生たちは宿泊する部屋に案内された。

部屋は個室。

夕食は一階にある食堂でトンカツ定食を注文して食べた秋司。

一緒に夕食を食べた透はつけ麺を食べていた。

その後、自身の部屋にある小さなお風呂に入った秋司。

そして現在、入浴を終えた秋司はベットの上に仰向けで横たわっている。


今日の試験、筆記試験は自信あるけど、基礎試験はどうだろう。

あんまり自信ないなー。

ううん。

終わったことを考えていても仕方がない。

明日どうするかを考えよう。

でも、試験内容が分からないしな・・・。

今日の筆記試験も、基礎試験も最後に変わった内容だった。

筆記試験は試験官の名前とか、問題に幻術が仕掛けられていたり。

基礎試験は終わったと思ったら、急にガスが部屋に入ってきたり。

・・・。

もしかして、寝ている時に何かしてきたりしないよね・・・。

今日の試験は終了って言っていたよね、試験官の人。

と、兎に角明日の試験を頑張らなくちゃ。

実力試験。

どんな内容なんだろう。

でも、血転術を使うよね。

リーズくん、凄かったな・・・。

あの人(ケンバス)の操術も強力だった。

実力試験だし、もしかしたら受験生同士で戦うことになるかもしれないよね。

・・・。

考えても明日の試験内容は分からないし、どんな内容でも全力を尽くそう。


秋司は明かりを消して、目を閉じた。




灯詠学園入学試験二日目の朝。

この日秋司は午前九時までに、灯詠学園敷地内にある駐車場に向かう必要がある。

朝七時。

目を覚ました秋司は身支度を整え、透と共に食堂へ向かった。

食堂でおにぎり二つを食べる秋司と透。

透は緊張のせいか、全身が小刻みに震えている。

二人は朝食を食べ終えると、集合場所の駐車場に向かって歩き始めた。

寮を出て、駐車場に向かって歩く秋司と透。

そんな二人の会話は、今日の試験についてだった。


「ちゅ、駐車場に集合ってことは、ひ、轢かれるのかな・・・?」

「い、いやー、どうだろう。それはないんじゃないかな・・・」


全身を震わせながら声を発する透。

声も震えている。


さ、流石に轢かれないよね・・・。


透の言葉を聞いて、少し不安になる秋司。

二人の顔は真っ青になっている。


「おいおい・・・、勘弁してよ・・・。ここ、広すぎるんだってー。駐車場、どこだよーーっ」


そんな二人の近くに、駐車場とは反対方向に向かっている受験生の姿があった。


あの人、昨日の血転術基礎試験で同じ部屋にいた人だ。


「あのー。駐車場はこっちですよ」

「あー? そうなの? サンキュっ」

「もしよかったら、一緒に行きませんか?」

「マジでー。助かるよっ」


秋司が声をかけると、その受験生、リスタは軽く笑みを浮かべた。

耳の半分が隠れ、眉毛に前髪がかかるくらいの髪の毛の長さで茶髪。

瞳の色は水色。

少し細身で、秋司より少し身長が高い。

秋司は透とリスタと共に、駐車場に向かって再び歩き始めた。


「へぇー。二人は桜日出身なんだぁー。桜日って飯、うまいんでしょー? 特にお寿司だっけか?」

「うん、ご飯美味しいよ。お寿司も美味しいらしいね。僕はあんまりお寿司、食べたことないけど。リスタ君はグリューツ出身なんだよね? グリューツは何が有名なの?」

「ソーセージとか、ビールとかかなぁー。あと、車も結構凄いみたいだよ。よく知らねーけど」


へぇー、ソーセージが有名なんだぁ。

食べてみたいなー。

ビールは飲めないし、車も運転できないからよく分からないけど。

グリューツかぁー。

行ってみたいなー。


さっきまで真っ青な顔をしていた秋司だったが、リスタと出会い、話しているうちに明るい表情になっていた。

三人は話しながら歩き続け、気がつくと駐車場に到着していた。


ん?

バスに乗るんだぁ。

えーっと、受験番号で乗るバスが決まっていて、僕は十四番のバスに乗るのか。

小巻君は十五番、リスタ君は十六番だからここでお別れだなぁ。


秋司は透とリスタと別れ、十四番バスの列に並んだ。

十分ほど経つと、受験生はバスに乗車し始めた。

さらに十分ほど経つと、どこかに向かって空を飛び始めるバス。


「えー、これから試験会場に向かいまーす。あ、もう向かっていますね」


試験会場?

別の場所でやるんだ。

だからバスか。


バスが灯詠学園の駐車場を出発してから十五分後。

バスは着陸の準備に入った。


ここが・・・、試験会場・・・。

広い・・・。


秋司が窓から外を見ると、円の形をした試験会場が視界に入ってきた。

試験会場内には、崩れた建物がいくつもある。

まるで、一つの街が崩壊したかのように。


この中で実力試験が行われるのか・・・。


秋司は少し冷や汗をかき、唾液をゆっくりと飲み込む。

バスが着陸し、試験官の案内に従って試験会場内に入る受験生。

この試験会場では受験番号三百一番から四百番の受験生が実力試験を行う。


「えー、それでは本日の試験内容をお伝えします」


百人の受験生が試験会場内に入ってすぐの場所に集まったことを確認した試験官が話し始める。

灯詠学園入学試験二日目、実力試験では五人一チームになって、この試験会場内に隠されている掌サイズの小さな箱を探し出し、試験会場外に出るという試験内容。

チームは受験番号順に分けられ、秋司の場合、受験番号三百五十番であるため、三百四十六番から秋司までのチームとなる。

小さい箱は業血司を送ると光る仕組みになっている。

試験会場の外に出るには、いくつかある出口を通る必要がある。

囲いを飛び越えて外に出るのは禁止。

出口で試験官に箱を渡す必要がある。

箱はチーム内の誰かが出口で試験官に渡していれば、そのチームメイトは出口から出ることができる。

試験会場内には、生成術で作られた人形が存在し、受験生に襲いかかる。

受験生は、配られた小型通信機を使って、いつでもリタイアすることができる。

一人がリタイアしても、チームはリタイアにはならない。

一人でも試験を受け続けることは可能。

制限時間は一時間。

十時ちょうどから実力試験が始まる。


なるほど。

箱を探して出口から出ればいいのか。

でも、生成術で作られた人形がそれを阻止してくる。

試験内容は分かった。

よーし、気合い入れていくぞー。


秋司は真っ直ぐ試験会場内を見つめ、微笑んだ。


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