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32話 血転術基礎試験1

灯詠学園入学試験一日目。

筆記試験が終わり、場所を移動する受験生たち。

秋司を含む、受験番号二百番から四百番の生徒は丸の中に二と書かれた紙がドアに貼られている部屋に入った。


「えー、それでは血転術基礎試験を始めます」


血転術基礎試験は血転術十系統を発動できるか確かめる試験。


なるほど。

だから明日行われる実力試験と分けられているんだ。

この試験はこの部屋内で分けられている十のスペースでそれぞれの血転術を発動できるか確認するのか。

回る順番は好きなように回っていいと。

まずは属性術のところから行こう。


秋司は属性術基礎試験が行われる一番スペースの列に並んだ。

属性術基礎試験では基本八種を全て出すことができるかを確かめる。

術の発動ではなく、炎などを出すことができるかを。


「お・・・。やあ、えーっと・・・」

「あ・・・。バスで隣に座った・・・」


秋司の後ろに並んだ受験生、小巻透は秋司に話しかけた。

秋司と透は自分の順番が回ってくるまで話した。

二人が会話していると、すぐに順番が回ってきた。

秋司は一番スペースの試験官Aに受験票を渡した。


「それでは、炎転から発動してください」

「はい」


よし、行くぞー。

丸、三角、丸。


秋司が血転図式を描き終えると、右手に炎が現れた。


「次は氷転を発動してください」

「はい」


秋司はその後、基本属性八種を全てスムーズに発動した。


「お疲れ様です牧本さん。これで属性術基礎試験は終了です。別のスペースで他の試験を行なってください」


うーん、数字順で回ろうかな。

次は二番の変化術か。

僕、変化術できないけど・・・。


秋司は透とともに二番スペースの列に並んだ。

順番が回ってくると秋司は二番スペースの試験官Bに受験票を渡した。


「牧本さんですね。それでは変化術を発動してください」


試験官Bは秋司に掌サイズの石を渡した。


「はい・・・」


まあ、やってみよう。

全力を尽くすだけだ。

基本図式は丸、四角、三角、発動図式はなんでもいいから丸。

木に変化させるぞー。

うおおおおおお・・・。


五分経過したが、石には何も起こらなかった。


「終了です。お疲れ様でした牧本さん。次の試験スペースで他の試験を受けてください」


・・・。

できなかった・・・。

ふ、不合格になっちゃうのかな?


秋司は不安を抱きながら、三番スペースに向かった。

秋司は透と共に、次々に試験を受けていく。

生成術と召喚術はスムーズに発動し、変身術と操術は発動することができなかった。


うぅ・・・。

まずい・・・。

絶対まずいよね。

六つ中三つ、発動できていない。

絶対まずい・・・。


「う・・・。もうおしまいだ・・・。ぼ、僕・・・。二つしか発動できていない・・・。おしまいだ」

「小巻君・・・」


秋司の横で透が小声で呟く。


小巻君も発動できなかった系統があるんだ・・・。

うん?

そういえば、前に並んでいた受験生も発動できていなかったような。

十系統全てを発動できる方が珍しいんだっけ?

浮符鄔さんが言っていたような。

だとすると、別に発動できない系統があってもいいのかな。

じゃあ、この試験をなんの目的で行なっているんだろう?

うーん。

そういえば、なんで室内なんだろう?

外の方が安全なんじゃ・・・?

うーん・・・。


「ふざけんなよっ。なんだこのクソみてーな試験は? こんなんで合格と不合格を分けられんのかー? 五大血転学校の入試がこんな低レベルって、笑わしてくれんなー」


秋司が考え事をしていると、一番スペースからそんな声が響いてきた。


「おらよっ。これでどうだーー?」


黒髪の短髪で、筋骨隆々の受験生、ケンバス・オコナー。

ケンバスは笑みを浮かべながら、右手に炎を出すだけではなく、炎球を発動した。

そして、その炎球を自身の右斜め後ろに向かって、適当に放った。

その炎球は今秋司が並んでいる七番スペースの近く、六番スペースに飛んでいき、一人の受験生に当たりそうになる。


危ない。

六角形、五角形、四角から、四角二回。

結界術、発動ー。


秋司は受験生の前に壁のような結界を張り、炎球を防いだが、その炎球に当たりそうになった受験生は驚きで軽くその場に座るように倒れた。


「何するんですか?」

「ああ? なんだおめーは?」


秋司はケンバスに視線を向けて、少し怒り気の声を発した。

そんな秋司の声に反応して顔だけを秋司に向けるケンバス。


「なんでこんなことするんですか?」

「こんなこと? ああ、ただ炎球を飛ばしただけだろ? なんだ? こんなもんにビビってんのか?」

「人に当たったらどうするんですか?」

「あー? ここにいんのはみんな業血司使いだろ? 当たったって別に大したことにはならねーだろ?」


この人は何を言ってるの?

今は血転術を発動できるかの試験中。

属性術はその属性を出せばいい。

術の発動は試験内容に含まれていない。

術を発動したまでは別にいいとしても、術を放つなんて。


「君。そこの女の子に謝りたまえ」

「おいおい。お前は誰だよ。当たってねーんだし、そもそも避ければいいだけだろ?」


この光景を見ていた、周りにいる受験生たちは、それぞれで言い合いを始めた。

試験会場内は騒然とした。

そんな試験会場内の誰もいない中心のスペースに、天井から一発の雷が落ちた。


「耳障りだ・・・」


一人の受験生が小声で発する。


「あ・・・。なんだ、今の威力は・・・」


今の雷を見ていた他の受験生たちは、怯え始める。


「おい、今の雷を放ったあいつって・・・。リーズ・ヴェーグナーじゃ・・・」


耳を半分覆うくらいの白髪で前髪が左右に分かれている、ヘーゼルアイの受験生リーズ・ヴェーグナー。

雷を落としたリーズは三番スペースの列に並んだまま、一度も後方に視線を向けることはなかった。


「あの・・・、ありがとうございました」

「あ、いえ」


炎球が当たりそうになった受験生、町野茉白まちのましろは立ち上がりながら秋司に声をかけた。


この子、筆記試験で隣だった子だ。

それにしても、こんなに試験場が騒がしくなったのに、なんで試験官の人は何もしてくれなかったの?

筆記試験の時はあっさりとしていたし、今回はそっけないような。


秋司は七番スペースの列に戻った。


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